連合官公部門連絡会は5月16日午後4時20分から、内閣府で石原伸晃行革担当大臣と初の交渉を行い、14日にとりまとめた公務員制度改革に関わる「私たちの提言」を提出した。そして、「常設の協議の場設定」や「給与制度見直し等の課題についての早期交渉開始」を申し入れた(別紙)。なお、交渉には、対策本部側から榎本対策本部長、榊原・中野・丸山各副本部長と事務局が参加、行革推進事務局側から西村事務局長、春田公務員制度等改革推進室長、高原参事官が同席した。
冒頭、榎本本部長が申入書を大臣に手渡し、申入れ事項について、次にように説明した。 @ われわれは公務員制度改革は必要というスタンスで対応しており、14日に国民的視点に立って「私たちの提言」をとりまとめた。「基本設計」の検討にあたっては、この「提言」の内容を反映してもらいたい。そのため、事務局レベルでの協議の場を設けてもらい、率直な意見交換ができるようにしてもらいたい。公務員制度改革は、直接雇用されている公務員労働者の労働条件や生活、働き方にまで影響する問題なので、必ず当事者である私どもとの合意のもとに進めてもらいたい。
A 給与制度の見直し等労働条件に影響を及ぼす事項については、基本的な交渉事項であるので、来週(21日)から交渉に入るよう事務方に指示してもらいたい。
こうした申入れに対し、石原大臣は、次のように見解を示した。
@ 私もまだ「大枠」以外の説明を受けておらず、事務方もまだ組合に示せるような検討材料がない、というのが率直なところだ。話し合いは必要なことで早急に行うようにしたいが、こうした事情も理解してほしい。皆さん方の「提言」については、よく読ませてもらう。
A 6月に取りまとめる「基本設計」については、限られた期間のなかで検討するものなので、「グランドデザイン」という性格のものになると考えている。ビルでいえば四角い建物とするか、三角の建物がいいか、ということで、とても「間取りや窓の大きさ」まで決めることはできない。「基本設計」をとりまとめた後、「間取りや窓の大きさ」などは半年乃至9か月位かけて具体化の作業が行われるのではないかとみている。
こうした見解に対し、組合側は、「ぜひ前広に、しかも早急に交渉・協議に入ってもらいたい」と重ねて申入れ、交渉を終えた。
(別紙)
2001年5月16日
行政改革担当大臣
石 原 伸 晃 殿
連合官公部門連絡会
代表委員 榎本庸夫
代表委員 榊原長一
代表委員 石川正幸
代表委員 中野高徳
代表委員 丸山建藏
公務員制度改革に関わる申入れ
日頃よりわれわれ公務・公共部門に働く労働者の処遇改善に向けて尽力されていることに敬意を表します。
官公労働者約200万人で組織する連合官公部門連絡会は、キャリア公務員を中心とした特権的・閉鎖的な現行公務員制度を民主的で透明性の高い、開かれた政府に相応しい国民のための民主的公務員制度に改革する必要があるとの立場に立って取り組みを進めてきたところです。このたび、全構成組織の討議を経て5月14日、「公務員制度の民主的で抜本的な改革に向けての私たちの提言」を決定し、自らの改革案を提示しつつ引き続き総力を傾けて取り組む所存です。
さて、私たちは橋本前担当大臣への申し入れを行うと共に推進本部発足以来一貫して、給与制度など賃金労働条件は基本的な労使交渉事項であることから、公務員の使用者としての政府が一方的に制度設計を進めることは容認できず、直ちに交渉に応ずることを求め続けてきました。
貴推進本部事務局長は、4月24日の申し入れに対し「交渉当事者の立場に立つ」との見解を表明しながら、今日に至るも交渉に向けた具体的な見通しが示されないばかりか一片の資料提示もなされておらず、極めて遺憾であります。
「基本設計」とりまとめのタイムリミットを間近に控え、以下のことを申し入れますので上記の経緯を踏まえ、その実現に誠意を持って尽力されますよう要請します。
記
一、 「基本設計」とりまとめに当たっては、別紙、私たちの「提言」内容を十分反映すること。そのために貴事務局と連合官公部門連絡会との常設の協議の場を設け率直な意見交換を行い成案を得ること。
一、基本的な労使交渉事項である給与制度の見直し及びそれと連動する評価制度の設計などの課題について、5月21日から別途当該組合との交渉を開始すること。
以上