行革推進事務局との交渉が29日午後2時から行われ、「新たな人事制度」の検討案が提示された。この検討案は、6月中に取りまとめる「基本設計」のたたき台として示されたもの。交渉には、行革推進事務局側は西村事務局長、春田公務員制度等改革推進室長、高原参事官が対応、組合側からは大原・村瀬両企画委員と正副事務局長が参加した。
行革推進事務局側は、「新たな人事制度について」の検討案(別紙に概要)として、次のように説明した。
まず、制度改革の狙いとして、@信賞必罰の徹底、A適材適所の人事配置の実現、B人的資源の最大限の活用、C各府省における人事マネジメント体制の確立、の4点をあげている。そのうえで、新人事制度の骨格として、@8段階の等級体系とする能力等級制度や適任者抜擢と不適格者降任といった任用制度による人材活用・育成制度、A職務給原則を改め、能力給・職責給・業績給に分割する給与体系や賞与の基礎賞与(安定的支給部分)と業績賞与(業績反映部分)の2区分、さらに指定職の年俸制の導入といった給与制度、B現行の勤務評定制度に代え、能力評価と業績評価からなる新たな評価制度の構築、Cこの制度案は行政(一)職員を念頭においたもので、一般行政職以外は別途検討、との考えを示した。
このような行革推進事務局の説明に対し組合側は、次のように問題点を指摘し、あくまで交渉・合意によるとりまとめを強く迫った。
@ 検討案は「基本設計」のたたき台として提起したものとのことだが、まず、どのような絵を描くのか、労働基本権問題を含め全体像を示すべきである。
A 賃金・労働条件については、交渉と合意に基づいて決めるのが筋であり、公務員の場合「代償措置」の制度が採用され違憲性を免れている。したがって、制度見直しも代償機関が行うべきである。
B もし政府自らが制度見直しを行うのであれば、「基本設計」について、「十分な交渉と合意」を得るまで時期を延ばすか、あるいは、賃金・労働条件事項を除外するか、拘束力のない性格のものにしなければ、違法性・違憲性は免れない。
C 評価制度について、労働組合と協議して決める仕組みがないのは問題である。
D 人事制度以外の課題についても検討状況を示すべきである。
E 一般行政職以外の制度設計については、いつ頃取りまとめるのか。
F この問題での政府の対応は問題があるので、ILOに対する働きかけを行うことにしている。
こうした組合側の指摘に対し、行革推進事務局側は次のような見解を示した。
@ 検討案は新たな人事制度のたたき台である。意見があれば出してほしい。労働基本権問題については、制度全体の検討が進んでいないので、まだ見解を示せる段階でない。
A 6月中の「基本設計」取りまとめ、という時期は変わらないが、組合とは誠意を持って交渉に当たりたいと考えている。まだ、「基本設計」にどのようなものが盛り込めるのか固まっていない。
B 人事制度以外の課題として、再就職・「天下り」、国家戦略スタッフ群、採用制度等の課題があり、随時、検討案を示していきたい。
C 一般行政職以外については、「基本設計」をとりまとめた後、職務の特性等を勘案して別途検討することにしているが、その時期については、「基本設計」の段階で示せるようにしたい。
こうした見解に対し、あくまで、「交渉・合意」を前提とした取りまとめを行うよう重ねて求め、14日の石原行革担当大臣との交渉を申し入れて交渉を締めくくった。
検討案の概要(pdf 24K)
以上