連合官公部門連絡会は6月14日、労働基本権を確立し民主的な公務員制度の改革を求める統一行動を全国で展開した。全国の職場で集会を行い「民主的な公務員制度を求める」決議を上げるとともに、第2次中央行動に取り組んだ。
第2次中央行動では、石原行革担当大臣との交渉や各政党・全議員への要請行動に取り組むとともに、雨のなか、全国から5000人の組合員を集めて中央集会を開き、労働基本権の確立を柱とした「提言」の実現に向け、総力を挙げた取り組みを行うことを意思統一した。
石原大臣交渉では、各職場から集められた緊急署名(160万2447人分集約)と連合参加の53の全民間組合からの団体署名(組合員総数550万人分)を提出し、改めて「基本設計」について「交渉・協議と合意」に基づくとりまとめを強く申し入れた。また、各政党への要請行動では、石原大臣への申入れ事項に対する協力と要求実現に向けての努力を要請した。
「労働基本権を確立し民主的公務員制度改革を求める第2次中央集会」は連合、連合官公部門連絡会の共催で、午後6時30分から日比谷公園大音楽堂で行った。
集会では、行動目標である@国際労働基準に基づく労働基本権の全面的確立、A連合「基本要求」・連合官公部門「提言」の実現、B交渉・合意なしの「基本設計」反対、という行動目標について意思統一を行った。一方、公務員連絡会は、午後4時から同会場で4000人が参加して中央集会を開催するとともに、国会請願デモを行った、あわせて、全国会議員への要請行動に取り組んだ。
【6・14中央集会の概要】
中央集会は轆轤対策本部副事務局長(全官公事務局長)の開会あいさつの後、議長団に中野(全郵政委員長)・榊原(日教組委員長)の両副本部長を選出、主催者を代表して笹森連合事務局長が次のように連合の決意を述べた。
@ジュネーブで開催されているILO総会で、日本の労働側代表は、条約勧告適用委員会で政府の公務員制度改革について問題を指摘し、総会で採択する議長集約のなかで、「組合との対話の確立を強く求める」との見解を盛り込ませることができた。
A政府・自民党は連合、連合官公部門の労働基本権に対する要求に耳を貸そうとしてこなかった。しかし、ILOがこの問題を取り上げたこともあり、本日行われた交渉で、石原大臣は、ILOでの政府見解を踏まえて、労働組合との交渉・協議に応じることを明確にしている。
Bすべての構成組織、地方連合が官公部門の署名に協力し、今までにない数の署名が届けられている。官公労働者の労働基本権確立と新たな労働運動の構築に向けて連合は総力をあげてたたかう決意である。
続いて、斎藤事務局長が経過報告を行い、集会に民間組合からの参加を得ていること、ILOの場で大きな成果をあげたことを報告し、連合と各構成組織の協力に感謝をのべ、以下のように経過報告した。
@石原大臣との交渉では、「職員団体と幅広く交渉・協議しつつ制度の内容について検討を行う」との見解を得た。
Aこれを受け、官公部門は、「基本設計」の取りまとめと制度の具体的設計は交渉で成案をうるとの立場を26日の交渉の場で明らかにするよう求めた。
Bこの間の運動の成果により、政府が一方的にすすめる公務員制度改革の作業に対し一定の歯止めをかけた。最後の詰めを強力にすすめていく決意である。
続いて、政党の代表から連帯のあいさつを受けた。
(民主党・古賀公務員制度改革プロジェクトチーム座長)
「民主党は公務員制度改革プロジェクトを立ち上げた。連合、連合官公部門の意見をききつつ我々の目指す公務員制度をまとめる作業をはじめている。来週にも政府に対し、労働基本権確立と21世紀の公務員制度の方向を申し入れる。民主的な公務員制度改革と労働基本権確立にむけてともにたたかう」
(社民党・重野組織労働局・公務員特対事務局長)
「6月末にも『基本設計』が閣議決定される可能性もあり、事態は大変切迫している。限られた時間内で最大限努力を行いたい。社民党は21日に、石原行革担当大臣に対して申し入れを行うことにしている。名実ともに総力をあげてともにたたかおう」
(自由党・都築国民生活社会保障・労働部会長)
「自由党は、自由と自立、多様な価値観が豊かに存在する社会を目指している、そのためには労働組合の活動が重要である。公務員の労働条件を切り下げることからはじまっている自民党の公務員制度改革は本末転倒であり、行政改革の全体像を明らかにするなかですすめられるべきものである。政官業癒着、利権政治を止めさせることが重要である」
この後、特殊法人等の整理・合理化に向け、事業の全面的な見直しが行われている問題について、政労連・豊島書記長が「政労連は今年結成40周年を向かえるが、この間、50の法人が統廃合、民営化でなくなっている。行政改革の中で特殊法人改革も取り上げられているが、国民的立場で改革論議をすすめること、働く者の雇用、勤務労働条件をどうするのかを課題として運動を進めている。連合官公部門の一員としてともにたたかっていく」との決意をのべた。
集会は、国公総連の高良さん(沖縄国公労執行委員)の集会決議(資料1)の提案・採択、丸山副本部長(国公総連委員長)の音頭で団結がんばろうを三唱し、「提言」を実現するため、最後まで総力を挙げて闘うとの決意を表し、終了した。
【公務員連絡会中央集会の概要】
公務員連絡会が、午後4時から日比谷大音楽堂で開いた「中央集会」には、雨が降りしきるなか全国から4000人が参加した。
吉尾幹事の開会あいさつで始まり、石川副代表を議長に選出した。
主催者あいさつにたった丸山代表委員は、「政府・行革推進本部の動向は、労働基本権の検討を後回しにして、代償措置や制度を廃止するとの危惧がある。一般の公務員に労働基本権を付与させるため、いっそうの取り組み強化が必要だ」と指摘。今後のたたかいでは、「これからの具体的な制度設計では、一方的な検討を許さず、政府・行革推進事務局としっかり労使交渉、協議をすすめる。合わせて、政治的側面から与野党対策もすすめる。国民、民間労組の支援、理解を求め、世論を盛り上げることも重要だ。たたかいを通して労働基本権を確立するとの原則を踏まえ、地にしっかりと足をつけた運動をすすめよう。50年に及ぶ戦後の公務員労働法制の大転換に向けて、公務員労働者の総決起を呼びかける」と檄をとばした。
次に斎藤事務局長が経過報告を行い、「これまで政府・行革推進事務局から明確な回答を得ていない。一方で国際的な舞台では、ILO総会対策を進めた結果、日本政府に対し労働組合との誠意ある対話と速やかな措置を促す条約勧告適用委員会議長報告が全体会議で採択される見通しとなった。日本政府にとっては従来にない厳しい内容であり、これは連合をはじめとする努力の成果と確認できる。こうした国際社会での取り組みを背景にした本日の石原行革担当大臣との交渉では、6月末の基本設計に向け幅広く交渉、協議を行いつつ検討するとの回答を引き出した。政府としてはじめて公務員労働組合との交渉・協議という言葉を正式に表明した。このことは、政府がILOでの結論について認識したことを意味するものだ。26日の最終回答の要請にも応ずる旨の見解が示された。これまでの職場、地域からのたたかいが、政府から前進した回答を引き出したことを確認できる」と報告した。
決意表明では、日教組、税関労連、全水道、国交職組、青年・女性連絡会の仲間が、職場・地域から取り組みをすすめる決意を述べた。
鈴木副代表委員の団結がんばろうのあと、参加者は国会請願デモに出発。「交渉・合意なき基本設計反対」「労働基本権を確立しよう」「民主的な公務員制度確立」などのシュプレヒコールを霞が関に響き渡らせた。国会では、出迎えた民主党、社民党の国会議員と熱いエールを交わし、ともに取り組みをすすめる決意を固め合った。永田町小学校前までの行進を終えた参加者は、その足で次の連合官公部門連絡会の集会会場に向かった。
資料1:6.14集会決議
集 会 決 議
私たちは、前近代的・閉鎖的な現行公務員制度を、労働基本権の確立を中心とする民主的な公務員制度に改革する立場から、緊急署名行動を中心とした諸行動を展開し、本日、この集会に結集した。
今次公務員制度改革においては、基本的な労使交渉事項である給与制度や賃金・労働条件の大きな改革方針が提起されているにもかかわらず、政府・行政改革推進事務局おける「基本設計」に向けた検討は、引き続き不透明な過程において進められている。
私たちは、これらの検討の手続きと先般提示された「新たな人事制度について」の検討案に対して、改めて抗議の意を表明する。
その第一は、賃金・労働条件は交渉により決定することが原則であり、その原則を無視した行革推進事務局の検討は、労働基本権制約との関わりで違憲性の疑いが強いものであるとともに、使川者である政府が一方的に給与・人事制度の見直しに関する検討を行っていること。
第二に、公務員制度改革の根幹である労働基本権の確立については、「細部の検討を先行し、全体像において検討する」とした本末転倒の対応であること。
第三に、抜本的改革を旗印にしながら、具体的な検討は給与・人事制度に特化し、その問題意識が霞ヶ関のごく一部の官僚の処遇の改善であること。
第四に、「誠意を持って対応する」と表明しながら、「基本設計」策定までの時間的制約を前提として、事実上、一方的な検討を進めていることである。
社会経済情勢が大きく変化している今日、国民生活における安心・安心・安全を確保する社会的セーフティネットの再確立と持続可能な福祉型社会の創造に向けて、公共サービスが果たすべき役割は極めて重要であり、公務員制度はそれを支える基盤とならなければならない。その意味で、国民と日常的に接し、国民のニーズを理解している現場から公務貝制度を改革することが強く求められている。
一方、今日、「基本設計」をめぐる攻防は、その性格、制度改正への手順、進め方、スケジュールなどについて、事実上の最終局面に入った。
私たちは、当面する「基本設計」への対心に集中するとともに、「労働基本権の確立」と「民主的な公務員制度改革」を前提とした連合の「基本要求」、そして連合官公部門の「提言」を実現するため、最後まで総力を挙げた取り組みを展開する。
以上、決議する。
2001年6月14日
連合・連合官公部門連絡会
労働基本権を確立し民主的な公務員制度改革を求める6.14中央集会
石原行革担当大臣と交渉
制度内容について、今後の交渉・協議を約束
連合官公部門連絡会は、14日午後1時45分から、内閣府で石原行革担当大臣と交渉した。「私たちの提言」を提出した5月16日の初交渉以来およそ1か月振りの交渉となり、改めて「基本設計」について「交渉・協議と合意」に基づく取りまとめを強く申し入れた。
交渉には、石原大臣のほか行革推進事務局の西村事務局長、春田公務員制度等改革推進室長が同席した。対策本部側からは、榎本本部長(自治労委員長)、中野(全郵政委員長)・丸山(国公総連委員長)両副本部長、轆轤副事務局長、山本事務局次長が出席した。
冒頭、榎本本部長が、構成組織の組合員・家族による緊急署名の一部を提出、「実質わずか2週間という短期間の取り組みであったが、集約された160万筆に込められた思いを重く受け止めていただきたい」と訴えた。さらに連合参加の53の全民間組合(組合員総数550万4000人)から寄せられた「私たち提言」と「連合の基本要求」の実現を求める団体署名を手渡した。そして、次のような3項目の基本要求の実現(資料2)を求め、合わせて「基本設計」に向けた作業の進捗状況と今後の見通しについて質した。
@「基本設計」の取りまとめにあたっては、連合官公部門の「提言」に基づいた十分な交渉・協議を行い、合意すること。
A国際労働基準に基づき、労働基本権を全面的に確立し、団体交渉による賃金・労働条件決定制度の確立と労使協議制度の法制化を行うこと。
B国民本位の中立・公正で透明な行政や分権的で参加型の行政システムへ転換するため、「キャリア制度」の廃止や「天下り」の全面禁止など、民主的な公務員制度を確立すること。
これに対し石原大臣は、次のような見解を示した。
@現在、6月末に「基本設計」を取りまとめるべく作業中である。「基本設計」の案については、なるべく早く皆さんにも示してご意見を伺ってまいりたい。
Aいずれにせよ、今後の改革を進めるに当たっては、職員団体と幅広く交渉・協議しつつ制度の内容について検討を行ってまいりたい。
こうした見解表明に対し、組合側は、開会中のILO総会で日本の公務員制度改革が取り上げられ、審査の結果、「日本政府に対話促進を強く求める」との議長見解がだされたことを指摘、さらに、「今後においては、職員団体と誠実に交渉・協議しつつ、制度の内容について検討を行う」とした日本政府の公式見解を「国際的公約となっている」としたうえで、「基本設計」の取りまとめと制度の具体的設計は交渉で成案をうるとの立場を26日の交渉の場で回答するよう求めた。
この申入れについて、石原大臣は、「26日にお会いできるよう日程調整したい」とのべ、「基本設計」取りまとめ前の26日に交渉する意向を示した。
資料2:石原大臣への要請書
2001年6月14日
行政改革担当大臣
石 原 伸 晃 殿
連合官公部門連絡会
代表委員 榎本庸夫
代表委員 榊原長一
代表委員 石川正幸
代表委員 中野高徳
代表委員 丸山建藏
公務員制度改革に関する要請書
常日頃より私たち公務・公共部門に働く労働者の処遇改善に向けて尽力されていることに敬意を表します。
私たちは、連合の「21世紀の公務員制度・労働基本権確立の基本要求について」及び連合官公部門連絡会の「公務員制度の民主的で抜本的な改革に向けた私たちの提言」を踏まえ、21世紀の社会にふさわしい公共サービスの担い手として、労働基本権の確立を前提とした民主的な公務員制度改革の実現を強く求めています。
政府の行政改革推進事務局は5月29日、公務員制度改革の「基本設計」に向けた「新たな人事制度について」の検討案を提示しました。しかし、この検討案は、制度設計にあたっての前提条件となるべき労働基本権の扱いや人事院の勧告制度の存否等について全く提示されておらず、「基本設計」の性格及び取りまとめに向けての手順も明示されていない等、「基本設計」に向けた「たたき台」としては極めて問題であります。
賃金・労働条件は基本的な労使交渉事項であることから、使用者である政府は私たちとの交渉・合意による「基本設計」の取り扱いや取りまとめを行うことは当然のことであります。
現在行われているILO総会でも、日本政府の「公務員制度改革」がILO87号条約違反として個別審査が行われ、日本政府は「大枠・基本設計は制度の具体的な内容を決定するものではなく、基本設計提示後も職員団体など関係者と誠実に交渉・協議してまいりたい」旨を表明しています。
行政改革推進事務局が一方的に「基本設計」の検討作業を進め、取りまとめを行うのであれば、労働基本権制約の代償措置を無視することになり、憲法に保障された基本的権利を侵害するという違憲状態を惹起することを強く指摘するものです。
以上の経緯を踏まえ、公務員制度改革の「基本設計」策定にあたって、下記事項を要請しますので、6月26日までに回答いただきますようお願い申しあげます。
記
一、基本的な労使交渉事項である給与制度の見直し及びそれと連動する評価制度の設計等の課題について、ILO条約並びに憲法・国内法を遵守し交渉・協議に基づく合意によって改革案を取りまとめるとの基本姿勢を明確にし、6月「基本設計」取りまとめを延期するなどの措置をとること。
一、「基本設計」取りまとめにあたっては、連合の「21世紀の公務員制度・労働基本権確立の基本要求について」及び連合官公部門連絡会の「公務員制度の民主的で抜本的な改革に向けた私たちの提言」内容を十分反映すること。また、そのために常設の協議の場を設け率直な意見交換を行い成案を得ること。
各政党に要請行動
労働組合との交渉、「提言」の実現に協力を求める
6月14日は、各政党への要請行動も行われた。政党への要請行動は、自由党に対して11時30分から、公明党に対して13時55分から、民主党に対して14時30分から、社民党に対して16時30分から、構成組織委員長、書記長、事務局らが要請を行い、行革推進事務局の「基本設計」取りまとめにあたっては、@労働組合との交渉・協議に基づく合意によること、A6月取りまとめは延期すること、B連合の「基本要求」と「私たちの提言」を十分反映すること、と要求事項を説明し、理解と協力を求めた。なお、自民党への要請行動は後日、保守党へは6月15日を予定している。
【民主党】
民主党への要請行動は、衆議院内民主党議員控室で行われた。連合官公部門からは榎本、丸山、榊原各代表委員と斉藤対策本部事務局長が出席、民主党は菅直人幹事長が対応した。
榎本代表委員から「6月の基本設計は、橋本元総理が担当大臣を務められていた時に行革推進事務局が設定したものと比重が異なってきているようだ。しかし、当初から人勧体制を変更しようとしているわけであり、それに対しわれわれは労働基本権の確立を軸に取り組みを進めている」と今日の公務員制度改革をめぐる情勢と取り組みの基本を紹介。そして要請書並びに「提言」を手渡し、「働く者の立場だけからではなく、国民にとってどういうもの公務員制度が望ましいかを基本的な視点として『提言』を取りまとめた。こうした『提言』の考え方に立ち、われわれとの意見交換を通じて必要な対策等を進めていってほしい」と要請した。
これに対し菅幹事長は、「党としては、古賀一成議員を座長、金子善次郎議員を事務局長とする公務員制度改革プロジェクト・チームを6月8日たち上げ、すでにヒアリング等を実施している。このプロジェクトを含め、いろいろなレベルで意見交換をしていきたい。『提言』については党としてよく勉強させていただく」と応え、今後も意見交換をしていくことを約束した。
【社民党】
社民党への要請行動は、衆議院第1議員会館で行われ、足立全水道委員長、小田全林野副委員長、事務局が参加した。社民党からは、中西績介副党首(公務員特対委員長)、重野安正衆議院議員(公務員特対事務局長)が応対した。
足立委員長は、行革推進事務局が、労働条件に関わることを変更しようとしているにもかかわらず、労働組合と交渉を行わないことを説明し、ILO総会でも個別審査の対象として取り上げられたことを報告した。そして、「基本設計」の取りまとめにあたっては、@労働組合との交渉・協議に基づく合意によること、A6月取りまとめは延期すること、B連合の「基本要求」と「私たちの提言」を十分反映することについて、協力を求めた。
これに対して、中西副党首は、行革推進事務局の姿勢と作業の手法を批判しつつ、「社民党として、来週にも石原担当大臣に申入れを行いたい。行革推進事務局の状況、ILOでの日本政府発言などを調査し、早急に対応したいと考えている」と協力を約束した。
【自由党】
自由党への要請行動は、衆議院第1議員会館自由党会議室で行われ、村瀬国公総連書記長、菊池国税労組書記長、増田全郵政中執が、自由党は、塩田団体渉外委員長、小島団体渉外委員会事務局長が応対した。
塩田団体渉外委員長は、「自民党がめざしているのは人事院の廃止である。しかし、各省大臣に人事権を与え、任用、評価、給与決定等を行わせることには疑問がある。信賞必罰などは、大臣の主観が入ってしまうのではないか。労働組合には、重要な課題として取り組んでほしい、きちんと交渉・協議をする必要がある。公務員制度の改革については、必要と考えるが、やり方が問題だと思う。衆議院内閣委員会の質疑では、労働組合や関係者の意見を聞いて、時間をかけて作業すると答弁されているが、実際はそうなっていないことがよくわかった」と答えた。
【公明党】
公明党に対する要請は、13時55分から、衆議院内で行われ、対策本部は石川国税労組委員長、東田都市交書記長、江畑全印刷書記長、斎藤事務局長が出席、公明党は若松兼維行政改革・地方分権特別委員長、北側一雄政調会長、河上覃雄団体渉外委員長が対応した。 公明党に対しては、すでに6月5日に申入れを行っていたことから、14日は、160万人分の署名を集約したことやILOの条約勧告専門家委員会で日本政府が「基本設計は今後の交渉・協議を制約しない」「今後は労働組合と誠実に交渉・協議していく」と約束したことなど状況を説明し、改めて「政府が労働組合との誠実な交渉と協議を約束して、合意に基づいて民主的な公務員制度改革を実現するよう」公明党の与党としての協力を要請した。
要請に対し、公明党側は「公務員制度改革に当たっては、組合のみなさんとの話し合いが大事なのでしっかり話し合うよう政府に強く申し上げてきており、伝わっているのではないかと思う。『基本設計』は行政改革推進本部決定という形になると聞いているし、改革の具体化に向けた組合との話し合いの窓口は開いているものと認識している。推進事務局から提起されている改革案は画期的な内容であるだけに、組合との十分な協議なしには円滑に進むはずはない」との考え方を示し、政府に対し、組合と十分話し合いをしながら進めていくよう公明党としても働きかけていくことを約束した。
緊急署名は160万人分、団体署名は53民間全組合から集約
連合官公部門連絡会は、「労働基本権を確立し、民主的な公務員制度改革を求める緊急署名」と連合に加盟する民間労働組合に対する「団体署名」を提起し、取り組んできた。その結果、6月14日現在で、160万2447人分を集約した。団体署名については、連合加盟の民間労働組合数である全53団体(組合員数550万4000人)からの署名を集約した。これらの署名は、6月14日、13時45分から行われた石原行革推進担当大臣との交渉で、一部を手渡し、残りについても、15日トラックで行革推進事務局に運び込んだ。
<対政府要請署名にご協力をいただいた民間労働組合と組合員数>
組合名 組合員数 組合名 組合員数
1 自動車総連 760,700 28 チェーン労協 34,000
2 電機連合 737,800 29 全国ガス 30,000
3 ゼンセン同盟 575,000 30 航空連合 27,200
4 JAM 476,700 31 セラ連合 26,500
5 生保労連 340,200 32 全銀連合 25,600
6 情報労連 265,300 33 印刷労連 23,000
7 電力総連 254,500 34 全国農団労 22,700
8 CSG連合 205,100 35 非鉄連合 22,000
9 私鉄総連 160,400 36 石油労連 22,000
10 鉄鋼労連 157,800 37 全競労 18,300
11 運輸労連 135,100 38 NHK労連 12,100
12 食品連盟 126,600 39 建設連合 11,000
13 造船重機労連 121,000 40 新化学労連 8,500
14 商業労連 119,800 41 全労金 7,400
15 化学リーグ21 100,400 42 全国セメント 6,300
16 交通労連 88,900 43 新運転 4,100
17 JR連合 72,500 44 繊維・生活労連 2,700
18 JR総連 65,900 45 労済労連 2,200
19 化学総連 65,000 46 全国競馬連合 2,100
20 ゴム連合 52,700 47 JA連合 2,000
21 紙パ連合 51,000 48 全造船機械 2,000
22 全国一般 48,200 49 港運同盟 1,600
23 損保労連 43,400 50 自運労 1,500
24 全自交労連 42,000 51 炭労 1,100
25 レ・サ連合 40,600 52 全炭鉱 1,000
26 海員組合 40,000 53 全映演 500
27 全電線 40,000 合計 5,504,000
以上