対策本部では、公務員制度改革に関する運動への理解と協力を求めるため、民間組合への要請行動を開始した。この要請行動は、12日開催の連合中央執行委員会で確認された「連合官公部門労働基本権問題への当面の取り組み」方針を踏まえて行ったもの。初日の13日は、榎本本部長をはじめ丸山・榊原両副本部長、石川国税労組委員長および事務局が、自動車総連を皮切りに鉄鋼労連・電力総連・商業労連・生保労連の5単産本部を訪問、各組合とも会長・委員長クラスのトップが対応した。連合官公部門側は、各府省の人事管理権限の一方的強化など政府の「大枠」の考えを説明し「国際労働基準に沿って官公労働者の労働基本権を確立し、賃金・労働条件は民間と同じように労使の交渉で決める仕組みに改めたい」と訴え協力を求めた。これに対し民間組合からは、連合の取組み方針を踏まえ組織内で議論する等の考えが示された。
なお、対策本部では来週以降、16日電機連合・私鉄総連・ゼンセン同盟、17日情報労連・産別労組JAM・食品連合の順で要請行動に取り組み、今月中に全民間組合を訪問することにしている。
13日午前中に訪問した自動車総連、鉄鋼労連での意見は次のとおり
〈自動車総連・草野会長〉
@ 行政改革や規制改革問題では組織として一定の政策をつくっているが、公務員制度改革問題ではあまり議論していない。労組としてどう考えるか一定の整理は必要だと思う。中執会議で、12日の連合執行委員会と本日の要請について報告して議論を始めていきたい。
A 個人的な考えだが、公務員にも労働基本権は当然にあるべきだと思う。ただし、警察と軍隊は制約されてもしようがないのではないか。
B 民間は人勧制度や仲裁制度の仕組みはほとんど知らないので、説明が必要だ。労働基本権を回復した場合、何がどのように変わるかに関心が集まるのではないか。身分保障との関係でいえば、雇用保険をどうするかという問題がでてくるのではないか。
〈鉄鋼労連・荻野委員長〉
@ 公務員制度を変えないと分権も進まないし、日本全体の活力も生まれない。要請の内容については賛成であり、協力する。
A 民間は公務員のことはよく分からないというのが正直なところなので、いろいろと教えてもらいたい。
2001年4月13日
各 位
連合官公部門連絡会
代表委員 榎本 庸夫
代表委員 榊原 長一
代表委員 石川 正幸
代表委員 中野 高徳
代表委員 丸山 建蔵
民主的公務員制度改革の取り組みへの協力要請
貴組織の連日のご健闘に心から敬意を表します。また、連合官公部門の運動に対する日頃のご指導・ご鞭撻に感謝申し上げます。
さて、政府は3月27日「公務員制度改革の大枠」を決定しました。6月までに「基本設計」を取りまとめ来年には国家公務員法・地方公務員法の改正をめざすとしています。
「大枠」では、信賞必罰の人事制度の確立、戦略的な政策立案を行う「国家戦略スタッフ群」の創設、労働基本権制約の代償措置である人事院の権限を縮減し各府省大臣による人事管理権限を強化しようとしています。
公務員には労働基本権制約の代償措置として、人事院による勧告制度が続けられてきました。人事院の諸機能を廃止するのであれば、国際労働基準に沿って官公労働者の労働基本権を確立し、公務部門においても給与・人事などの労働条件は、民間同様、労使交渉で決めるべきです。
私たちは事態の重要性に鑑み「労働基本権確立・公務員制度改革対策本部」(本部長・榎本代表委員)を設置し組織の総力をあげて取り組みを進めています。私たちは、国民が求める行政改革・公共サービスの確立、それを実現するための民主的公務員制度改革案を5月中旬までにまとめる予定です。また、連合も「大枠」の公表に際しては、いち早く事務局長談話を発表し、「官公労働基本権・公務員制度改革プロジェクト」を立ち上げ、第21回中央執行委員会では「官公部門労働基本権問題への当面の取り組みについて」を決定していただきました。
民主的公務員制度改革実現のため、国民世論を喚起する運動を連合とともに築く考えで、改めて具体的な運動へのご協力を要請する所存です。
こうした私たちの置かれている状況にご理解を頂き、公務員の労働基本権の確立と、民主的な公務員制度改革を実現するため、ご尽力を賜りますようお願い申し上げます。
以上