5月18日、衆議院内閣委員会で「公務員制度改革」などについて質疑・討論が行われ、民主党の山元勉議員(滋賀県・日教組出身)が、石原伸晃行革推進担当大臣に対して、質問を行った。山元議員は、@大臣の公務員制度改革に対する基本的な考え方A現在の作業の進捗状況と今後のスケジュール,B「基本設計」の性格などについて追及した上で、C労働組合との交渉を行うこと、労働基本権を確立することなどを要求した。
また、社民党の北川れん子議員も質問に立ち、@人事院勧告制度が縮小・再編されるのならば労働基本権が確立される必要があること、A労働組合と早急に話し合いを行うことを求めた。
山本議員は、「公務員制度改革に対する、大臣としての基本的な考えを明確に示してほしい」と質問した。これに対して、石原大臣は、「1990年代以降、経済のグローバル化、ボーダーレス化が進んでいる。国家公務員は、国際性のある政策づくりと高度の専門性が求められている。また、実施部門については、国民に奉仕することが求められている。多くの公務員はこのことをふまえて懸命に働いているが、前例踏襲、予算消化の例もあり、もう少し、国民へのサービスの意識が必要と思われる点もある。その中で、この国を良くしようと頑張っている公務員が誇りを持って働けるようにしたいと考えている。中央省庁改革で器は新しく変わったが、これからは中身の変革が課題となる。新しい制度づくりに力を入れたいと考えている」と答えた。
続いて、山元議員の「現在の作業の進捗状況と今後のスケジュール」についての質問には、「基本は3月に発表されている『大枠』を尊重すべきと考えている。公務員の改革と組織改革の二つの柱を中心としたい。また、これまでの年功序列、横並びに代表される制度を、やる気の出る制度にしたいと考えている。そのために信賞必罰が必要である。また、国際性に対応するための多様な人材を育て活用する制度、天下りの制限などについて鋭意検討しているところである。ただ、いまの段階は、全体像を示す段階ではなく、6月に発表する「基本設計」はグランドデザインと考えている。ビルに例えれば、四角いビルにするのか、三角のビルにするのかを検討している段階で、窓をどこにつけるのか、エレベーターはどこか、部屋の間取りをどうするのかは、今年度の末までに詰めていきたいと考えている」と答えた。
さらに、山元議員は、6月の「基本設計」の性格について、「どういうものか。3月の『大枠』は、『内閣の総合調整機能』ということで、閣議決定もされないまま公表されたが、『基本設計』はどうするつもりなのか。既成事実ばかりがどんどん進められるのはおかしいのではないか。国の将来にかかわることを勝手に決められては困る。『大枠』の内容、公制調で議論を積み上げてきたことを飛び越えているのではないか」と追及した。これに対して、石原担当相は、「行革推進事務局の設置、その後の作業は内閣法にもとづいたものである。また、公務員制度調査会とは、方向性や基本理念が違っているとは思わない。参考にしている点も多いと考えている」と答えた。
さらに、山元議員の、「給与・退職金についても検討をしていると聞いているが、労働組合と話し合いもしないで労働条件を一歩的に変更することはおかしいのではないか。国公法でも職員団体との交渉は保障されている。また、憲法第28条で保障されている労働三権の代償措置といわれる人事院機能が変更されるのだから、十分な議論が行われるべきである。交渉の当事者はだれなのか。それをはっきりさせた上で、交渉を行うことを明確にしてほしい」と追及した。これには、「どんないい制度を作っても公務員がいやになって、辞めてしまうようでは困るとは考えている。しかし、公務員だけでなく国民の視点も大切にするべきだと考えている。交渉の当事者と議論の場は、課題や状況によって変わってくる。法改正をする場合は、国会が審議の場となる」と答えた。
さらに、山元議員は、「大臣の答弁では納得できない。しっかり働いてほしいのなら労働組合との交渉に応じるべきだし、労働基本権のような大切な課題は、先に与えることをはっきりさせてから、検討を進めるべきである」と要求した。そして、最後に、「『大枠』が発表されたとき、有識者やマスコミはいっせいに『天下り』の規制が緩和されることに懸念を表明した。『天下り』の規制は『大臣の承認』で行うのではなく、第三者機関で基準をつくるなどしっかりした仕組みを作るべきである」と質問したが、これには、「考えに違いはない。お手盛りとの疑念を生じさせないように詰めていきたい」と答え、質疑は終了した。
連合官公部門がホームページを開設
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連合官公部門連絡会は、5月17日、インターネット・ホームページを開設した。今後も対策本部の取り組み、政府の動向について取り上げ、更新していく。
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