2020年度公務労協情報 29 2020年10月9日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

人事院勧告等を受け、地方公務員部会が総務大臣への申入れを実施-10/9

手交する武田総務大臣(左)と二階堂議長(右)
 公務労協地方公務員部会は、人事院勧告・報告後、各人事委員会が勧告作業に取りかかることを受け、10月9日に武田良太総務大臣に対して「2020年地方公務員給与の改定等に関わる申入れ」を行った。なお、例年行っている全国人事委員会連合会(全人連)に対しての要請は、人事院の月例給に関する勧告・報告の後に行う予定としている。
武田総務大臣への申入れには、二階堂地方公務員部会議長ほか委員長クラス交渉委員が出席した。
 冒頭、二階堂議長は、申入書(別紙)を手交し、要求事項を申し述べたのに対し、武田大臣は「公務労協地方公務員部会の皆さま方が地方自治の確立・発展のために、また、地方公共団体で働く地方公務員のため、その役割を果たして来られたことに敬意を表したい。新型コロナウイルス感染症対策においては、地方公共団体の果たす役割が極めて大きいところであり、現場で日々対応にあたられている職員の皆さまに心から感謝を申し上げたい。ただいま二階堂議長より要請書を受け取り、要請内容について伺った。各要請事項については、検討の上、しかるべき時期に回答させていただく」と回答した。
 これに対し二階堂議長は「現場では、新型コロナウイルス感染症対策や自然災害など、日々職員は奮闘している。国民生活の安心・安全を守るために引き続き職務に精励するが、同時に職務環境の改善に向け、要求事項の実現に向けた最大限のご努力を」と求め、申し入れを終えた。



(別紙)

2020年10月9日


総 務 大 臣
 武 田 良 太 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂 健 男


2020年地方公務員給与の改定等に関わる申入れ

 貴職の地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 人事院は、10月7日、政府と国会に対して2020年の国家公務員の「一時金に関する勧告」を先行して行いました。各人事委員会では、2020年の月例給および一時金に関する勧告に向けた作業が本格的に進められていますが、地方公務員の労働基本権制約の代償措置である人事委員会勧告制度が機能するよう、総務省として適切な対応をはかるとともに、労使間の十分な交渉・協議を通した自主的な給与改定を尊重するよう要請します。
 一方、働き方改革、定年引上げなど大きな課題が山積するなか、医療機関や学校現場も含めた各自治体職場においては、新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、住民の期待に応えるべく、自らの職務に全力を尽くしておりますが、その勤務環境は大変厳しいものとなっています。引き続くコロナ禍において、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定と賃金・労働条件の改善・確保が不可欠です。
 貴職におかれましては、下記事項の実現に向け最大限のご努力をいただきますようお願いします。

1.2020年の地方公務員の給与改定については、地公法第24条2項の趣旨を踏まえた自治体の自主的な決定が尊重されるよう対応すること。

2.公営企業および技能労務職員の給与については、当該職員に労働協約締結権が保障されていることを踏まえ、労使交渉に基づく自主的・主体的決定を尊重すること。

3.地方自治体における長時間労働の是正については、厳格な勤務時間管理や時間外勤務縮減目標等の設定など、実効性のある時間外勤務縮減策を講じられるよう地方自治体を支援すること。とりわけ、地方公務員の時間外勤務に関する実態調査を実施すること。

4.改正地方公務員法等の審議及び附帯決議を踏まえ、会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員制度の改善に向けた全般的かつさらなる見直しを引き続き検討すること。
(1)会計年度任用職員について、国家公務員の非常勤職員や常勤職員との権衡の観点から、勤勉手当をはじめとする諸手当の適用をはかること。
(2)新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、雇用者責任という立場から、臨時・非常勤職員の待遇や雇用を確保するよう地方自治体を支援すること。

5.パワーハラスメント対策については、改正労働施策総合推進法の施行を踏まえ、地方公務員における措置について、地方公務員部会との十分な交渉・協議、合意に基づいた対応をはかること。とりわけ、総務省「パワーハラスメント対策の取組状況調査」の結果に基づき、全地方自治体でパワーハラスメント対策に関する規定、方針等の明確化及び職員への周知・啓発がはかられるよう対応すること。

6.定年の引上げについては、国の実施に遅れないよう確実に実現するよう対応すること。定年引上げまでの間は、職員の希望する再任用の実現とともに、高齢期の生活を支える給与、適切な労働条件を確保するよう対応をはかること。