6月29、30の両日、署名運動の推進に向けて各県の署名運動委員会による「全国統一キャンペーン行動」が、梅雨空のなか取り組まれた。7月末を目標においた1千万署名の達成に向け、全国的なキャンペーン行動を推進して運動に弾みをつけるため、実施したものである。全国各地で、「政・官・業のゆ着、天下りをやめさせ、信頼できる公務員制度が必要です」との市民への呼びかけが行われ、街宣車を走らせての行動や駅頭・団地での演説、ビラ・ティッシュの配布、署名活動など多彩な取り組みとなった。中央行動では、29日午後、都内の有楽町・池袋・立川の3JR駅頭で実施され、夕方から、JR新宿駅頭で街頭演説会が行われた。
【中央行動】JR新宿駅頭で、数千人に向けて街頭演説
連合・連合東京・連合官公部門によるキャンペーン中央行動は、29日夕刻の17時から、都内のJR新宿駅東口広場で実施された。数千人の流れに向かって連合会長や民主党などの代表が演説し、参加者はチラシとポケットティッシュを市民に配って、アピールした。
この中央行動には、連合東京の組合員200人と連合及び連合官公部門構成組織役職員150人の約350人が参加した。広場むかいの街頭大型ビジョン「アルタ」からは、統一キャンペーンキャラクター(小山ゆう原作・漫画「おれは直角」の主人公)が、政府のすすめる公務員制度改革をバッサリと斬り捨て、「変えよう信頼できる行政に」とアピールする意見広告も放映されている。梅雨空のもとで、広場に居合わせた市民や通行者が、演説者に手を振って応援したり、「アルタビジョン」の映像と声に注目していた。
街頭演説は、連合官公部門「対策本部」の山本幸司事務局長の司会で進行した。まず、連合東京の遠藤幸男事務局長が「低迷し出口の見えない日本経済と、政・官・業がゆ着し腐敗した政治・行政を改革するには、当事者である公務員の皆さんにしっかりしてもらわなくてはならない」と挨拶。
つづいて、連合の笹森清会長は、「失業者375万人、企業倒産2万件、自殺者3万4千人」という年間のデータにふれて、「小泉内閣とその政治に本気の怒りをぶつけよう」と訴えた。そして、政・官・業のゆ着、特権的キャリア官僚の自惚れと過信、天下りや、利権構造に群がる政権与党政治家の腐敗を批判。そのうえで、「住民サービスを充実し、公平、公正で民主的な、信頼できる公務員制度に変えることは、いまの与党では不可能だ」とし、日本のサッカー応援で国民が味わった感動を「安心して暮らせる日本社会への改革」に向けて一緒に立ち上がろう、と多数の若者に語りかけた。
このあと、透明で民主的な公務員制度改革を支持する民主、社民、自由の3党代表が順にアピールした。菅直人・民主党幹事長は「特権官僚の仕切る国の行政と口利き政治家のゆ着、口利き公共事業をやめさせよう」と呼びかけ、「国民が本当に必要とする仕事、子育てサポートや介護サービス、森林創生などの事業を起こしていく必要がある。国民が必要とし、私企業ではできないサービスを供給する公務員制度と国民のための政治につくり変える」決意を強調した。福島瑞穂・社民党幹事長は「小泉さんは何でも民営化でよくなるという悪い宗教にとりこまれたのでないか」と批判、「ドイツでは裁判官にもスト権が与えられている」と紹介し、「キャリア制度を容認、天下りを緩和し、労働基本権はないがしろにしている政府の公務員制度改革大綱により、公務員と公共性を切り捨てられて困るのは国民だ」と指摘した。平野貞夫・自由党副幹事長も政府の「大綱」の問題点を批判、公正・中立で民主的な公務員制度改革と労働基本権保障を求める連合の考えに「賛成」だと語り、「81兆円の国家予算のうち10兆円が合法、非合法的に自民党の政治支配のために使われている収奪政治をもう許してはならない」と訴えた。
また、連合官公部門「対策本部」の丸山建藏本部長は、まず不祥事のつづく日本の行政のあり方にふれ、「政策決定と実行の過程の透明化がますます大切になってきた」とし、「本来の行政改革は情報公開と、パブリックコメントによる国民参加、行政施策評価から実行されるべきだ」と述べた。まともな労使協議もなしに、政府が一方的に決めようとしている公務員制度の見直しについて、「これでは政・官・業のゆ着は改まらない。労働基本権が保障され、内部チェック機能が働く、民主的な公務職場が求められる」「信頼できる行政に変えるためには、信頼でき公務員制度に変える必要がある」と強調した。
街頭演説は、最後に、榊原長一・連合会長代行が「透明で民主的な公務員制度改革を求める1千万署名運動へのご協力、ご支援」を訴え、締めくくった。
統一キャンペーン行動日の6月29、30の両日、悪天候のなか、全国各地で署名推進行動が実施された(別表参照)。このうち、主な取り組みについて紹介する。
【北海道】6月15〜30日、札幌で街頭宣伝、独自地域ビラ作り市民に訴え
連合北海道官公部門連絡会は、6月29.30日の全国統一キャンペーン行動に合わせて、6月15〜30日までの連日、札幌市内で街宣車による街宣行動を行ってきた。その行動の総結集として、30日11時30分から札幌市大通り4丁目広場で、街頭宣伝行動・署名活動を実施した。この行動には、民主党の参議院議員峰崎直樹氏と札幌市議会議員村上勝志氏が応援弁士として参加した。また、連合北海道・連合北海道官公部門連絡会から35人が参加し、北海道で独自に作成した地域用ビラを配布しながら、「透明で民主的な公務員制度の確立」を市民に訴えながら、署名のお願いをした。
なお、連合北海道には14の地方組織があり、その地方組織においても、この全国統一行動と合わせて、官公部門連絡会が主体となり、集会・学習会・街宣行動・署名活動を展開している。
【宮城】仙台では国会議員が参加し街頭演説会
連合宮城は、5月17日の第7回執行委員会で、@「民主的公務員制度改革・署名推進委員会」を執行委員会の下に組織し、官公部門以外で38,000人の署名集約を目標とする、A署名用紙の配布・回収を確実なものとするため、事務局が構成組織の書記局を訪問オルグする、B署名の第1次回収は6月4、5日、第2次回収は7月30、31日に行う、C統一キャンペーンを仙台市は6月29日、地協は30日に行う、ことを確認した。
この取り組みの結果、第1次集約は署名用紙配布後、2週間と短期間にもからず6月5日に4,022人分、6月29日現在で10,048人分を集約した。
29日のキャンペーンでは、仙台市内の繁華街2ケ所で街頭演説会を開催、1,800枚のチラシを配り、署名行動に取り組んだ。
演説会は、楳原惣一郎連合宮城事務局長の司会で進行、「署名推進委員会」を代表して及川光行自治労宮城県本部書記長が取り組み経過と決意表明、岡崎トミ子民主党参議院議員・本多祐一郎社民党県議会議員から連帯の挨拶をうけた。
翌30日の6地協の取り組みは、地元の協力議員団の応援をいただき、街頭演説会・街頭署名行動や屋内での学習集会など、それぞれ創意工夫をしながら展開された。
【神奈川】主要14駅頭で街頭署名行動、独自作成のテッシュを配布
連合神奈川は6月22日、「民主的な公務員制度改革」をめざし、横浜、川崎など県下主要駅頭14ヵ所で街頭署名行動を行った。
連合神奈川公務部門連絡会として、この間「官民連携に向けた交流学習会」の開催や県段階での公務産別三役による民間産別県組織訪問、地域段階での公務関係単組による民間労組への訪問行動など民間労組に理解・協力を求める活動を進めてきたが、広く市民に訴える行動も必要と5月段階で計画し、取り組んだもの。
地域連合毎に、公務部門労組を中心として、民間労組の協力をえて取り組まれ、各地とも約30〜40名が参加し、民主的な公務員制度改革を訴える統一ビラと独自に作成した3万枚のティッシュを配布しながら、署名を呼びかけた。川崎では連合が呼びかけている「伊藤琉介ちゃんの命を救おう募金」(米国での心臓移植に要する費用の募金)活動も同時に取り組んだ。
こうした取り組みを積み重ねる中、民間労組からも自動車総連から第1次5000人分の署名が集約されるなど、取り組みは大きく広がっている。
【長野】全県下で総行動、街頭宣伝と全地区で署名活動実施
連合長野・官公部門連絡会は29日、全県下での総行動を提起し長野市、松本市、飯田市などで街頭からの宣伝と全地区での署名活動を実施した。
長野市では6単産70人が参加し、梅雨の晴れ間を長野駅前で通行人に宣伝カーで呼びかけた。市民の反応はそれぞれであったが正味2時間あまりの間に通行人から100人、友人、知人、親戚への署名要請で900人分を集めた。
松本市では5単産23人が集まり駅頭にたって、山口わかこ代議士(自治労組織内)がマイクを握り民主的公務員制度改革についての街頭演説と、チラシを配りムードを盛り上げた。
飯田市では30人が駅前と中央通りでチラシ配りと街頭署名を行ない350人の署名を集約した。
【新潟】新潟駅前など県内3か所で街頭宣伝行動、3野党国会議員も参加
新潟では30日、新潟駅前・長岡駅前・上越高田駅で、チラシ配布、署名行動に取り組んだ。この行動には、連合新潟官公部門連絡会参加の各労働組合の委員長ら組合三役が配置されたほか、民主党・社民党・自由党の国会議員・県会議員、連合新潟の支持を受ける無所属県会議員も参加した。各会場とも30〜50人の組合員が参加し、ゼッケンを付けノボリをもって署名への協力をお願いした。3ヶ所で400余人の署名を集約した。
今回の行動では、これまで交流のなかった自由党が全面協力に応じてくれたことによって運動の接点が作られ、今後の連合新潟との協力関係を築く一歩となった。また、街頭署名行動や民間組合への署名協力要請を通じて、民間労働組合の置かれている今の状況を肌で感じ、「地域内の共闘関係」の必要性を再認識できた。
長岡会場では、先の参議院補欠選挙で民主・社民・自由・連合新潟の推薦を受け見事自民党候補を破った黒岩宇洋さんが、選挙のお礼を述べるとともに、「本来改革とは鈴木ムネオに象徴されるような政治家と政府官僚とのゆ着を断ち切ることから出発しなければならない」と訴えた。連合新潟の小嶋栄吉会長は、県職員の5%賃金カット問題にふれ、民間組合の春闘に大きな打撃を与えたばかりでなく、労働基本権の保障によって対等・平等な労使関係が構築されなければならないと訴えた。
【静岡】県内2ルートに分け、宣伝車走らせ全域で街頭宣伝行動
静岡では、統一行動日の29日と30日、県内を東西2ルートに分け、連合静岡の宣伝車2台を使っての県内全域の街頭宣伝と、繁華街での街頭署名活動を実施し300人の署名を集約した。静岡県では、6月3日と4日にも早朝に主要4駅で通勤者への訴えを行っており、2回目の行動となる。
30日は、前日三島から出発した東コースがJR富士駅を、また、浜松出発の西コースがJR藤枝駅をそれぞれ午前10時に出発、午後4時過ぎまで宣伝車による街頭宣伝に取り組んだ。
午後2時からは、静岡市内2カ所で街頭演説会を行った。このうちイベント広場での演説会は、官公部門の金井全逓静岡地本委員長の司会で始まり、石井連合静岡会長が署名運動への協力を呼びかけた。対策本部の山本事務局長は、政府が進める公務員制度改革の問題点を指摘し、「大綱」の撤回を訴えた。また、民主党の津川祥吾衆議院議員が国会での闘いに全力で取り組む決意を述べた。各演説会場では、参加の組合員によってチラシと連合静岡作成のバンドエイドが市民に配られ、署名への協力を求めた。
この間、連合静岡官公部門連絡会では、1千万署名活動を連合静岡全体の取り組みとするため、民間各構成組織への訪問要請行動を実施した。民間労組からは、公務員に対する日常の見方として、「公務員は倒産がなくクビの心配がなくていいね」「公務員がこれ以上何を要求するんだ」「本当に倒産やリストラにあえぐ民間の実態を知っているのか」などストレートな意見もだされた。
この訪問要請活動を契機に「連合静岡1000万署名活動推進委員会」(委員長・石井連合静岡会長)を設置し、全組織で取り組むこととし、日常的に民間労組との連携を蜜にしていくことが確認された。
【兵庫】激しい雨の中、神戸では多くの市民が署名
連合兵庫官公部門連絡会は30日、重点地区の神戸で、街頭署名行動と宣伝カーによる街宣行動を実施した。低気圧の接近にともない大雨が予想されるなか、この行動に80人を超える組合員が参加した。当日は、各構成組織から4台の宣伝カーを出した。市内の主要地点毎に車を止めて市民に訴えるなど、きめ細かく街頭宣伝行動に取り組んだ。
三宮地域を中心としたビラ配布、署名行動では、激しい雨のなか、短時間で447人の市民から署名をいただくことができた。
兵庫では、官公労にかかわるすべての課題について連合兵庫官公部門連絡会として取り組むことを確認、5月には500人が参加して「郵政公社化問題、郵政事業と地域の活性化」というテーマで前兵庫県知事の講演会を開催、その後、1千万署名の達成に向けての決起集会、街頭署名を実施した。あわせて、官公部門連絡会全委員による民間労働組合への協力要請も実施してきた。
署名目標の達成のため、7月最終日に向けて再度全構成組織への要請を行って全国の取り組みにしっかりと呼応していく決意でいる。
【島根】県内8地区で街頭宣伝行動、署名協力を呼びかけ
透明で民主的な公務員制度改革を求めるキャンペーンと署名運動が、島根県内では6月18日から21日の間取り組まれ、県内8ブロックの幹線道路を中心に朝9時から夕刻の5時まで街頭宣伝。そのあと、松江、出雲、益田市など繁華街や役所前でチラシを配り、署名協力を呼びかけた。県西部の浜田市港町「ゆめタウン浜田イズミ」前では19日夕、国公総連、自治労の組合員らがハンドマイクで声をからした。署名に協力してもらった市民には、そのつど、公務員制度改革をめぐる問題点を説明、理解していただいた。
また、全国統一行動日の29日には、午後1時から6時にかけて松江・浜田両市で街頭演説を行い、チラシを配って市民に署名への協力を求める行動に取り組んだ。
【香川】高松では街頭で市民に訴え、理解と協力求める
香川県の署名推進委員会は30日、「全国統一キャンペーン行動」として高松市中央商店街の2か所で街頭演説を行い、「信頼できる行政」を取り戻すためには、「信頼できる公務員制度」の必要性と公務員みずからが変わることを訴えた。
この街頭行動には、連合香川・官公部門連絡会から30人が参加し、日曜日のお昼、買物客でにぎわう街角で、胸にはゼッケン、手にのぼり旗とポケット・ティッシュの袋を持って、路往く人に理解と協力を呼びかけた。また、三宅正博会長をはじめとする連合香川役員6人が交代でマイクを握り、「自民党政治のもとで、一部政治家と特権的なキャリア官僚、特定業界との長年にわたるゆ着構造が、政治と行政への信頼を地に落している。広く国民に開かれた論議のうえにたって、公務員制度を決めるべき」と訴えた。
6月27日現在、香川県における署名目標1万7千人に対して、5千人強の集約状況(官公部門を除く)であり、残された期間での民間労組や関係諸団体への働きかけの強化を図ることとしている。
【大分】大分市内で街頭宣伝行動、チラシを配布
連合大分官公部門連絡会は、30日正午から約1時間、あいにくの小雨模様のなか、大分市のトキハデパート前で公務員制度改革キャンペーン統一行動として街頭宣伝行動を行った。官公部門連絡会から約60人が参加した。
街頭演説では、棚村官公部門連絡会会長(自治労)と地元国会議員の社民党の重野安正衆議院議員がマイクを握り、現在小泉内閣と与党が推し進めようとしている危険な政治状況や、キャリア制度・「天下り」を改めようとしない政府の公務員制度改革の問題点について訴えた。また、行き届いた公共サービスの提供のためにも透明で民主的な公務員制度改革が必要なことを訴えながら、市民一人ひとりに手渡しでチラシを配った。
以上