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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.87 2002年4月26日

連合官公部門連絡会


行革推進事務局交渉で、大綱閣議決定の経緯について局長が遺憾の意表明
新人事制度の2次原案提示、5月連休明けから交渉・協議開始

 対策本部企画委員らは、4月26日午前9時30分から行政改革推進事務局・西村事務局長と交渉を持ち、公務員制度改革大綱の閣議決定に至る経緯の納得のいく説明を求めるとともに、石原大臣が最終局面で対応しなかったことや労働基本権問題について交渉・協議ができなかったことに対する責任ある見解を求めた。
 これは、行革推進事務局が4月下旬にも新人事制度の2次原案を提示し、交渉・協議に入りたいとの意向を示してきたのに対し、対策本部としては閣議決定に当たって手交した抗議文に対する明確な説明がなく、その回答が先に行われるべきとして折衝を重ね、本日の西村事務局長交渉に至ったもの。
 また、26日の交渉・協議では、これらのやりとりの後、行革推進事務局から「行政職に関する新人事制度の2次原案」の説明が行われ、その性格や法改正作業との関係性などについて整理次第、2次原案をめぐる交渉・協議を連休明けから進めていくこととした。
 交渉には、推進事務局側から西村事務局長、春田公務員制度等改革推進室長、高原・谷内両参事官が対応、対策本部から企画委員の君島(自治労)・中村(日教組)・菰田(全逓)・村瀬(国公総連)各構成組織書記長、山本事務局長、宮入・轆轤両副事務局長らが参加した。

 交渉の冒頭、山本事務局長は「われわれは、労働基本権のあり方の結論の提示が遅く、この問題で何ら交渉が行われないまま決められたことは問題であるとして12月25日に抗議したが、本日はそれに対する明確な見解を示してもらいたい」として、見解を求めた。
 これに対し西村事務局長は、「昨年来の『公務員制度改革大綱』の閣議決定の際に労働基本権の結論を出すことが遅くなったことは事実であり、認識しているところである。労働基本権の結論については、大綱において、今後もこれに代わる相応の措置を確保しつつ、現行の制約を維持することを決めたが、制度の各項目における具体的な相応の措置については大綱には明確に記しておらず、これから行う制度の詳細設計の中で固めていくこととしており、その際には職員団体と誠実に交渉・協議を行っていきたいと考えている。大臣も、国会で発言しているように、今後とも職員団体とは誠実に交渉・協議を行っていきたいと考えている」との見解を示した。
 しかし対策本部側はこれに納得せず、「われわれの抗議に対する誠意ある回答となっておらず、不十分である。閣議決定に至る経緯について、さらに明確で納得のいく見解を示すべきである」と追及、西村事務局長から次の通り「遺憾」の意を含めた見解を引き出した。
@ 労働基本権の結論については、組織として私が示すこととなり結果として大臣が示すということにならなかった。また、基本権の結論が遅くなり大綱策定の間近となってしまったことを組合側が問題としていることは認識している。結果として、職員団体のみなさんの要望に沿う形とならなかったことは、私としても遺憾と思っている。
A 今後、制度の詳細設計に当たっては、労働基本権の制約に代わる相応の措置の内容も含め十分誠実に中身のある交渉・協議ができるように努めたい。
 この見解に対し対策本部側は、「事務局長として遺憾の意を表明したことは受け止めるが、承服できず不満である。今後の行動でどう実証されるか注視したい」と述べ、西村事務局長は「ご指摘の点を十分踏まえ、今後、誠実に対応してまいりたい」と、不満の意を受け止め今後誠実に対応するとの見解を示した。
 ついで、推進事務局からの「新人事制度の2次原案(仮称)」の提示を受け、対策本部側は、「2次原案」の性格と今後の交渉・協議の進め方について質し、次のような見解が示された。
@ 昨年11月に「行政職に関する新人事制度の原案」をとりまとめ、それをもとに関係者の意見を聞くなどして、大綱の策定に活かしていったが、今回の「新人事制度の2次原案(仮称)」は、閣議決定した大綱をもとに事務局としてその後に行った更なる検討の結果をとりまとめたものである。
A この「新人事制度の2次原案(仮称)」は、新人事制度の内容を固めていくためのものであり、平成18年度(2006年度)を目途とした新たな制度への移行に向けた一連の作業の一貫としてとりまとめたものを提示するものであって、移行後の各種新制度の設計を行っていくうえでのベースとなるものであると考えている。
B このため、2次原案をもとに関係者と広く意見交換を行い、議論を深め、今後の作業に活かすことによって、よりよい制度となるようにしていきたいと考えており、2次原案についても職員団体とは誠実に交渉・協議を行って行きたいと考えている。
C 各種新制度の設計については、それが法律であったり、下位の法令・規則・運用のルールであったり種々の形態があろうが、それぞれの段階で、必要に応じ、これらについて提示し、交渉・協議を行って行くことを考えている。
D 今後の交渉・協議については、実りのある議論ができるような方法・手だてを考えて行きたいが、いずれにしろ、今後の進め方については皆さんと十分に相談していきたい。
 これに対して対策本部側は「その回答では第2次原案の交渉・協議が 国公法等の改正作業とどのような関係にあるのか明確ではない。第2次原案をめぐる交渉・協議がその後の法改正作業に反映されなければ意味がない。法改正作業のスケジュールを含め、いつまで、どのような形で第2次原案等の交渉・協議をやるのか、明らかにしてほしい」と迫った。これに対して推進事務局側は、「平成15年中に改正を目指す大綱の方針があるだけで、法改正作業の確たるスケジュールは何も固まっていないが、法制局との協議を考えれば、夏くらいまでにある程度議論を進めておかなければならないと考えている」としたが、今後のスケジュールについて明確な見解は示さなかった。そのため対策本部側は、「第2次原案の交渉・協議と法改正作業のスケジュールについて本日段階で明確な見解表明が無理なら、連休明けに再提示してもらいたい」と求め、推進事務局側もこれに同意したことから、この日の交渉を締めくくった。

 この日の交渉で行革推進事務局は、大綱閣議決定に至る経緯について遺憾の意を表明したが、それを踏まえた今後の法改正作業のスケジュールと第2次原案をめぐる交渉・協議のあり方については不明確な見解に終始した。そのため対策本部は、連休明けにも改めて明確な見解を引き出し、行革推進事務局との実行ある交渉・協議を進めていくこととしている。

以上