みんなの力で労働基本権確立と民主的公務員制度改革を実現しよう

労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.103 2002年7月18日

連合官公部門連絡会


連合が官房長官に民主的な公務員制度改革を要請
ILO議長集約踏まえ、「交渉による労働条件決定制度」へ改善求める

 連合は7月18日10時から、首相官邸に福田官房長官を訪ね、「内需拡大・景気回復への経済政策転換」など2002−2003年度の重点要求について要請した。合わせて、「公務員制度改革についての要請書」(別紙)を提出した。この日の申入れには、連合から高木副会長(政策委員長)、丸山副会長(連合官公部門「対策本部」本部長)、草野事務局長が参加、政府側は、福田官房長官のほか、伏屋官房副長官補、坂本厚生労働省政策統括官が対応した。
 要請事項のうち公務員制度改革についてのやりとりの概要は次のとおり。
 「公務員制度改革についての要請書」は、先のILO総会の条約勧告適用委員会の審査経過と議長集約を踏まえ、@公務員労働者との協議・交渉を通じて労働条件が決定されるよう公務員制度を改善すること、A98号条約における適用制限の拡大解釈を変更すること、B条約の全面適用を保障するため実施済みの措置や予定されている措置の報告を求めているが、報告の際、事前に関係者と協議すること、を掲げている。
 丸山副会長は、この要請事項の説明に際し、「G8のメンバー国にふさわしい公務員制度に改革していくべきだ」とのべ、労働基本権の確立を強く求めた。また、草野事務局長は、連合の重点政策の1つとして「公務員の労働基本権の確立と公正、中立、透明かつ民主的な公務員制度の確立を掲げている」と述べ、その実現を重ねて要請した。
 労働側の要請に対し、福田官房長官は、「要請の意向を踏まえ、検討させていただく」としたうえで、@公務員制度改革を行うに当たっては、これまでも関係する職員団体と誠実に交渉・協議してきたが、今後とも、そう続けてまいりたい、A既批准条約の実施状況に関する定期的な報告については、144号条約(国際労働基準の実施を促進するための三者協議に関する条約)で政府と労使団体間での協議が規定されており、この趣旨に沿って対応したい、と述べた。
 要請に対する具体的な見解が示されなかったため、丸山副会長は、早急な対応をはかるよう強く要請した。
 最後に、草野事務局長は、連合・連合官公部門が「行政と公務員に国民は何を求めるか」をテーマに取り組んだ「公務員制度改革に関する市民アンケート調査結果」を手渡し、「調査に示された国民の声を十分受け止めてほしい」と要請した。


(別紙)

2002年7月18日

内閣総理大臣
 小泉 純一郎 様

日本労働組合総連合会
会 長 笹  森  清



公務員制度改革についての要請書



 6月に開催されたILO総会の条約勧告適用委員会においては、日本の公務員制度の問題が個別審査の対象となり、別紙のとおり、議長の集約が行われました。ついては、この審査にいたる経過と議長集約を踏まえ、公務員制度改革では以下の点が実現されるよう、要請いたします。



 ILO第98号条約の公務員制度への完全適用に向けて、次のとおり改善をはかるとともに、ILOへの報告にあたっても下記のとおり対応すること。

@公務員の賃金労働条件決定システムは、その決定過程から公務員労働者の参加が大幅に制限されているが、ソーシャルパートナーである公務員労働者との協議・交渉を通じて労働条件が決定されるよう公務員制度を改善すること。また、法制化作業にあたっては、関係組合と十分交渉・協議を行うこと。

A98号条約は、国家権力の直接的な行使や必須の業務に携わるごく限られた公務員に限定して適用制限を認めているのに対し、日本政府はこれを拡大解釈し一律全面的に制限しているが、この政策を変更すること。

B議長集約は、条約の全面的な適用を保障するために実施済みの措置、及び予定されている措置について日本政府に報告を求めているが、報告に当たっては事前に関係者と十分協議を行うこと。

以 上


90回ILO総会(2002年6月)

「第98号条約:団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約」の適用に関する日本案件に対する条約勧告適用委員会の個別審査における議長集約

(連合訳)

委員会は、政府代表の声明とそれに続き行われた討議に留意した。

委員会は、「条約勧告適用専門家委員会」が反組合的な差別待遇に対する保護に関する条約第1条と団体交渉の促進に関する第4条についての問題を取り上げたことを想起した。

委員会は、この点に関して、国立病院セクターと公営企業における前向きな進展を歓迎し、政府が病院セクター労働者の団体交渉権を全面的に保証するための措置をとり続けるよう奨励した。

しかしながら、委員会は、公務員の自らの給与の決定への参加が、大幅に制限されていることに、懸念を持って留意した。

委員会は、条約が国家の運営に関与しない公務員には適用されることを想起しつつ、条約が適用される公務員の雇用諸条件は団体交渉の奨励および促進により決定されるよう、政府が、関係ソーシャルパートナーとの全面的な協議に基づき、現在進行中の公務員制度改革を活用することを、強く希望した。

委員会は、政府が、次の報告においてこの点に関する進展状況についての詳細な情報、とりわけ、法制度及び実態の両面における条約の全面的な適用を保証するために実施済みの措置および予定されている措置について、報告するよう要請した。

以上