みんなの力で労働基本権確立と民主的公務員制度改革を実現しよう

労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.153 2003年6月10日

連合官公部門連絡会


連合・連合官公部門が6.9中央行動実施、中央集会・国会デモに3千人参加
「閣議決定強行阻止、交渉・協議による公務員制度改革」求める

 国会の会期末を控え、公務員制度改革関連法案の今国会提出を巡って重要な段階を迎えていることから、連合・連合官公部門は、6月9日、関連法案の閣議決定強行阻止を目標に中央行動を実施した。午後6時から東京・芝公園で3,000人が参加して中央集会を開き、国会請願デモに取り組んだ。
 集会に先立ち、連合官公部門対策本部は、第28回書記長会議を開催した。自民党や行革推進事務局が依然として関連法案の今国会提出を画策していることから、会議では、政府に閣議決定の強行を断念させ、5月27日の政労会見での合意を踏まえ「協議の場」を通じて、労働基本権を確立した民主的な公務員制度改革を実現するよう求めていくことで意思統一をはかった。

 中央集会は、山本連合官公部門対策本部事務局長の司会で進行、はじめに草野連合事務局長が次のように主催者挨拶を行った。
「ILO総会に出席している笹森会長にかわって挨拶を申しあげる。連合は、公務員制度改革を連合全体の課題として取り組んでいるところである。4月以降、官公部門連絡会の代表とともに福田官房長官、石原行革担当大臣、与党責任者らと精力的に意見交換を行っており、@「協議の場」を設置すること、A協議中は国会に法案を提出しないこと、B労働基本権を確立することを要請している。政労会見の合意を経て「協議の場」の設置については前向きな検討を約束させたが、政府・与党は、今国会に法案を提出するという考えを変えていない。そのため、通常国会の延長の如何によっては関連法案が国会に提出される可能性もあり、私たちは、透明で民主的な公務員制度改革の実現を求めて最後の最後まで全力をあげて取り組む決意である。」
 ついで、民主・社民・自由3野党の代表が次のような連帯の挨拶を行った。
民主党・川端達夫公務員制度問題対策本部長
 政府は、口では話し合いが整わないうちは強行しないと言ってきたが、労働基本権問題は先送りしている。法案の国会提出を強行するなら国民の信は得られない。ILO勧告を無視し続けるなら、日本に調査団が派遣され、その結果、国際的にも日本は恥ずかしい国として位置付けられてしまう。他の野党の皆さんと協力して、透明で民主的な改革を目指し、閣議決定をさせないためにがんばる。
社民党・中西績介公務員問題対策特別委員長
 今まで労働基本権は無視され続け、現在、ILOから勧告されるような事態にまで至った。半世紀にわたる労働基本権確立という願いが、実現できるかどうかという闘いを、今皆さんが取り組んでいる。このチャンスを逃すと、労働基本権の確立は未来永劫に不可能となりかねない。連合、野党の皆さんと一緒に、皆さんの要求実現に向け闘い抜く決意である。
自由党・山岡賢次政治行政改革推進本部長
 キャリアと一部特権階級の政治家とのゆ着や官僚の天下りが行政を歪め、今日のひどい状態を招いた。公務員の労働基本権の制約によって、日本は世界からおかしいと見られている。日本も「普通の国」「まともな国」にならなければならない。野党は、政府が閣議決定を強行するなら「重大な決意」で臨むと確認した。皆さんの運動は大きなうねりを見せ、政府の動きを阻止するものになろう。わが党も全力を挙げて闘っていく。

 連合官公部門対策本部の丸山本部長が、基調報告を行い、経過と今後の取組み方針を提起した。そのなかで、「公務員制度改革大綱」の撤回を求めて取り組んだ1千万署名、ILO提訴、与野党対策、大衆行動などの運動の経過に触れ、「こうした取組みの結果、現在、政府と連合との『協議の場』の設置について、政府に前向きな姿勢を取らせるまでになった」とし、そのうえで、「国会会期の大幅延長という情勢のもとで、行革推進事務局は、依然として今国会に法案を提出する画策をしている」ことを指摘した。当面の目標として、「関連法案の一方的な閣議決定を断念させ、交渉・協議のなかで、労働基本権問題の要求実現を目指す」と提起。「2年に及ぶ闘いは、いまが正念場であり、労働基本権の確立とキャリア制度の廃止・天下り禁止による国民本位の行政への転換のため、民主的な公務員制度改革の実現を求めて闘い抜こう」と呼び掛けた。
 集会は、連合官公部門構成組織を代表して君島自治労書記長、石山全林野副委員長が決意表明した。そのなかで、「公務員の労働基本権が奪われて55年が経過した。いまこそ連合700万の仲間とともに、大綱の撤回、労働基本権の確立に向け全国で闘い抜く」(君島自治労書記長)、「政府案の能力等級制度が導入された場合には、国営現業にも適用することを行革推進事務局は検討している模様だが、これは交渉権の侵害であり、全国の職場から闘いを巻き起こそう」(石山全林野副委員長)と述べ、闘う決意を披露した。
 集会のアピール(別紙)を中村名古屋税関労組青年部長が提案、会場全体の拍手で採択した。閉会挨拶で山本事務局長は、「ILO結社の自由委員会が5月30日、再び日本案件を審議し、先の勧告に引き続き、大綱の再検討などについて、より強い姿勢で報告書が取りまとめられ、20日の理事会で採択される模様である」との情報を報告した。集会は、榊原連合官公部門対策本部副本部長の団結ガンバローで締め括った。
 集会参加者は、国会に向けてデモ行進を行い、「特権的なキャリア制度や天下り反対」「労働基本権を確立した民主的な公務員制度改革を」と訴えた。デモ参加者は、デモコース上にある行革推進事務局(第10森ビル)の前にさしかかると、「密室で公務員制度改革を進めるな」「一方的な閣議決定反対」のシュプレヒコールを連呼して、推進事務局の策動に抗議した。国会議員面会所では、出迎えた民主・社民両党の議員とエールを交換した。


(別紙)
アピール


 透明で民主的な公務員制度改革を求める闘いは、第156国会の会期末を控えて、まさに正念場を迎えている。
 私たちは、交渉・協議のないまま一方的に閣議決定した「公務員制度改革大綱」に対し、民間の仲間、3野党と連携して、あらゆる反撃のたたかいを進めてきた。全国街頭キャンペーン行動、1000万署名活動、3万カ所職場決議、地方連合会と連携した国会議員上京要請をはじめとした9次におよぶ国会議員要請行動、ビラ配布や職場内外の宣伝活動に取り組んできた。
 また、国際労働組合組織と連携したILO提訴の取り組みにより、ILOは、労働基本権制約を維持した「大綱」を再検討すること、ILO基準を尊重して労働組合と協議した公務員制度の改革を、日本政府に求める勧告を行った。
 こうした運動の積み上げは、行政改革推進事務局が意図している公務員制度改革関連法案の一方的な閣議決定の強行を、今日まで阻止している。
 私たちは、50年ぶりの大改革にふさわしい透明で民主的な公務員制度改革の実現を求める。そのためにまず、ILO勧告を受け入れ、労働基本権を確立した公務員制度改革を実現するよう求める。また、国民から強く批判されているキャリア制度の廃止と、天下りを禁止することを求める。
 私たちは、政府が「法案」の閣議決定を強行せずに、労働組合と交渉・協議し、合意に基づいて改革を進めるよう強く求める。
 5月27日の政府と連合との政労会見では、「十分な交渉・協議とトップ会談を開催すること」で合意をみた。これを受けた6月4日の石原大臣との交渉で、「協議の場の設置」に前向きに検討する姿勢が示された。
 私たちは、すべての労働者の連帯と国際労働運動の支援のもと、3野党と固く連帯し、閣議決定強行を阻止し、公務員の労働基本権を確立した透明で民主的な公務員制度改革を実現するために、職場・地域から総力をあげて闘い抜くことを宣言する。

2003年6月9日
連合・連合官公部門連絡会
閣議決定強行阻止!!透明で民主的な公務員制度改革を求める6・9中央集会

以上