本日6月8日午後6時(現地時間8日11時)スイス・ジュネーブからの連絡によると、現地で開催されている第89回ILO総会・条約適用勧告専門家委員会で、日本の87号条約の適用状況や、政府が進めている公務員制度改革の状況などが個別審査の対象として取り上げられることが正式に決定された。この決定は、連合及び連合官公部門連絡会の主張をILOが受け止めたもの。
日本の労働側代表団は、日本政府が、スト権を一律に禁止したり、交渉権を制限していることが87号条約に違反している上に、今回の公務員制度改革で労働組合との交渉・合意無しに一方的に「基本設計」を決定しようとしていることを批判し、国際労働基準にそった公務員制度改革を行うように求めることにしている。
これに対して、日本政府も労働側の発言に対する反論を行うことが予想されるが、審査が行われる日時については、現時点ではまだ決まっていない。条約勧告適用専門家委員会は、6月5日から開催されており、11日の週に日本問題の審議が行われ、19日に委員会報告が採択される予定になっている。
連合官公部門連絡会は、日本の公務員制度改革問題をILOの場で取り上げるために、代表団を6月2日から現地に送り、連合の会長や日本代表団と一体となった対策を行ってきた。緊急で、困難な取り組みにもかかわらず、国際自由労連(ICFTU)、国際公務員労連、(PSI)、教育インターナショナル(EI)の幹部や各国からの労働側代表、委員長に対策を進めたことで、この主張が受け入れられ、本日、取り上げられることが決定された。
連合官公部門連絡会は、これらの87号条約に関する日本問題の個別審査を通じて日本政府を追及し、国内の運動と合わせながら、あくまでも交渉・合意にもとづく公務員制度改革を求めていくことにしている。
なお、条約適用勧告専門家委員会での審査結果については、現地から情報が入り次第、対策本部ニュースとして掲載する。
衆議院・内閣委で社民党重野、民主党中沢両議員が石原行革相を追及
衆議院内閣委員会が6月8日開催され、社民党・重野安正議員(大分・自治労出身)、民主党・中沢健次議員(北海道・自治労出身)が公務員制度改革で石原伸晃行革推進担当大臣に対し質問を行った。
重野議員は以下のような質問をした。@6月に基本設計と言っているが国会の場での論議も不充分であり、いろいろな角度から論議をすべきである、A制度設計については労働組合の意見を受け止めて話し合いをすべきである、B労働基本権制約の代償機関としての人事院の機能を縮小するのであれば、労働基本権の回復が必要である、C各省が給与決定をすることになれば総人件費の枠、人件費の抑制・適正化などを決定していくルールはどうなるのか。
これに対し、石原行革大臣は、@労働側との意見交換は意味があると思って話し合いをしている、A6月末の公務員制度改革へむけ「指針」を論議している。その段階で労働基本権の問題も明確な答弁ができることになる、B各大臣を人事責任者とした場合の人事院の組織としての在り方を含め検討する、C労働基本権の問題は先週初めて与党3党として論議をしたところである、と答弁した。
また、人事院の中島総裁は、人事院の機能縮小となれば新たな労使関係の手立てが必要であり、労働協約を締結する団体交渉権の一歩手前の書面をとりかわすということもあるのではないかと答弁した。
中沢議員は、@自民党の太田誠一行革本部長は公務部門の改革では労働基本権の回復も辞さないと述べている。労働基本権問題は避けるべきでない、A推進事務局は労働基本権をさわりたくないのではないか。担当大臣として政治的リーダーシップを発揮すべきである、B行革担当大臣は使用者側交渉担当として最高責任者である。労働側の意見をしっかり受け止め、事務方を指導すべきである、と質問した。
これに対し石原行革大臣は以下のように答弁をした。@労働基本権は素通りはできないと考えている。われわれも問題意識があり何も議論をせずに通りすぎることはできない、B公務員制度が今の時代に合っていないというのは使用者、労働側両方が思っている。組合のトップとも信頼関係を築きたい、C6月以降が正念場でいいものを作っていこうと思う。基本設計の後が重要な時期、ポイントである、D改革をともにやるのであれば組合側ともとことんお付き合いをする。
最後に、中沢議員が6月13日の委員会で、ジュネーブで開催中のILO総会での論議を踏まえ、再度質問をすることを述べて質問を終えた。
6月6日・公務員連絡会青年連絡会・女性連絡会学習会
民主的改革にむけ職場から議論をまきおこそう
公務員連絡会青年連絡会・女性連絡会は、6月6日総評会館で「公務員制度改革学習会」を開催した。この学習会には、構成組織の青年部・女性部の役員90人が参加。今後の学習会の開催や、職場オルグによる緊急署名活動の目標達成、たたかう態勢の構築、労働基本権の確立を求めるアピールを確認した。
学習会では、対策本部の斎藤事務局長が基調講演を行い、公務員制度改革の問題点と連合官公部門連絡会の取り組みについて説明した。その後、「公務員制度改革」をテーマに分散会を行った。最後に、次の通り、民主的公務員制度改革にむけた取り組みを強化するアピールを採択した。@緊急署名活動の目標達成にむけて、各級役員の学習会による意思統一や、職場オルグ、教宣紙の発行などにより、職場組合員に青年・女性が主体的に呼びかけていく、A率直な議論を巻き起こし、この課題に対して職場からたたかう態勢を作り上げていく、Bこれらを通じて職場段階から団結を固め合い、これまで制約されてきた労働基本権の確立を求め、青年・女性が安心して働き続けられる権利を守るためたたかい抜く。
6月1日・連合大分学習会
民間組合にも理解される運動の構築めざす
連合大分は、6月1日、大分市コンパルホールで、「21世紀の公務員制度のあり方を考える学習会」を開催した。この学習会には250人が参加し、公務員連絡会の島幹事から、「公務員制度の改革をめぐる現状と課題」について講演を受けた。
連合大分では、官公部門連絡会、公務員連絡会が発足していないため、機関会議における議論の結果、連合大分主催として開催した。そして労働基本権の確立をはじめ民主的な労使関係をめざすことなど、公務員を取り巻く情勢と課題について学習を深めることができた。
連合大分は、この学習会を契機に、秋の定期大会まで、部門別連絡会の設置とりわけ官公部門連絡会発足をめざして大いに議論を行い、民間組合に理解される運動の構築を中央・地方が一体となって行っていくことを確認した。
以上