福田官房長官は4月24日の記者会見で、公務員制度改革問題について、「組合に納得していただくことが必要である。従来から、労使関係について組合とはよく話し合いをしていくと申し上げている」と述べた。坂口厚生労働大臣の「労働組合との話し合いが決着するまでは、法案を提出すべきでない」との記者会見発言(別記)に対し、見解を求められたことについて答えたもので、公務員制度改革関連法案の閣議決定・国会提出には、あくまで労働組合の「納得」が前提条件であることを示した。
この間、連合と連合官公部門は政府に対し、公務員制度改革に当たっては、労働組合との交渉・協議、合意のもとに進めるよう求め、「関連法案の一方的な閣議決定反対」を強く要請してきた。また、民主・自由・社民の3野党幹事長も4月3日、共同で福田官房長官に「組合との十分な交渉・協議、合意を得るよう」申し入れ、強行した場合には、「重大な決意で臨む」と訴えた。15日から17日にかけては、トロットマンILO労働側理事グループ議長が来日し、関係閣僚・政党に対し、「ILO勧告の全面実施」を要請した。
こうした一連の要請に対し官房長官は、4月16日の連合との会見で「制度改革については、民主的に話し合いで決めるのが基本」との見解を示していた。
さらに、連合及び連合官公部門は、笹森連合会長、草野連合事務局長を先頭に、精力的に与党対策に取り組み、自民党の山崎拓幹事長、太田誠一行革推進本部長、野中広務公務員制度改革特別委員長、公明党の北側一雄政務調査会長ら与党幹部への申入れと意見交換を行ってきた。
官房長官発言は、こうした一連の取り組みの到達点として評価できるが、政府・自民党は、依然として今国会への法案提出を目指しており、強行突破路線を捨てていない。このため対策本部は、一層闘争態勢を強め、あくまで労働基本権を確立した民主的な公務員制度改革を求めていくことにしている。
【官房長官記者会見でのやりとりの概要】
(記者)坂口厚生労働大臣のジュネーブ出張でILOに行かれるが、公務員制度改革について、坂口大臣が先の記者会見で、労働組合との話し合いがきちっと決着するまでは、法案の提出をするべきではない、といった趣旨の発言をされているが、福田官房長官も同じような考えでいますか。
(官房長官)これは、そもそも組合と話し合いをしていかねばいけないでしょう。組合の納得をして頂くことはやはり必要と思います。そういう趣旨で坂口大臣が言われたのではないか。従来から、労使関係について、組合とはよく話し合いしていきましょうと申し上げている。そういう趣旨にそって今後もやってまいりたいと思います。
(注)坂口厚生労働大臣の記者会見発言(要旨)(4月22日)
「(ILO勧告の労働基本権の付与に関する質問に関して)ILOから指摘される前に政府と労働組合で話しをよく詰めて結論をだすということではないか。あまり急いで法案をだすのは控えたほうがいい。連合との話を一歩一歩しっかり詰め、そのことなしに法案を提出することは避けた方がいいと思っている。」
以上