みんなの力で労働基本権確立と民主的公務員制度改革を実現しよう

労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.112 2002年9月19日

連合官公部門連絡会


行革推進事務局との交渉・協議(第10回)9/19
組織目標・行動規準、人材育成を論議し、「職員参加」と「本人希望の尊重」を追及

 対策本部は、9月18日午前10時30分から行政改革推進事務局と10回目の交渉・協議を行い、推進事務局は、高原・鈴木参事官らが対応、対策本部から実務クラス交渉委員が参加した。
 「組織目標・行動規準」、「人材育成」について交渉・協議を行い、対策本部側は次の通り疑問点や要望を指摘し、推進事務局としての考え方を示すよう求めた。

(1) 組織目標を設定して、みんなで仕事を進めて行くこと自体は、必ずしも悪い方法ではないと認識している。組織目標を個々人のところまで下ろしていって、職員が自覚して進めるべき目標として認識されるためには、上意下達ではなく職員参加が大切ではないか。
(2) 各府省が立てた組織目標が、国民のニーズとどう整合性を持っているかも検証されなければならない。政府全体としてどうチェックしていくのか。また、政策評価との関わりはどうか。
(3) 行動規準は服務規律とどう違うのか。イメージとして示されている内容はほとんど意味があるとも思えないが、意味があるものとして設定されれば服務と関わってくる。
(4) 各府省で、組合を差別するような労務管理の手段として使われるのではないか。
(5) 行動規準というのは仕事以前の話であり、それを評価の対象にすることや懲戒の理由にすることには反対である。
(6) 組織目標・行動規準は国公法上どう位置づけるのか。
(7) 組織的な不祥事をなくすためには、上司の違法・不適切な職務命令に対する異議申し立て権を保障する必要があるのではないか。公務員には不当労働行為制度がないだけに重要な課題である。
(8) 人材育成はどういう制度設計になるのか。制度の話か、運用でやっていく話なのか。
(9) 1次案では「本人の希望尊重」や「コース変更」というのがあったが、2次原案で消えた理由は何か。われわれとしては、職員が意欲を持って能力開発に努めるためには希望を尊重することが重要と考えており、ぜひ書き込んでいただきたい。
(10) 当局側の人事担当者は大変だといっているようだが、人材育成は大事なことなので統一的な基準を作って実効あるもとのして進めていただきたい。

 これに対し推進事務局は次の通り見解を示した。

(1) 組織目標をどう作っていくかはまだ決まっていないし、役所によっていろいろなやり方があるのではないかと思う。職員の意見は当然聞くことになるが、全員参加かと問われればそういうものではないと思う。そういう意味では政策評価における目標の作り方と同様になるのではないか。
(2) 最近の公務員の不祥事を鑑みるに、行動規準といったものがないので新たに設けて、服務規律のように「○○をするな」といったネガティブな意味ではなく、「こうしましょう」という積極的(ポジティブ)な意味で設けるものである。
(3) 行動規準そのものを評価の対象にするのではなく、行動規準を能力基準の「姿勢・態度」や業績評価における「業務目標」として具体化した場合にはそれに基づいて評価するということである。懲戒との関わりは、行動規準を国公法上どう位置づけるかということと、国公法82条(懲戒の場合)との関わりをどうするかという問題であり、検討しているところである。
(4) 組織目標は公務員の人事管理の直接の問題ではないと考えているので、国公法に入れる必要はないのではないかと思っているが、行動規準は入れるかもしれない。
(5) 違法な命令に従う必要がないことは当然のことであり、異議申し立て権を権利として法定する必要はないのではないか。
(6) 人材育成は法的に位置づけるというのではなくて、内閣が方針を定めて各府省がそれに基づいて運用していくことなどが考えられる。
(7) 権利としてどうかとは思うが本人の希望を尊重することは当然のことと考えている。「その後の人事を制約しない」と書いてあるように、コースには枠があるので本人の希望に基づいた個人別コースの設定や育成コース通りの配置を必ずしも保障できないということで、2次原案では「本人の希望」という表現を落としている。
(8) 各府省では人材育成の進め方について相対的にはいろいろあると思うし、2次原案の内容をめぐって各府省人事当局との間に緊張関係があるが、内閣の総合調整でしっかり進めたいと思っている。

 以上のように、組織目標・行動規準の位置づけと評価・懲戒処分との関わりが明確にされず、人材育成でも本人の希望尊重を含めて積極的な意味で実効ある仕組みとなるかどうかについて、明確な見解が示されなかった。このため、対策本部は「行動規準を懲戒処分の理由にすることは反対である。服務、行動規準、懲戒の関係については再度論議させていただきたい。人材育成・能力開発のシステムを作っていくことは重要なことなので、本人希望を尊重する実効ある仕組みとして制度設計をしてほしい」と要望し、本日の交渉・協議を終えた。

以上