人事院は10月7日11時33分に、国会と内閣に対して一時金を0.05月引き下げる給与勧告と公務員人事管理に関する報告を行った。
公務員連絡会は別紙の事務局長談話を発出するとともに、今回の勧告・報告を踏まえ、速やかに勧告内容の共有をはかるため、第3次全国統一行動を行うこととした。なお、国家公務員制度担当大臣及び厚生労働大臣に対し、勧告の取扱いを検討するに当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議し合意すること、定年引上げに関する国家公務員法改正法案を速やかに再提出し、早期に着実かつ確実に実施することを求める要求書を提出する。
(別紙)
2020年10月7日
一時金に関する人事院勧告に対する談話
公務員労働組合連絡会
事務局長 吉澤 伸夫
人事院は、本日10月7日、俸給表をはじめとする「月例給に関する勧告」に先んじて、一時金の支給月数を0.05月引下げ、年間4.45月とする給与勧告と公務員人事管理に関する報告を行った。一時金の支給月数の引下げは、新型コロナウイルスの感染拡大による経済状況と比較されることの多いリーマンショックによる景気の低迷を受けた2009年(△0.35月)及び2010年(△0.2月)以来となり、公務員連絡会との交渉・協議を踏まえ、民間賞与の客観的な支給実態に基づくものではあるが、新型コロナウイルスの感染拡大に対し国民の命と暮らしを守るため職務に奮闘している職員の努力を踏まえると、支給月数の引下げは残念である。
ところで、1948年以降70年余の人事院勧告の経過において、個別の俸給表等への勧告を除き、一年に複数回の勧告が行われたのは、1974年と2009年のみである。1974年は、第一次オイルショックの影響を受けた狂乱物価のもと、官民較差に基づく勧告に先んじた期末手当の特別支給と俸給月額の一律増額が各々に勧告されている。また、2009年は、リーマンショックによる民間賞与の大幅な減額を踏まえ、政権交代等の政治的な背景により、夏季一時金引下げの臨時・暫定勧告が行われている。
一方、本年について9月末を調査期限とした月例給に関する民間給与実態調査の結果を踏まえて月例給に関する勧告が行われることとなれば、過去の複数回勧告とは、その背景・事情を異にすることとなる。それは、新型コロナウイルスの感染拡大に対する社会的配慮の必要から、郵送による一時金調査を先行し、訪問を必要とする月例給調査を追加して行ってきたことは、当然の措置として理解するが、そのことが直ちに一時金と月例給を分けた勧告とする必然もないことから疑問が残らざるを得ない。
具体的には、新型コロナウイルスの感染拡大による民間の雇用と賃金への影響が深刻化している状況において、勧告の度に、国家公務員給与に対する社会的・政治的評価を受けることは、労働基本権制約の代償措置とされる給与勧告制度のもとでの公務員給与の決定に、意図的な批判に基づく無秩序で法外な影響を及ぼしかねないことにある。
公務員連絡会は、本年の給与改定について、国家公務員及び地方公務員そして独立行政法人等の職員における客観的な民間実態に基づく早期の安定化をはかるとともに、今後の人事院との交渉・協議について、はじめてインターネット等を活用し短期間ながら497,717筆を集約した署名を踏まえ、引き続き、水準維持を最低とした月例給の勧告等への対応に全力をあげることとする。
以 上