16日から調停作業に取り組んでいた中央労働委員会は24日未明、国営企業労使双方に対し基準内賃金を加重平均で0.07%、210円(定昇込み2.0%、6、004円)引き上げる、との調停委員長見解(別紙1)を提示した。この調停委員長見解は、今年の民間賃上げ動向をわずかに反映した内容となった。また、今回の調停作業において、国営企業部会が強く求めてきた官民格差問題などについて、「国営企業の今次合同調停作業のなかで、労使から指摘された各事項については公益委員として十分に受け止め、現在公労使委員による検討委員会で検討中であることを踏まえて、誠心誠意議論を尽くしたい」との調停委員長の口頭説明が示された。
国営企業部会は、別紙3の声明を発表し、賃金水準改善の取り組みを継続していくとともに、仲裁裁定の早期提示と即時無条件完全実施に向けた取り組みを強化していくこととした。
調停委員長見解(pdf 6k)
調停委員長共同経過説明
1 国営四企業の今時賃金紛争については、4月13日の当局の有額回答後、16日に組合側から調停申請があり、中労委は、各事件ごとの調停委員会を設置しました。
各調停委員会は、17日及び19日の両日にわたり、労使双方から事情聴取を行いました。
その中で組合側からは、官民格差は依然として存在しており、中期的視点に立って、その解消を図ること、民間賃上げ動向については正確に把握した平均賃上げ状況を基本としつつ、個別賃上げ状況も考慮すること及び最近の情勢変化を踏まえ現状に即した比較手法の改善を図ること、との主張がありました。
また、国営企業の業況及び経営の効率化、サービスの向上などの改善努力に対する評価について、労使それぞれの立場から見解の表明がありました。
2 こうした中で、調停委員長としては、従来どおり、国営企業職員と民間労働者との賃金水準の均衡を図ることを基本とし、民間賃金との水準比較結果や、民間賃上げの動向、個別賃金方式による妥結状況等について慎重に検討を行うとともに、国家公務員の給与の状況、最近における民間企業の厳しい経営環境や中小企業の賃上げの動向についても考慮しました。
なお、経営状況を賃金に反映させることについては、従来の考えどおり基本的賃金の引上げについては、国営企業間に格差を設けることは適当ではないと考えました。
3 調停委員長としては、以上のことを踏まえて、調停委員会の合同会議を重ねる中で調停作業を進め、その最終段階において、上記のような諸事情などを総合勘案して、解決案の骨格を示しましたが、調停は難航して労使の一致した意見が得られませんでした。このため、調停委員長として「0.05%+60円」の賃金引き上げ案を労使委員に提示し、調停案の作成を求めましたが、労使委員の同意が得られず、調停は不調の止むなきに至りました。
今後の処理については、5月9日の定例国営企業等担当委員会議において協議することといたします。
以上
2001国営企業賃金引き上げ調停委員長見解に関する声明
私たち国営企業6組合の賃金引き上げ要求について、本日、中央労働委員会は加重平均で「基準内賃金を0.07%、210円(定昇込み2.00%、6,004円)引き上げる」との調停委員長長見解を示した。この「見解」は、実質生活の維持・改善を求める私たちの要求からみて極めて不満なものである。中労委は、労働基本権制約の代償措置機関として、民賃準拠の原則をわずかに踏まえたものの、私たちの切実な要求・主張に応えていない。今次調停作業にあたり、私たちは、2年連続収入がマイナスになるなどの厳しい組合員の生活実態を明らかにしつつ、賃金水準の官民格差については、昨年の調停委員長口頭見解での趣旨を踏まえ、早急な是正を行った上で今次春闘における民間賃上げ状況に準拠した調停作業を行うよう強く求めた。
格差問題については、「国営企業の今次合同調停作業の中で、労使から指摘された各事項については公益委員として十分に受け止め、現在、公労使委員による検討委員会で検討中であることを踏まえて、誠心誠意議論を尽くしたい」との調停委員長の口頭説明が示された。私たちは、2003年郵政公社移行など、4国営企業を取り巻く状況の変化の中で長年の懸案課題の解決を引き続き強く求め、労働者委員とともに取り組みを継続していく。
私たちの賃金引き上げ紛争は、調停段階で決着せず、調停不調となり仲裁へ移行するが公正な仲裁裁定の早期提示と即時完全実施に向けた取り組みを強化するとともに、人事院勧告確定期の公務員連絡会及び回答引き出しの交渉を展開している民間の未解決組合の取り組みを支持し、官民一体となった賃金引き上げ闘争を一層強化する。
2001年4月24日
連合官公部門連絡会国営企業部会
全逓信労働組合
全日本郵政労働組合
全林野労働組合
全印刷局労働組合
全造幣労働組合
日本林業労働組合