連合は2月24日17時30分から、首相官邸で福田官房長官に会い、「民主的な公務員制度改革に向けた労使協議の実施の要請書」(別紙)を提出した。会見には、政府側から福田官房長官のほか伏屋内閣官房副長官補、春田行革推進事務局公務員制度等改革推進室長、青木厚生労働省政策統括官が同席、連合からは、草野事務局長、成川総合政策局長、対策本部から丸山本部長(連合副会長)、山本事務局長が出席した。
冒頭、草野事務局長は、要請事項として、ILO勧告が、公務員制度を国際労働基準に沿ったものに改革することについて、労使間の全面的かつ有意義な協議を求めていることに触れ、@連合・連合官公部門連絡会の代表と政府の公務員制度改革責任者との間で、直ちに協議する場を設置すること、A協議では、ILO勧告の指摘する論点を含めて法改正にむけて協議すること、を求めた。また、国会での政府答弁がILO勧告を「中間報告」としている点について、「勧告は最終的な結論」であり、そうした線に沿って協議を行うよう念を押した。
これに対し、福田官房長官は、@昨年11月29日の申入れの際にも述べたが、職員団体とよく話し合っていきたい。現在、政府は大綱に基づきその具体化に向けて検討を続けており、国公法改正の検討にあたっては、職員団体と誠意をもって交渉・協議していく。改めて協議の場を設定することは考えていないが、担当の石原行革担当大臣には、要請の趣旨をよく伝えておくので、制度改革の内容について話し合ってほしい、A今回のILO勧告の件については、わが国の人事院勧告制度への理解が十分でなく、また、ILOの過去の見解との整合性がないので、理解を得るためILOに情報提供していく、との見解を示した。
この見解を巡って、組合側は次のように意見をのべ、協議の場の設置を重ねて求めた。
@ 交渉・協議の政府側の責任者は、どこになるのか。制度全体の政治決断は官邸が行い、使用者の立場を代表するということで、国公法等の改正問題は石原大臣と行う、という理解でよいか。
A 公務員制度改革は、選挙制度と同じように、政権が変わっても対応できるものでなくてはならない。政府・与党が強行するようであっては、制度は機能しない。十分な話し合い・合意のもとに制度改革を行うべきだ。ぜひ、労使間の協議の場を設置してもらいたい。
こうした組合側の要請に対し、福田官房長官は、「公務員制度改革で強行するつもりはなく、職員団体とよく話し合っていくようにしたい。独走はできないと考えている。新しい協議の場については検討させてほしい」との見解を述べた。
(別紙)
2003年2月24日
内閣官房長官
福 田 康 夫 様
日本労働組合総連合会
会 長 笹 森 清
連合官公部門連絡会
代表委員 北 岡 勝 征
代表委員 榊 原 長 一
代表委員 石 川 正 幸
代表委員 橋 爪 利昭紀
代表委員 丸 山 建 藏
民主的な公務員制度改革に向けた労使協議の実施の要請
私ども連合は、21世紀社会にふさわしい透明で民主的な公務員制度への改革を求めて取り組んでおります。
2002年 11月29日に小泉純一郎内閣総理大臣に宛てた「ILO勧告を受け入れ労働基本権を確立した民主的な公務員制度改革を求める申入書」を福田康夫内閣官房長官に提出させていただき、「国際労働基準に沿った公務員制度改革案取りまとめのため、労使協議の場を直ちに設ける」ことをご要請申し上げました。
遺憾なことに、政府はこの労使協議を現在に至るまで実施しておりません。伝え聞くところ、本第156回通常国会に上程する「国公法・地公法」等公務員制度改革関連法案を取りまとめる作業が進行中とのことです。「ILO勧告」(02年11月21日)では、「法改正に向け労働組合を含む関係者との協議を直ちに開始すること」を求めています。労働組合との協議がないままに法案が提出されることは許されません。
つきまして、下記の労使協議を直ちに開催いただくようご要請を申し上げます。
記
1.連合、連合官公部門連絡会の代表と政府の公務員制度改革責任者との間 で、労働基本権のあり方を含む「公務員制度改革」を協議する場を直ちに 設置し、協議を行うこと。
2.この協議では、「ILO勧告」が指摘する論点を含めて「公務員制度改革」の「法改正」を協議すること。
以上