連合と連合官公部門連絡会は、一連の政党要請を締め括るものとして、4月3日、自民党に対して要請した。また、2日には、保守新党に対しても行った。申入れ事項は、@ILO勧告を受け容れ労働基本権を確立した公務員制度とすること、A交渉・協議、合意を抜きにした公務員制度改革関連法案の閣議決定を行わないこと、B今回の制度改革と基本権を一体に扱い、政府として協議の枠組みを設けること、の3点。組合側は、申入れ事項の実現を政府に働きかけるなど、与党としての特段の努力を強く要請した。
【自民党への要請】
自民党への要請は、3日午後4時から自民党本部政調会長室で行なわれ、連合から笹森会長、草野事務局長、成川総合政策局長、連合官公部門「対策本部」から丸山本部長、山本事務局長が参加、党側は、麻生太郎政調会長、長勢甚遠政調副会長、甘利明筆頭副幹事長が対応した。
冒頭、笹森会長は、「50年ぶりの公務員制度の大改正であり、公務員の労働基本権問題は長年の懸案である。連合としては、私が本部長に座り、本腰を入れて取り組みを進めている。ILOからも我々の主張を全面的に認めた勧告がだされている。しかし、遺憾なことに実効ある交渉・協議もないまま、政府は各府省に法律案を非公式提示するなど閣議決定に向けて強行の構えを見せているやに見受けられる。そうした態度を改め、党として、申入れ事項の実現に尽力されたい」と要請した。
次いで、山本事務局長から「能力等級制度の導入を軸とした公務員制度改革においては、賃金・労働条件決定制度が大きく変わる。そこでは、重大な勤務条件である能力等級基準、能力評価基準等を使用者である政府側が決めることとなっている。にも関わらず労働側はこれまで通り基本権を制約され、手足を縛られたままであり到底容認できない。基本権制約の代償機関である人事院の権限が政府側に移るのだから、新しい法律案に基本権付与を明示しないならば、断固として反対せざるを得ない。基本権を付与できないというならば、ボタンの掛け違いを正して一からやり直すべきだ」と強く主張。そのうえで、「基本権の在り方を検討する審議会の立ち上げと言う話も聞こえてくるが、臭いだけ嗅されても空腹は満たされない。玉虫色ではなく、誰が見ても誤解の余地がないよう態度を明確にしていただきたい」として、具体的な要請事項を説明した。
これに対し、麻生政調会長は、「この問題に直接関わっていないので、この場で連合会長に喜ばれるような回答はできない」としたうえで、「いま伺った範囲では理屈と筋は皆さんの言うとおりだと思う」と述べた。その後、組合側から、「そもそも労働基本権問題は自民党側から『受けて立て』と提起したことが始まりである」と指摘して、率直な意見交換を行った。
最後に、草野連合事務局長から、「くれぐれも強行路線をとることがないよう」と重ねて主張。麻生政調会長は、「そもそも連合と激突して対決法案にするようなものではないし、すべきでもない。政府側もそういう認識だと思う」と応じ、締めくくった。
【保守新党への要請】
保守新党への要請は、2日午後5時30分から衆議院第22控室で行われた。連合から笹森会長、草野事務局長、鈴木総合政治局長が、連合官公部門「対策本部」から山田国税労組委員長、山本事務局長が参加、党側は、二階俊博幹事長、井上喜一政調会長、佐藤敬夫国対委員長が対応した。
笹森会長が要請し、事務局長らが申入れ事項を説明した。
これに対し、井上政調会長は、「スト権はともかくとして、協約締結権については個人的には与えて良いと考えている。ただ、労使の問題は信頼関係がなにより大切で、直ちにすべての省でそれが成立するとはいえない要素もある」と述べた。率直な意見交換の後、二階幹事長から、「皆さんの主張については十分理解できる」としたうえで、「小政党とはいえ連立政権を構成する党として、また連合の皆さんと同じ政治的立場をとっていた経緯もある党としては、十分な信頼のもとで協議することが必要と考えている。党として公務員制度対策委員会(仮称)を立ち上げ、皆さんの意見を伺いながら拙速を避けて本気で取り組みたい」と述べ、申入れを締めくくった。
以上