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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.25 2001年6月6日

連合官公部門連絡会

厚生労働大臣に「提言」の実現を申入れ


 対策本部は6月6日、厚生労働省の南野(のおの)智恵子副大臣に会い、坂口力大臣宛の「公務員制度に関わる申入れ」(別紙)を手渡し、労働行政を扱う立場から特段の努力を求めた。
 申入れ事項は、@給与制度の見直しや評価制度の設計等の課題については、交渉・協議に基づく合意によって改革案を取りまとめること、A「基本設計」の取りまとめをに当たっては、「私たちの提言」を十分反映させること、の2点。この申入れには、対策本部から、丸山副本部長、斎藤事務局長、宮入副事務局長が出席した。
 丸山副本部長から、「私たちの提言」について説明するとともに、政府の行革推進事務局が進めている「基本設計」に向けての検討作業について、「給与・人事評価という全体設計のなかの一部の検討案しか示さず、肝心の労働基本権問題が抜けているのは納得できない」と推進事務局の姿勢を批判、「キャリア制度の廃止や天下りの禁止など公平・公正な民主的システムを作り上げるため努力してほしい」と要請した。
 これに対し南野副大臣は、「申入れについては坂口大臣に伝えるとともに十分検討させていただく。公務員制度改革については、現在、石原行革担当大臣を中心として取り組んでいる」とのべ、「各省の副大臣レベルの場でも検討したい」との考えを示した。


2001年6月6日

厚生労働大臣 坂 口  力 殿

連合官公部門連絡会 
代表委員 榎本庸夫
代表委員 榊原長一
代表委員 石川正幸
代表委員 中野高徳
代表委員 丸山建藏


公務員制度改革に関わる申入れ


 日頃より私たち公務・公共部門に働く労働者の処遇改善に向けて尽力されていることに敬意を表します。
 私たち官公労働者約200万人で組織する連合官公部門連絡会は、5月14日、全構成組織の討議を経て「公務員制度の民主的で抜本的な改革に向けた私たちの提言」を決定し、21世紀の社会にふさわしい公共サービスの担い手として「労働基本権の確立」を前提とした「民主的な公務員制度改革」の実現に向けて、引き続き総力を傾けて取り組む所存です。
 政府の行政改革推進事務局は、5月29日、公務員制度改革の「基本設計」に向けた「新たな人事制度について」の検討案を提示しました。しかし、制度設計にあたっての前提条件となるべき労働基本権の扱いや人事院の勧告制度の存否等については全く提示されておらず、「基本設計」の性格及び取りまとめに向けての手順も明示されていない等、「基本設計」に向けた「たたき台」としては極めて問題であります。
 賃金・労働条件は基本的な労使交渉事項であり、政府が私たちとの交渉・合意なしに、使用者である政府の裁量で「基本設計」の取り扱いや取りまとめを一方的に決められる性格のものではありません。行政改革推進事務局が一方的に「基本設計」の検討作業を進め、取りまとめを行うのであれば、労働基本権制約の代償措置を無視し、憲法に保障された基本的権利を侵害するという違憲状態を惹起することを強く指摘するものです。
 つきましては下記事項を申し入れますので上記の経緯を踏まえ、その実現に向け特段のご配慮をされますよう要請します。



一、基本的な労使交渉事項である給与制度の見直し及びそれと連動する評価制度の設計等の課題については、ILO条約並びに憲法・国内法を遵守し、交渉・協議に基づく合意によって改革案を取りまとめることを前提に交渉を行うこと。

一、「基本設計」取りまとめに当たっては、別紙、私たちの「提言」内容を十分反映すること。また、そのために政府の行革推進事務局と連合官公部門連絡会との常設の協議の場を設け率直な意見交換を行い成案を得ること。



連合鷲尾会長がジュネーブで記者会見
ILOで日本の公務員制度改革を取り上げるよう求める


 6月4日、ILO総会の開催地であるジュネーブで、鷲尾連合会長は記者会見を行い、ILO条約適用勧告委員会で日本の公務員制度改革を取り上げるよう求めていく考えを表明した。その内容は次のとおり。

日本におけるILO87号条約を巡る動きについて


T.日本の労働側代表団は条約勧告適用委員会において個別審査案件として、日本の87号条約問題をリストアップすることを求める。

U.その理由として、ILO条約の原則に反する二つの重大な事実を指摘する。
1.ILOはこれまで日本政府に対し改善勧告を行ってきた。しかし、日本政府はこれに応じず、決定過程への労働組合の参加、人事院勧告を完全かつ速やかに実施させるための制度的保障、管理職の範囲の拡大、自由な団結権を制約する職員団体登録制度などに関して、現状は、勧告時点に比べて悪化させられている。
2. 日本政府は、戦後50年ぶりの公務員制度の抜本的改革を進めているが、その中で、基本的な労使交渉事項である賃金・労働条件制度を交渉もなしに一方的に変更しようとしている。
 この公務員制度改革では、労働基本権制約の代償機能である人事院の本質的な諸権 限を剥奪し使用者たる各大臣に移譲させることが重要な柱となっている。

V.事実経過の概要は以下の通りである。
1.日本政府は、2000年12月1日、賃金・労働条件制度の根本的変更を伴う公務員制度改革の基本的方針を労働組合との協議や交渉を一回も行うことなく閣議決定した。
2.この閣議決定を実現するために、12月19日、総理大臣を長とし、全ての国務大臣を構成員とする推進本部を発足させ橋本元総理大臣を特命担当大臣に任命した。
3.橋本特命大臣は「3月までに大枠、6月末までに基本設計、秋以降法案策定作業を経て2002年1月の通常国会で新公務員法の制定をめざす」とするスケジュールを決定し公表した。
4.推進本部は、橋本大臣の指示したスケジュールに従って3月27日、「公務員制度改革の大枠」を確認し、公表した。
 この時点においても組合との交渉・協議は一回もなされず、「大枠」が政府・使用者側によって一方的に決められILO条約の原則は激しく蹂躙されている。
5.政府は、前記スケジュール通り「大枠」に基づいて「基本設計」とりまとめを急いでいるが、今日に至っても、賃金・労働条件制度に関する交渉は一回も行われていない。
6.政府は、組合側の「ILO条約の原則を遵守し、交渉に基づいて基本設計をとりまとめるべきである」との要求を拒否し続けているのみならず、法案策定の方針となる基本設計を6月末までに閣議決定または推進本部決定するとのスケジュール・方針を変えていない。

W.日本政府は、上記事実にもかかわらず87号条約の問題をILOで議論することは時期尚早であるとの認識を表明している。
 こうした態度はILOの貢献を拒否するものであり到底容認できない。
 日本政府は、ILO条約を遵守するとの方針を堅持するならば以下の見解を公式に表明するべきである。
1.これまで閣議決定された内容、3月27日に公表された「大枠」は、今後の交渉を一切制約するものではないとの見解を正式に表明すること。
2.労使交渉に応じ、誠実に協議を尽くし合意に努めること。
3.政府は、取り組んでいる公務員制度改革において、今日までのILOの指摘を真摯に受け止め、ILO基準の達成、その実現のために最大限努力するとの方針を表明するべきである。



6月4日・連合大阪官公労組連絡会が総決起集会
民間労組の仲間を含む800人で決議を採択



 連合大阪官公労組連絡会は、6月4日エルおおさか「エルシアター」で「民主的な公務員制度改革」を求める総決起集会を開催した。
 集会では連合大阪の田淵会長代行、自治労大阪府本部の山田委員長があいさつを行い、対策本部の岩岬事務局次長が情勢報告を行った。会場は、つめかけた800人の組合員の熱気につつまれ、制度改革への関心の高さをうかがわせた。また、連合大阪では、中央と連動し、民間労働組合への要請行動を実施している。そのため、この集会には民間労組の仲間も参加し、ともに取り組む決意を確認した。
 情勢報告では、5月29日に提示された「新たな人事制度について(検討案)」が、非民主的な手法で進められていることなどを指摘し、今後は国民の立場に立った制度改革の重要性・必要性を訴えるとともに、現在取り組んでいる「緊急署名」を成功させ、全国民的な運動を行っていくこと、今後も、民間労組の理解と協力を得ながら21世紀にふさわしい公共サービスを求めて運動を進めていくことを確認した。
 最後に「連合の基本要求」及び「提言」の実現にむけた集会決議を採択、参加者全員のガンバローで締めくくった。



6月4日・連合官公部門京都が学習会
緊急署名活動の達成、各種行動の取り組みを確認


 連合京都官公部門連絡会は、6月4日京都市で「公務員制度改革学習会」を開催した。この学習会には、各構成組織から100人が参加し、取り巻く情勢と今後のたたかいに対する意思統一を行った。
 学習会では、対策本部の岩岬事務局次長が、「今日の公務員制度改革は、公制調答申を受けたこれまでのものから一変している。現在の政治主導による改革は、通産キャリア官僚の独善的な発想から出されたもので、21世紀の社会や公共サービスの役割に対する理念や方策など全体像が示されていない。その上、労働基本権制約の代償機能である人事院や労働組合を無視した検討状況は、極めて違憲性・違法性が高い」と指摘した。
 また、6月中に取りまとめられる公務員制度改革の「基本設計」に対しては、「『私たちの提言』を掲げて、6月14日、6月26日に中央、地方での行動を配置して、民主的な公務員制度の確立を求める」と対策本部の考え方を示した。最後に緊急署名行動全達成をはじめとする、各種行動への積極的な取り組みを全体で確認した。

以上