みんなの力で、労働基本権の確立と民主的な公務員制度改革を実現しよう

労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.10 2001年4月25日

連合官公部門連絡会

4.24中央行動に5,000人が参加

「基本設計」に向け中央集会、推進事務局交渉・政党要請に取り組む



 「労働基本権を確立し民主的な公務員制度改革を実現しよう」こうしたスローガンのもと、連合と連合官公部門との共催による中央集会が24日午後6時30分から日比谷野外音楽堂で開かれ、5,000人が参加した。政府の行革推進事務局から公務員制度改革の「大枠」が公表されてから1ヵ月が経過し、「基本設計」に向けて具体的な検討が進めらているという情勢を踏まえ、今月9日の中央集会に続き、より規模を拡大して開いたもの。なお、対策本部では、中央集会に先立ち行革推進事務局と交渉して検討作業の進捗状況を質すとともに、労使交渉・合意による「基本設計」作りを強く求めた。また、各政党の担当者に会い、連合官公部門との意見交換を踏まえた対応と要求実現への努力を要請した。
 一方、公務員連絡会は、午後4時から同じ日比谷野外音楽堂で同趣旨の中央集会を開催し、3、000人が参加した。あわせて全国会議員に対する要請行動に取り組んだ。

【4.24中央集会の概要】

 中央集会は、宮入公労協事務局長(労働基本権・公務員制度改革対策本部副事務局長)の開会挨拶の後、議長団に丸山国公総連委員長(対策本部副本部長)、中野全郵政委員長(対策本部副本部長)を選出し、すすめられた。主催者を代表し、鷲尾連合会長、榊原日教組委員長(対策本部副本部長)が挨拶を行った。
 鷲尾連合会長は、冒頭、「連合が公務員の労働基本権確立をめざすこの集会の主催者となっていることの意味を集会参加の公務員労働者がぜひ再確認をしてほしい」と集会参加者に呼びかけ、次のように闘う決意をのべた。
@自民党主導で進められている今回の公務員制度改革では、一方的な人事管理を導入しようとしている、これでは国民に信頼されるサービスを提供することはできない。公務員に制約されている労働基本権を確立することが重要である。連合もこの問題を、政策制度要求の基軸に据え国内外の取り組みをすすめている。
A今回、提起された公務員制度改革を労働基本権確立のチャンスと前向きにとらえ、全ての国民、民間労働者に理解を求め、労働基本権の完全保障にむけて活動を強める必要がある。連合も800万組合員全ての課題としていく。
 榊原日教組委員長(対策本部副本部長)は、政府の「公務員制度改革の大枠」について、次のように重大な欠陥があると指摘し、自ら行動し、自ら闘うなかで労働基本権をかちとる必要性と「正義は我々にあるという決意のもとがんばる」ことの重要性を訴えた。
@一つは、国民生活の視点が欠落していることである。安心・安定・安全な国民生活を保障する「社会的セーフティーネット」を作ることが抜け落ちている。国民の知る権利、情報開示と説明責任、国民が参加する行政・政策評価等が実現してはじめて良質な公共サービスが提供できるものである。
Aもう一つは、制度改革を設計する基盤に民主主議を欠落させていることである。人事院の権限を大幅に削減し、労働基本権を制約したままの前近代的な労使関係をそのままにしては、国民の信頼に応えることはできない。国際労働基準を達成し、安定した労使関係を確立する必要がある。仲裁裁定、人勧完全実施は我々の先輩の多くの官公労働者が弾圧を跳ね除けてかちとってきたものである。
 ついで、民主党、公明党、社民党、自由党の代表から激励挨拶を受けた後、斎藤公務員共闘事務局長(対策本部事務局長)が経過報告を行った。
 そのなかで、斎藤事務局長は、今後の取り組みとして、@5月17日に公務員制度改革に向けた「われわれの提言」を連合の「見解」とともに発表する、Aこれをもとに政府及び各政党へ要請・申し入れを行い、Bまた、第2次民間労組要請行動を行い、改革案への理解と取り組みへの協力を求めていく、C組合員・家族を対象とした内閣総理大臣宛の緊急署名を5月中旬から6月上旬までの間に実施する、D各構成組合の支部・分会単位の組織内署名と連合民間労組及び関連組織の団体署名を求め、5月下旬から6月上旬に政府に提出する、E各県単位(または大都市)で、集会・学習会を開催するよう、連合本部を通じて各地方連合に要請をする、などを報告した。
 集会は、徳茂自治労労働局次長のアピール(別記)提案・採択、轆轤全官公事務局長(対策本部副事務局長)の閉会挨拶、石川全逓委員長(対策本部副本部長)の団結ガンバロウを行い終えた。

【公務員連絡会4.24中央集会の概要】

 公務員連絡会は、16時から「労働基本権を確立し民主的公務員制度改革を求める公務員連絡会4.24中央集会」を行った。
 開会の挨拶で岩崎事務局次長は、「公務員制度改革は、本格的な緊迫した段階に入ってきた。本集会を皮切に6月『基本設計』まで全力をかけた闘いを進めていく必要がある」と集会の意義を強調した。
 ついで、主催者を代表して丸山代表委員(国公総連委員長)が挨拶し、「公務員連絡会は運動の基本スタンスを国民のための民主的な公務員制度の確立におき、さらに労働基本権の回復を目指すことを基本スタンスとして確認している。我が国官公労働部門の歴史的大転換と受け止め、組織の総力をあげて闘う決意である」と運動の方向と闘う決意をのべた。さらに、「私たちがめざす21世紀の公務労働法制は憲法と国際労働基準を踏まえた、国民・民間と一体化したものでなければならない。公務員の労働基本権を回復することを前提にして公務員制度を設計してもらうという運動をすすめなければならない。21世紀の我が国にふさわしい安心・安定・安全な国民生活を保障する、労働を中心とする福祉型社会の建設をする、そのために、@中立公正で透明型の民主的な制度に改革する、A多様な複雑な公務公共サービスに対応できる人材の確保とライフステージを確立する、B国際社会にふさわしい労働基準を確立する、という3つの改革案を掲げ、連合民間の仲間をもとに国民合意の運動をもって実現を図っていきたい」とのべた。
 斎藤事務局長から、公務員制度改革をめぐる今日までの経過情勢ととりくみ報告がなされた。
 続いて、自治労(加藤労働局長)、都市交(松島書記次長)、国公総連(山下全財務書記次長)、国税労組(白角熊本国税書記長)、全水道(和田副委員長)、全国消防職員協議会(前田会長)から力強い決意表明がなされ、団結がんばろうで同集会を締めくくった。

【行革推進事務局交渉の概要】

 行革推進事務局との交渉は午後2時から行われた。
 組合側は、冒頭、@推進事務局側が「交渉当事者に立場に立つ」といいながら、今日まで交渉・協議の場の設定に応じていないこと、Aそうしたなかで、すでに各府省との間で「各論」の検討に入っていると伝えられていること、等について強く抗議した。その上で、「公務員制度改革に関する要請書」(別紙2)を提出し、「基本設計」の策定に当たって「労働基本権と労使協議制の確立」を基本に据えるよう求めるとともに、検討の進捗状況を質した。さらに、連合官公部門との各論別の交渉・協議に早急に入るよう重ねて申し入れた。
 なお交渉には行革推進事務局側は西村事務局長、春田公務員制度等改革推進室長、高原参事官が対応、対策本部からは、大原・戸田両企画委員と事務局が参加した。
 要請事項に対し推進事務局側は次のような見解を示した。 
@3月27日に「大枠」を公表して以来、「制度設計」の具体化にむけて事務局内部で検討しているところで、とても原案をまとめる段階に至っていない。各省との連絡機関として4月10日に「公務員制度改革連絡会」(官房長クラス)とその下に「幹事会」(人事担当企画官クラス)が設置され、これから個別課題の検討に向けて、各省の要望・意見や作業への協力を求めている段階だ。
Aしたがって、給与制度の見直し等について官公部門側と交渉に入る時期については、まだ示せる段階にない。原案が固まる前の事前の話し合い等については、そのようにしたいと考えている。
B 4月20日付「毎日新聞」による給与等の見直し内容を報じた記事は事務局の与かり知らぬものである。
 こうした見解に対し官公部門側は、「6月中に『基本設計』を取りまとめると期限を切りながら労働条件に重大な変更をもたらす制度設計について、いつから交渉に入るのか回答できないというのは承服できない」と抗議するとともに、事前協議に直ちに応じるよう求めた。
 これに対し推進事務局側は、「できるだけ早く意見交換の場を設けて話し合いを行えるようにしたい」とのべ、時期については明言を避けたが「早急な話し合い」に応じる意向を示した。
 なお、「毎日」の報道記事について、官公部門側は、「事務局が否定しているので、これ以上追及しないが、報道されている内容〈6段階の能力考課・退職金の貢献度を反映したポイント制等〉は認められない」と釘をさした。
最後に、@5月の連休明け以降早急に検討状況の説明を行うこと、A国営企業については、労働条件は団体交渉事項であり、その制度の変更を当事者に相談なく進めることは認められない、B地方自治体関係者からも意見を聞くべきである、等の申し入れを行い、この日の交渉を締めくくった。

【各党に対する要請行動の概要】

<民主党>
 民主党に対する要請は、午前10時から議員会館内で行われ、対策本部から榊原副本部長(日教組委員長)、大原自治労書記長、江畑全印刷書記長、石山事務局次長が参加し、民主党側は岡田克也政策調査会長、上田清司ネクストキャビネット担当大臣、玄葉光一郎政策調査副会長らが対応した。
 そのやりとりは以下の通り。
(組合)
(1)現在、公務員制度改革案の検討を進めているところであり、5月17日には、改革案を公表したいと考えている。少なくとも公務員制度改革にあたっては、国際労働基準に沿った形で官公労働者に労働基本権を全面的に回復させ、公務における労働関係制度を確立させる必要がある。こうした私どもの考えを踏まえ、政府に対し、連合官公部門連絡会と十分協議し、われわれの意見を十分に反映したうえで基本設計の検討を行うようご尽力をお願いしたい。
(2) 政治主導の下で進められた大枠は、われわれ公務員の労働条件や国民生活に大きな影響があるにもかかわらず、われわれと十分な協議がされていない。制度改革にあたっては、分権型の改革を進める必要がある。また、様々な課題について、十分な労使協議制度を確立させる必要がある。
(民主党)
 この大枠は、橋本行革担当大臣の個人的な思いがかなり含まれている。野中氏が自民党行革推進本部長を退任するとの発言もあり、このままいくのか、もう少し慎重な対応になるのか、今後の政局の動きを注視する必要がある。そもそもこの公務員制度改革の問題は、野中氏の政治的な意図が見え隠れしている。小泉氏が総裁になった場合にこの問題をどのように判断するのか気になるところである。
(組合)
 国営企業公務員には、団体交渉権が認められているものの、まだまだ不十分なものであり、労働基本権の全面的な確立は切実な思いである。
 民間労働者の方々に公務員制度について誤解を与えている面があるので、公務員制度改革の対案を整理し、引き続き民間の方々から理解が得られるよう努力したい。国営企業組合では、団体交渉権がありながら、労使間で賃金問題が決着できずに第三者である中労委に調停して解決を図っている。ぜひとも労働基本権の全面回復に向けて民主党の協力をお願いしたい。
(民主党)
 先日も公務員連絡会の齋藤事務局長らと意見交換し、ネクストキャビネットに報告したところである。民主党では、この公務員制度改革の問題を大きな問題として受け止め、古賀一成衆議院議員を座長とした公務員制度問題のプロジェクトチームを作って、2人の大臣が座長と協力しながら、総合的・横断的な取り組みを進めているところである。今後も皆様方と意見交換を行っていきたい。
 これらを踏まえ、最後に榊原副本部長が、「公務員制度改革は、国民生活を支えているあらゆる分野に大きな影響を与える大きな問題である。行革推進事務局が計画している6月の基本設計というのは、あまりに性急すぎる。もっと国民の声を聞いた上で進めるべき問題である。今後とも民主党と意見交換をしていきたいと考えているので、よろしくお願いしたい」と述べ、要請行動を終了した。

<公明党>
 公明党への要請は、10時から参議院内で行われ、対策本部から丸山副本部長(国公総連委員長)、戸田日教組書記長、菰田全逓書記長、菊地国税労組書記長、斉藤事務局長が出席、公明党側は日笠党政調会長代理、弘友党労働局長、上田党公務員制度改革プロジェクト事務局長が対応した。
 冒頭、丸山副本部長が、「我々も、公務員制度の抜本的改革が必要であるが、その枠組みにおいては、当然、労働基本権確立が必要である」との考え方を説明し、党としての理解を求めた。
 この後、意見交換が行われたが、公明党側からは、「公務員の勤務条件は、国会における審議と議決が必要だ。労使で協約しても国会審議や予算との関連でこれを変更することもあろう。どう考えるか。」、「公務員の給与については何らかの基準がいる。その場合、現行のように国家公務員は一本の体系なのか地域別の格差もありうるのか」、「能力主義・成果主義について、勤評闘争の経過もあり組合は消極的ではないのか」、「労働基本権について消防職員についても適用すべきとしているのか」などについて見解を求められた。
 これに対し組合側は、「公務員の労働条件に関わる法定主義と財政民主主義は、国民への説明責任の観点からも、基本権回復後においても必要な措置であると考えている。仮に労働協約締結後において、国会で否決された場合も、再び労使交渉を行うという手続を取ることを考えている」、「公務員の労働条件については民間準拠が基本であり、何らかの調査機能は必要であろう。また、地域や職種毎に格差が生じることも十分想定されるが、人事交流や地域間の異動のことを考えれば、一定の幅におさまるものと考えている」、「我々は不透明で制度的に欠陥がある勤務評定制度そのものに反対している。むしろ職員の能力を伸長するための人事評価制度を設計することにおいては、4原則2要件を制度的に満たしたものが必要。4原則は人事院や旧総務庁の研究会報告でも言及されているが、2要件、とりわけ労使協議制は労働基本権問題に抵触し、現行の枠組みの中では限界が生じる。私たちは民間で行われている労使協議制度は是非導入すべき制度であると考えている」、「消防職員の基本権問題については、今回の公務員制度改革の中で解決したい。公務における様々な職種について、十分な検討を行った結果として、労働基本権の制約を受けるところもあるかもしれないが、はじめから基本権がなにもないというのは大いに疑問である」と回答した。
  最後に公明党側から、「党としても十分に検討していきたい。その際、適宜、連合官公部門と意見交換していきたい」と発言があり、この日の要請を終えた。

<社民党>
 社民党への要請は、午後3時から議員会館内で行われ、対策本部から足立副本部長(全水道委員長)、河田全林野書記長、山本事務局次長が参加し、社民党側は菅野哲雄自治体委員会委員長が対応した。
 要請に対し、菅野委員長は「社民党は、今回の公務員制度改革問題を大きな問題としてとらえてきた。党としても、連合官公部門と一体となって取り組んでいく考えである。給与制度の見直しをはじめとする公務員制度改革に当たっては労使の間で十分話し合った上で、進めていくのが大原則であると考えている。政治状況は、全体として、右ウイングが強まってきている。このことは、極めて危険なことと警戒している。こうしたことから労働者の基本的権利である労働基本権の確立も相当覚悟して取り組んでいく必要がある。待っていても与えられるものではない」との考えを示した。

<自由党>
 自由党に対する要請は、午前11時00分から議員会館内で行われ、対策本部から鈴木都市交委員長、松井全造幣書記長、轆轤副事務局長らが参加し、自由党側は塩田晋労働部会長、小島幸治団体渉外委員会事務局長が対応した。
 そのやりとりは以下の通り。
(組合)
(1) 私共として3月末の「大枠」公表や6月に「基本設計」を決定するとしている状況のなか、公式・非公式に与党への対応をしてきた。与党は人事院制度を大幅に改革し省庁ごとに、労使関係を決定するシステムに変えようとしている。労働三権はスト権を含めて回復は時期尚早という話もあり、労働基本権の代償措置としての人事院をなくすといいながら、一方で労働基本権も確保できないというのでは心配である。長い間求めていた労働基本権を回復してもらいたいということと、事前に労働組合との話し合いを持つことの2点を要請したい。
(2) 公務員制度改革についての私共の理解は、退職手当・給与・評価システム等の改革は公務員制度調査会を公の場として進められているもので、今回の「大枠」はそれを超えてもっと急いでやれというものであり、一方ではあたかも全ての公務員が悪という感覚でマスコミ操作もしながら進めている。行革推進事務局にも協議の申し入れをしているが、ある程度成案ができてからと言って話し合いにならない。また、3月から6月までの短期間で決めるということも問題がある。私共は公務員制度改革は時代の要請として捉え、21世紀にふさわしい具体的な公務員像や給与等についても議論して対案提示に踏み込んでいるところである。労働基本権については、国営企業公務員においては団体交渉権はあるがスト権はないし、一方で予算統制も受けている。労働基本権については、先進国であれば、国際労働基準に合わせるべきである。
 今後は対案をまとめたら再度要請に伺い、参考として自由党の政策に活かして欲しい。
(自由党)
 趣旨については受け承った。我が党はこの問題が起こってから部会を開いていないので、早速これを議題に審議していきたい。資料等を提供いただき議論を進めていく。
 この問題はもともと自民党が人事院をつぶそうというところから始まった。皆さんは人事院に対してどういうお考えなのか聞かせて欲しい。労働基本権が戻れば人事院はいらなくなる。民間と同じベースに立ってやっていくということには議論があると思うが。
(組合)
 行革推進事務局が進めている「大枠」の内容はおかしいと思っている。人事院の機能を解体、つぶしておいて労働基本権が回復されるのかというのが最大の心配事である。これは公務員だけの問題ではなく、労働者全体の問題であり、改革案をつくって進めていきたい。
(自由党)
 これまで人事院給与勧告のあり方でも私は意見を述べてきた。給与ベースの勧告については、4月からその後1年間通用するが、ボーナスについては、1年遅れているので何とかしろと言っている。これにより民間が下がったのに公務員が上ったり、民間が上った時に公務員が下がったりして、この状況を新聞もたたくので国民世論も悪い方にあがってくる。人事院はなかなか知恵が出ないと言っているが、出ないではすまされないと言っている。今後、どういう形で存続するか廃止するかは、3200の市町村や都道府県にも影響し、大きな改革となるので議論が必要だ。また、公務は業績・結果が数字として表れないし、量の問題、質の問題もあり、民間とは違いがあり重要なことである。また、このような重要な問題を6月まで論議もしないで進めていくことについては私自身も問題だと思う。

<保守党>
 保守党へに要請行動は、午前11時から議員会館内で行われ、対策本部から石川国税労組委員長、山本事務局次長が参加し、保守党側は入澤肇参議院政調会長が対応した。
 組合側が@公務員制度改革にあたり労働基本権を確立することA公務員制度改革に関して、連合官公部門連絡会との意見交換・十分な協議、を要請したのに対し、入沢政調会長は次のような見解を示した。
(1) スト権は大きな政治問題であり、労使一体となって方向性が出せたらいいと考えている。
(2) 各省大臣が与えられた予算の中で人事管理をやるとなると、スタンダードを決める必要がある。それに基づいて各省が独自性を生かした運用を行えばよいのではないか。
(3) T・U・V種や事務官・技官を問わず、能力に応じて公正な処遇が行われるようにすることが必要。そのための勤務評定制度(現行はでたらめ極まりない。特昇制度の形骸化の指摘)。ピラミッド型から台形組織を基本に事務官中心の官僚組織を改善する必要がある。
(4) 基本は能力と意欲における平等にある。実務的にあまりにも不平等が多すぎる。その是正が必要だ。だからといって共産党のように悪平等になってはいけない。
(5) 公務員制度改革について、公務員制度の中身で悪いところを点検し、労使納得してモラルハザードをなくすことが必要。今後双方で具体的な話をしていけたらと考える。
(6) やるべき事をやっておいて(公務員制度改革)から最終的にスト権付与といった順番が望ましいか、着地点と過程で話し合っていけたらと思う。
(7) 今後、公務員制度改革におけるプライオリティーは一層高まっていくであろう。内容的には橋本案が最低ラインであろう。


(別紙1)

労働基本権を確立し民主的な公務員制度の改革を求める決議


 公共サービスを支える基盤であるとともに、私たちの働き方や生活を決定する公務員制度の改革をめぐる情勢は、極めて重大な、そして緊迫した局面にある。
 政府・行政改革推進事務局は、極めて不透明な過程において一方的、独断的に策定した「公務員制度改革の大枠」に基づき、6月の「基本設計」に向けた検討を進めている。
 これらの検討や改革の方向は、民主的・抜本的な改革を回避した「見せかけの改革」、あるいはごく一部の官僚の不祥事に基づく国民の批判をすべての公務員に転嫁する「能力・効率の名のもとでの一方的改革」であり、断じて容認できるものではない。
 社会経済情勢が大きく変化している今日、時代の変化が要請する諸課題に対して、政策上、的確にそして積極的に対応していくことが行政に求められている最優先課題であり、そのことの実現に向けては、公務における労使の安定的な信頼に基づく成熟した関係が確立されることが不可欠である。
 一方、現行の公務員制度、特に労働基本権の制約による労使関係の前近代性がもたらしている様々な問題が、行政をめぐる不透明性や非民主性、非効率性を招く要因となり、国民の行政に対する信頼を損なっている原因の一つとなっている。
 加えて、国際化の進展によって、公正な競争が国際社会から求められている今日、わが国の遅れた労働基準を早急に国際的な水準にまで到達させることも極めて重要な課題である。
 私たちは、公務員制度改革に求められている様々な課題を無視し、官僚制度の継続と柔軟な運用及び一方的な管理強化をめざす政府の「大枠」に対して、「労働基本権の確立」を前提とした、国民とともに歩む「民主的な公務員制度改革」を実現するため、連合そして連合官公部門の総力を挙げた取り組みを展開する。
 以上、決議する。

2001年4月24日

連合・連合官公部門連絡会
労働基本権を確立し民主的な公務員制度改革を求める4.24中央集会


(別紙2)

2001年4月24日

行政改革担当大臣
橋本龍太郎 殿

連合官公部門連絡会  
代表委員 榎本庸夫
代表委員 榊原長一
代表委員 石川正幸
代表委員 中野高徳
代表委員 丸山建蔵

公務員制度改革に関する要請書


 日頃より、私たち公務・公共部門に働く労働者の処遇改善に向けて尽力されていることに敬意を表します。
 私たちは国民が求める行政改革・公共サービスの確立、それを実現するための民主的公務員制度改革に向けて取り組みを進めています。現行の公務員制度はキャリア公務員を中心とした特権的・閉鎖的制度となっており、これを民主的で透明性の高い制度に改革し、、開かれた政府に相応しい民主的公務員制度にしていく必要があります。そのためには労働基本権の確立及び労使協議制の確立など国際労働基準を満たした近代的労働関係制度の確立が不可欠であると考えます。
 さて、行政改革推進本部事務局は4月9日、申し入れの場において「給与制度など交渉事項については交渉当事者の立場に立つ」ことを明らかにしました。しかし、貴事務局は、いまだ交渉・協議の場の設定に応じず実現に至っておりません。
 貴本部は4月10日、公務員制度改革連絡会、同幹事会を開催し、公務員制度改革の基本設計に向けて「各論」の検討が進捗していると仄聞しております。事実であれば、基本的な交渉事項である給与制度などの見直しを使用者が一方的に進めていることとなり極めて遺憾です。
 以上の経緯を踏まえ公務員制度改革の「基本設計」策定にあたって、下記事項を要請しますので、その実現に向けて最大限のご尽力を頂きますようお願い申しあげます。



一、公務員制度改革にあたっては官公労働者に対して、労働基本権の確立及び労使協議制の確立など国際労働基準を満たした労働関係制度を確立すること。
一、公務員制度改革の「基本設計」に関する進捗状況を明らかにするとともに、今後の日程を明らかにすること。
一、「基本設計」にあたって、直ちに連合官公部門と各論別に十分な交渉並びに協議を行うこと。


(別紙3)

2001年4月24日

(政党党首) 殿

連合官公部門連絡会
代表委員 榎本庸夫
代表委員 榊原長一
代表委員 石川正幸
代表委員 中野高徳
代表委員 丸山建蔵

公務員制度改革に関する要請書


 常日頃より、連合官公部門連絡会の運動にご指導ご鞭撻を賜り心から感謝申し上げます。
 社会経済情勢が大きく変化するなか、様々な分野でシステム改革が進められていますが、国民から信頼される行政を実現するため、公務員制度についても抜本的な改革を行っていくことは緊急かつ最重要課題となっています。
 政府の行政改革推進事務局は3月27日、公務員制度改革の基本設計に向けた「大枠」を決定、発表しました。「大枠」は現行の公務員制度の枠組みと公務員の在り方を大きく変えようとするものです。しかし「大枠」は、その策定過程が不透明で独断的であるなどの手続上の問題があるばかりか、労働基本権の確立については「労働基本権の制約のあり方との関係も十分検討する」としているのみで、明確な改革方向が示されておらず極めて問題であります。
 私たちは国民が求める行政改革・公共サービスの確立、それを実現するための民主的公務員制度改革に向けて取り組みを進めています。現行の公務員制度はキャリア公務員を中心とした特権的・閉鎖的制度となっており、これを民主的に抜本改革し、開かれた政府に相応しい民主的公務員制度にしていく必要があります。そのためには労働基本権の確立など国際労働基準を満たした近代的労働関係制度の確立が不可欠であります。
 つきましては、下記事項の実現に向けて最大限のご尽力を頂きますようお願い申しあげます。



一、公務員制度改革にあたっては官公労働者に対して、労働基本権の確立及び労使協議制の確立など国際労働基準を満たした労働関係制度を確立すること。

一、公務員制度改革の「大枠」及び「基本設計」に関して、政府への対応にあたっては連合官公部門連絡会と意見交換のうえ、対応すること。また、行政改革推事務局に対しては連合官公部門連絡会の意見聴取と十分な協議を行うよう要請すること。

以上