ILO結社の自由委員会は、連合および連合官公部門連絡会の日本政府を相手方とする提訴を「第2177号」事件として2月27日付けで正式に受理した。
同委員会は、近日中にも日本政府に対して提訴文を回送し、それに対する見解を求める。そして、政府からの見解がILO事務局に届けられ次第、結社の自由委員会で審議されることとなる。
同委員会は、3月7〜9日の3日間ジュネーブで開かれるほか、5月と11月に予定されている。日本政府の見解とりまとめに一定の時間がかかることが予想されることから、3、5月の委員会での審議は事実上無理であり、スムースにいけば11月に審議されることとなる。
連合および連合官公部門連絡会は、3月7日からの同委員会にあわせ、連合会長代行でもある榊原副対策本部長、中島連合総合国際局長、対策本部轆轤副事務局長らを、委員会メンバーへの早期審議の要請や国際組織への協力要請などのため、緊急派遣した。
(別紙資料)
2002年3月5日
行政改革担当大臣
石原伸晃 殿
厚生労働大臣
坂口 力 殿
連合官公部門連絡会
労働基本権確立・公務員制度改革対策本部
本部長 丸 山 建 藏
ILO結社の自由委員会への提訴に当たっての申入れ
連合および連合官公部門連絡会は、2月26日、ILO結社の自由委員会に対し、公務員制度改革に関わる日本政府の結社の自由違反に対する提訴(別紙・提訴状参照のこと)を行いました。この提訴は、ICFTUやPSI、EI、UNI、ITF、IFBWWなど多くの国際産業別組織との共同提訴です。
日本の公務員法制がILO87・98号条約に適合していないことは、これまでILOから再三にわたって是正勧告が行われていることかも、すでに明らかです。G8の一員でもある日本政府がこれ以上国際労働基準への違反状況を放置することは、国際社会における日本の役割からしても決して許されることではなく、一刻も早く国際労働基準に沿った公務員法制に改革していくことが求められています。にもかかわらず、昨年末閣議決定された「公務員制度改革大綱」では、労働基本権制約を現行のまま維持するとする一方で、使用者としての政府の人事管理権限を大幅に拡大しようとしており、国際労働基準への違反状況をさらに悪化させる内容となっています。加えて、われわれとの十分な交渉・協議を経ず「大綱」が閣議決定されたことは、明らかに結社の自由違反といえます。
貴職におかれては、以上の経緯をふまえて行われた提訴を真摯に受け止め、結社の自由委員会の審議に誠実に対応するとともに、この際、労働基本権制約の立法政策を始めとした国際労働基準への違反状況を改める姿勢を明確に表明すべきであると考えます。
わたしどもは、11月に予定される結社の自由委員会での審議と結論を求めています。ついては、政府として下記事項に沿ったILOへの誠意ある対応を行うよう強く申し入れます。
記
1.ILOから日本政府に対する見解が求められた場合には、迅速かつ正確・公平な報告を行い、結社の自由委員会の審議に誠実に対応すること。
2.結社の自由委員会から勧告が行われた場合は、その勧告を尊重し、直ちに必要な国内的措置をとること。
連合官公部門が実施した3.1中央行動の一環として行った政党要請のうち、公明党への要請は1日11時から行われた。公明党からは桝屋敬悟国対副委員長が対応し、対策本部からは、榊原副本部長(日教組委員長)、嶋倉国交職組委員長、石原全造幣委員長、橋爪全郵政書記長が参加した。
冒頭、榊原副本部長が神崎代表宛の要請書を手渡し、「大綱」を撤回し、キャリア制度を改革して21世紀の社会にふさわしい公平で、民主的で、国民にひらかれた公務員制度改革をすすめるよう要請した。。
これに対し、桝屋国対副委員長は、「党内でも議論を開始しなければならない。その流れをどうつくっていくか。昨年の『大綱』をつくるまでが大きな流れであったが、今、新しい舞台になって、我が党がどこに軸足をおいて議論をするかが問われている。悩ましいところだ。公務員制度改革にしても、医療制度改革にしても、我が党の置かれている立場は微妙で、難しい状況にある。道を誤ると皆さんの信頼、国民の信頼をも失いかねない。良き伝統に従って、皆さんとの付き合いを大切にするというのが代表や幹事長の思いである。皆さんの思いは分かった。基本法をめぐる動きが当面の大きなヤマとなる。党できちんと議論していく」と回答した。
以上