連合官公部門連絡会は、6月15日午後3時から、首相官邸で福田官房長官に会い、小泉総理大臣宛申入書を提出した。申入れは、@給与制度見直し等について、交渉・協議に基づく合意により改革案を取りまとめること、A「基本設計」に私たちの「提言」を十分反映すること、の2点で、これらの実現にむけ特段の尽力を要請した。この申入れには、対策本部の榎本本部長(自治労委員長)、丸山副本部長(国公総連委員長)、斎藤事務局長、山本事務局次長が出席した。
榎本本部長が申入れ事項を説明、福田官房長官に対し「公務員制度改革については、ILOの審査結果を踏まえて、組合との交渉・協議により合意のもとに進めるべきである」と強く要請し、さらに「私たちの提言」の考え方を説明して理解を求めた。
これに対し福田官房長官は、@公務員制度改革については、石原担当大臣のところで検討しているが、制度全体が社会のなかで有効に機能していかないといけない考えており、バランスのとれたものにしていく必要がある、A官公部門の「提言」については、これから十分勉強させてもらう、との考えを示した。
組合側は、「50年に1度あるかないかの改革であり、生涯を職業公務員として全うできるきちんとした制度設計を行うべきである」との意見をのべ、申入れを終えた。
保守党に対して要請行動
労働組合との交渉、「提言」の実現に協力を求める
連合官公部門連絡会は、6月15日、保守党に対して要請行動を行った。この要請は、昨日の全国統一行動に併せて行われた各政党への要請行動の一環で、14時30分から参議院議員会館で行われた。組合からは国税労組の石川委員長、国公総連の村瀬書記長、税関労連の高下事務局長が参加し、保守党からは、入澤肇参議院政調会長が応対した。
要請では、国税労組の石川委員長が要請書を手渡し、@給与制度見直し等について、交渉・協議に基づく合意により改革案を取りまとめること、A「私たちの提言」と連合の「基本要求」を十分に反映させること、など要請の趣旨を説明し、行革推進事務局に対して、意見反映を行うよう理解と協力を求めた。
これに対して、入澤参議院政調会長は、「公務員の不平等な人事システムを是正してほしいという期待が高まっており、新しい時代にふさわしい平等な制度が必要と考えている。現在のように採用から退職まで身分制度が固定されているのはいかがなものか。敗者復活の仕組みを作ったり、官民交流を活発にすることで、活力が生まれてくるのではないか。また、『信賞必罰』については、困難な課題が多くあると考えている。方向性について同じ点もあるので、今後も話し合いたい」とのべた。
資料:内閣総理大臣への申入書
2001年6月15日
内閣総理大臣
小泉 純一郎 殿
連合官公部門連絡会
代表委員 榎本庸夫
代表委員 榊原長一
代表委員 石川正幸
代表委員 中野高徳
代表委員 丸山建藏
公務員制度改革に関わる申入れ
日頃より私たち公務・公共部門に働く労働者の処遇改善に向けて尽力されていることに敬意を表します。
私たち官公労働者約200万人で組織する連合官公部門連絡会は5月14日、全構成組織の討議を経て「公務員制度の民主的で抜本的な改革に向けた私たちの提言」を決定し、21世紀の社会にふさわしい公共サービスの担い手として「労働基本権の確立」を前提とした「民主的な公務員制度改革」の実現に向けて、引き続き総力を傾けて取り組む所存です。
政府の行政改革推進事務局は5月29日、公務員制度改革の「基本設計」に向けた「新たな人事制度について」の検討案を提示しました。しかし、制度設計にあたっての前提条件となるべき労働基本権の扱いや人事院の勧告制度の存否等については全く提示されておらず、「基本設計」の性格及び取りまとめに向けての手順も明示されていない等、「基本設計」に向けた「たたき台」としては極めて問題であります。
賃金・労働条件は基本的な労使交渉事項であり、政府が私たちとの交渉・合意なしに使用者である政府の裁量で、「基本設計」の取り扱いや取りまとめを一方的に決められる性格のものではありません。行政改革推進事務局が一方的に「基本設計」の検討作業を進め、取りまとめを行うのあれば、労働基本権制約の代償措置を無視し、憲法に保障された基本的権利を侵害するという違憲状態を惹起しかねません。
つきましては下記事項を申し入れますので上記の経緯を踏まえ、その実現に向け特段のご配慮をされますよう要請します。
記
一、基本的な労使交渉事項である給与制度の見直し及びそれと連動する評価制度の設計等の課題については、ILO条約並びに憲法・国内法を遵守し、交渉・協議に基づく合意によって改革案を取りまとめることを前提に交渉を行うこと。
一、「基本設計」取りまとめに当たっては、別紙、私たちの「提言」内容を十分反映すること。また、そのために政府の行革推進事務局と連合官公部門連絡会との常設の協議の場を設け率直な意見交換を行い成案を得ること。
以上