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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.133 2003年2月26日

連合官公部門連絡会


3野党が民主的で透明な公務員制度改革を求める決起集会を開催
ILO勧告無視、交渉・協議抜きの国公法改正案の国会提出に反対を確認

集会の写真

 2月25日午後6時から国会近くの星陵会館で、「民主的で透明な公務員制度改革を求める3野党決起集会」が開催された。民主・自由・社民・連合のILO調査団の報告会として開いたもので、菅直人民主党代表、藤井裕久自由党幹事長、土井たか子社民党党首をはじめ、3野党から115人の衆参両院議員が参加、連合・連合官公部門の参加者を合わせ350人が集まり大きな盛り上がりをみせた。3野党の国会議員が一堂に会して集会を開いたのは久々のことで、政府がILO勧告を無視し、通常国会に「公務員制度改革大綱」に基づく国公法・地公法の改正案を提出することを許さないという、3野党間の連携強化を確認した。
 集会は、川端達夫衆議院議員(民主党・公務員制度問題対策本部長)の開会あいさつで始まり、山岡賢次衆議院議員(自由党・政治行政改革推進本部長)が公務員制度改革の経過を報告。ついで、各党代表及び連合会長は、次のようなあいさつを行った。

◆菅直人・民主党代表
 3党主催の会合にこのように多くの参加をいただき、ありがたい。ILO勧告を踏みにじる公務員制度改革は、決して許せない。野党は今日、今年度予算案の組替え案を国会に提出した。予算に続き、公務員制度改革の課題でも、3党はスクラムを組んで対応し、成果をあげたい。政府の改革案では、役所はますます縦割りになる。天下りも各府省大臣の一存でおこなえる。はたして適正な運用ができるか。制度を捻じ曲げる危険が大きい。3党が連携し、国民の期待に応える公務員制度改革を実現し、そして働く者の権利が守られるよう、全力を尽くす必要がある。本来の公務員制度改革の実現に皆さんと互いに力をあわせたい。

◆藤井裕久・自由党幹事長
 政府の公務員制度改革大綱は時代に逆行している。わが党は、これによる法案には明確に反対だ。公務員への労働基本権保障の問題を先送りし、この40年来ずっとILOドライヤー報告を無視してきた。今度の改革案は使用者権限だけを強化している。高級官僚の天下りも、各省単位で決められる。政治家と役人の癒着こそなくしてほしいと国民が望んでいるのに、実に許しがたいことだ。公務員は一党の出先ではない。国民の出先である。政府がILO勧告による指摘を無視し、国情が違うなどと言っていることは、断じて許せない。


◆土井たか子・社民党党首
 政府の国公法・地公法改正案の提出に反対するとともに、提案自体を阻止したい。公務員は時の政府への奉仕者でない、国民全体の奉仕者である。国際社会からの指摘に政府が応えようとしていないことは、まことに恥ずかしい限りだ。グローバル・レーバー・スタンダードによる公務員制度改革こそ、求められている。締結したILO条約に現行法制も改革案も違反している、制度を見直して法改正へただちに組合と協議しなさい、と言われている。これは当たり前のことだ。政府こそ国益を害していると言わなくてはならない。対案を提出して、連携を強化したい。

◆笹森清連合会長の激励・連帯あいさつ
 大綱は、手続きも内容にもおそまつなものである。石原大臣は、労働基本権問題は次のステップで、などといっているが極めて問題だ。大綱に基づく国公法・地公法改正案は潰すしかない。それは、@国民の批判の強い天下り、キャリア制度を維持し官僚のお手盛りである、A民間では当たり前の能力評価に当たっての労使協議が担保されてない、B労働基本権の確立を求めたILOの勧告を無視し続けている、からである。連合は官民挙げて取り組んでおり、3野党と連携してがんばる。

 集会は、ここで、3野党・連合ILO調査団の参加メンバーが登壇、各党を代表して、団長の山元勉衆議院議員(民主党)、中塚一宏衆議院議員(自由党)、日森文尋衆議院議員(社民党)が、昨年12月に行った現地調査の結果を次のように報告した。
@ ILOの現地調査を通じて、いかに日本の公務員制度が国際労働基準に乖離し、かつ日本政府がその是正勧告を無視し続けているかが明確となった。
A 日本政府の「国内事情」や「中間報告」との言い訳が、いかに根拠のないものであるかが実証された意義のある3野党・連合共同調査であった。

 集会は最後に、中西績介衆議院議員(社民党・公務員問題対策特別委員長)が3党アピール(別紙)を提案、全体の拍手で採択して、締め括った。



(別紙)
民主的で透明な公務員制度改革を求める3党アピール


 政府は、2001年12月に閣議決定を行った「公務員制度改革大綱」に基づく国家公務員制度改革関連法案を、今通常国会に提出する構えを示している。

 「大綱」は、関係団体等との十分な交渉・協議も行わないまま決定されたものであり、かつ、国民から批判の強い天下りについて、人事院から各大臣へ承認を移行する内容を含むなど、官僚によるお手盛りの改革案である。

 このような公務員制度改革に対し、昨年11月、ILO理事会が採択した日本政府への勧告は極めて厳しいものであった。政府の改革案は「労働基本権を制約」したものであり、国際労働基準に反していることなどを国内外に明らかにするものであった。にもかかわらず、政府は「大綱」に基づく改正法案の閣議決定を強行する姿勢を見せている。このような政府の姿勢を、われわれは断じて許すものではない。

 民主党・自由党・社会民主党の3党は、ILO勧告を無視し、民主的で透明な手続きを経ないまま、通常国会へ法案提出することに強く反対するものである。政府は、ILO勧告を踏まえた上で、国民の声を広く聞きながら、抜本的かつ全面的に、公務員制度改革大綱の見直しを行うべきである。

 すでに民主・自由・社会民主党は、3党共同で天下りの規制強化や報酬の制限を目的とした「天下り禁止関連4法案」を国会に提出しているところである。さらに、委員会等の国会審議においても、3党で連携しながら政府を追及し、あるべき公務員制度のあり方について対案提出をも視野に入れつつ、民主的で透明な公務員制度改革の実現に向けて全力で取り組んでいくことをここに宣言する。

2003年2月25日
民主的で透明な公務員制度改革を求める3野党決起集会

以上