対策本部は、12月13日午前11時から、行革推進事務局の西村事務局長と交渉し、改めて「公務員制度改革大綱」原案の提示を受けた。この「大綱原案」では、依然として労働基本権のあり方について触れられていない。このため組合側は、こうした政府・行革推進事務局の姿勢に強く抗議、実のある誠実な交渉・協議を保障するため、年内に予定している「大綱」策定の時期を延期するよう求めた。交渉には、推進事務局から、西村事務局長、春田公務員制度改革等対策室長が対応、対策本部側は、山本事務局長、書記長クラス交渉委員が出席した。
冒頭、山本事務局長は、13日付の一部新聞報道で「労働基本権問題は引き続き現行の枠組みを維持」と報じられている問題について、「組合に提示のないまま、政府が方針を決めたという新聞報道が事実とすれば、われわれへの背信行為であり問題である」として抗議し、説明を求めた。
これに対し西村事務局長は、「新聞報道は関知しない。12日の自民党行革推進本部で基本権を動かさない方向で『大綱』を策定する考えが決められたが、与党の手続きもあり、この問題で政府が方針を決めたというのは事実に反する」と述べ、新聞報道を否定した。
対策本部側はこうした説明を踏まえ、「今日に至っても、労働基本権のあり方について組合側に提示せず、もはや、実のある誠実な交渉・協議を保障するタイムリミットは過ぎてしまった。ILOで政府が約束した通り、十分な交渉・協議のもとで決めていくべきだ。そのためには年内『大綱』決定を延期すべきだ」として、「大綱」決定時期の延期を強く求めた。
西村事務局長は、「6月の『基本設計』で12月『大綱』策定を決めてあり、この時期を変えることは諸般の事情から難しい」と述べ、年内には「大綱」を決定する意向を示した。
しかし対策本部側はこれに納得せず、「労働基本権問題が明記されていない『大綱原案』は『原案』ではなく、我々が賛否を決められないということは推進事務局も認めており、十分な交渉・協議が行われていない現状にあるということはお互い確認できることだ。従って、@『大綱』決定を延期するかA『大綱』の中に政府の一方的な案であって今後の交渉・協議によって変わりうるもの、と書くか、どちらかの対応を行うべきだ」とさらに迫った。
これに対して西村事務局長は「我々としては誠意を持って対応してきたつもりであり、これからも誠心誠意交渉・協議するつもりだが、今の提案を踏まえて、どう『大綱』に書くかは後日改めて相談させてもらいたい」と、決定は動かせないが今後の交渉・協議のあり方は改めて相談するとの見解を示した。
対策本部側は、最後に、石原行革担当大臣から「基本権について政府の正式な回答」を提示するよう、大臣交渉の早急な実施を要請し、推進事務局は、「できるだけ早く大臣から説明できるよう努力したい」との考えを示した。
一方自民党は、12日午後開いた行革推進本部・本部長会議で、政府の行革推進事務局から示された公務員制度改革の「大綱原案」(労働基本権のあり方、退職ルール、今後の取り組み等については入っていないもの)を検討し、これを了承した。この中で自民党行革推進本部は、労働基本権の扱い問題について協議、「当初から労働基本権については触れない範囲で制度設計を行ってきたが、公務員制度については基本権について触れないで新しい時代に対応できるものができた」との認識で一致し、今後これ以上この問題については議論しないことも確認した。これにより、自民党行革推進本部としては労働基本権は現行のままとする方針を確認したこととなる。与党協議会や政府・行革推進事務局の手続は残されているが、今回の公務員制度改革で労働基本権を現行のままとする政府・自民党の方針は実質的に固まったこととなる。
以上