2020年度公務労協情報 30 |
2020年10月23日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会 |
給与局長と書記長クラスが月例給について交渉-10/23
ー月例給の官民較差は「相当小さいものとなる」と明らかにー
公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、10月23日、人事院の松尾給与局長との交渉を実施した。人事院は先月末で調査を終えた月例給に関し、来週半ばに報告・勧告する予定であることを明らかにした。交渉経過は次のとおり。
冒頭、吉澤事務局長から「いよいよ、来週26日から臨時国会が始まり、待ったなしの状況だ。われわれの要求は、月例給与の水準の維持を最低とし、公務員連絡会との交渉・協議、合意に基づく措置、を求めている。現時点での検討状況について回答を」と求めたのに対し、松尾給与局長は、以下の通り答えた。
1 報告・勧告について
月例給に関する報告・勧告日は、来週半ばで調整中である。具体的な日程は、総裁会見の際にお伝えすることができると思われる。
2 月例給の調査について
月例給の調査については、8月17日から9月30日にかけて行い、無事完了した。新型コロナウイルス感染拡大の下であったが、民間企業のご理解とご協力を得て、8割を超える完了率となった。
3 官民較差について
月例給の官民較差については最終的な詰めを行っているところである。
具体的状況を言える段階ではないが、較差は相当小さいものとなるのではないかと思われる。
4 本年の改定の考え方について
現在、月例給の官民較差については最終的な詰めを行っているところであるが、その結果を踏まえ、俸給表の改定等を行うか否か判断したいと考えている。
回答に対し、吉澤事務局長は「勧告日程については週明けの総裁からの最終回答に譲り、較差とその取扱いに限定して議論する」とし、次の通り給与局長の見解を質した。
(1) 較差について、今年の民間賃金動向や連合、経団連の各種調査結果を見れば、定昇はほぼ維持されている。一方で、国家公務員の平均給与月額については、ここ2〜3年と比較しても、本年は減少額が大きい。職員の若返りという点で歓迎するが、ラスによる比較という観点からどう捉えているのか。
(2) 一時金勧告以降、引き続き月例給勧告の動向も注目されており、人事院には万全な説明責任を求める。その上で、過去、官民較差がプラスマイナス0.1%未満となったのは7回あり、0.07%以下の較差の際は据え置き、0.08%の時は暫定措置、昨年の0.09%の際は俸給表の改定となった。これらは、時々の情勢を踏まえた上での判断であり、基準にはならないと承知はしているが、過去の例を参考として、本年の具体的な措置を考えると理解してよいか。
(3) 仮に、暫定的な措置(2001年)をとる場合には、とくにマイナス較差については、世代間の公平性の確保を求めておく。その上で、基準日や在職期間など、さまざま運用上の課題が生じることが想定されることから、事前の議論を踏まえた上での対応もあわせて求める。
これに対し、松尾局長は次の通り回答した。
(1) 民間賃金動向については、個別に見れば賃上げ率は昨年と比べて若干下回るものが多くなっているが、定昇やベアも見られるなど、引き続き賃上げの動向にあることは認められる。厚労省の毎月勤労統計調査においても、昨年と同じ事業所を比較した際の一般労働者の所定内給与は、昨年4月と同水準だったと承知している。したがって、あくまで一般の調査においては、4月時点で昨年とそれほど変わらない賃金の動きなのではないかと認識している。
一方、国公実態については、中高年層の減少と若年層の増加もあり、また、扶養手当の減少、住居手当の増加という要因もあるが、今年は2,255円という大きな減少となった。ただ、ラスパイレス方式で官民比較を行うことから、国公実態の平均給与が下がったからと言って、較差がどうなるかは最終的な結果を踏まえなければ分からない。民賃動向、国公実態の認識を踏まえても、較差がどうなるという予測は難しい。
(2) 較差と措置について基準を設けて判断しているわけではなく、その時々の情勢で総合的に判断している。過去においても、較差が非常に小さく、俸給表や手当の適切な改定が困難な場合には、月例給の改定を見送ったこともある。今年の較差は、まだ最終的な詰めをしているところだが、較差の程度によっては、同様の対応になると考えている。
(3) 2001年(平成13年)勧告の一時金による措置を想定した要請と捉えるが、仮にそうなった場合には、さまざま附則等の定めも必要になる。それら勤務条件に関わる事項を定める際には、当然に組合の方々と交渉、協議をしたい。
最後に、吉澤事務局長から「異例の対応となった今年、人事院のこれまでの対応について、その努力を多として評価したい。一方で、このような危機的な状況のもと、現在の給与決定制度についての課題も明らかになった。職員の適正な勤務条件、給与の確保をはかるという人事院の役割を果たすため、本年を教訓に、早速来年に向けた対応を求めておく。総裁との回答交渉では、この間の議論を踏まえ、要求の実現に向けた努力を求める」とし、給与局長との交渉を締めくくった。