対策本部は7月14日午後5時から、総評会館で第15回対策本部会議を開き、政府・与党の動向から公務員制度改革関連法案について、事実上今国会への提出不能に追い込んだ、との判断にたち、今後の取組み方針を決めた。当面の取組みとして、政府に対し、ILO勧告を踏まえ、基本権制約維持を決めた「大綱」を見直した抜本改革に向け、「協議の場」を設置して、交渉・協議を開始するよう求めることにした。
会議には、笹森連合会長も参加、冒頭の挨拶で、「労働基本権問題は、公務員だけでなく官民共通の課題ととらえ、運動に取り組んできた。政府・与党対策も積極的に行い、そして、皆さんの取組みの結果として、法案の今国会提出を事実上断念させることができた。闘いは一つのヤマを越したが、労働基本権を盛り込んだ本当にいい制度に作り上げる取組みはこれから始まる。必ず実りあるものにするため、最後まで頑張りたい」と決意を述べた。
ついで事務局から、これまでの取組み経過と現局面について、次のような報告を行った。(1) 自民党は、公務員制度改革関連法案の扱いで、7月8、9日の両日、行革推進本部と関係3部会(内閣・総務・厚生労働)の合同会議や公務員制度改革委員会(野中委員会)を開き、政府案をもとに協議したものの、政府・行政部内の意見の不一致が明らかになり、党内からも異論がでて、まとまらなかった模様である。
(2) こうしたことから、今月28日の延長国会の会期末を控え、政府の関連法案提出を事実上不可能にさせた、と判断できる。
(3) 政府・与党は、「公務員制度改革大綱」の閣議決定以降、「使用者権限を一方的に強化する」という公務員制度改革関連法案の通常国会提出に向け、強引に法案の検討作業を進めていた。これに対し、組合側は、政府方針の全面見直しを求める困難な闘いを余儀なくされたが、今国会への法案提出を事実上断念させる状況に追い込むことができた。
(4) このことは、連合を先頭として取り組んだ1千万署名の達成、ILO勧告にみられる国際労働運動の支援と連帯、民主・社民・自由3党の結束した支援と国会での追及、マスコミ世論対策など、一連の取組みの成果であり、到達点である。
(5) しかし、行革推進事務局は、依然として、「大綱」に基づく法案の閣議決定に向け、各省・人事院との非公式協議を継続しており、次期国会提出に道を開こうとしている。
会議では、こうした経過を確認したうえで、当面の対応方針について、「政府との協議の場の設置を求める取組みを強化し、この政労協議を通じて、労働基本権の付与、天下りの禁止、キャリア制度の廃止など、ILO勧告を踏まえた透明で民主的な公務員制度改革の実現へ道筋をつける」ことを確認し、次のような取組みを決めた。
(1) 延長国会の閉幕を受け、取組みの到達点と今後の取組みについて意思統一を図るため、7月29日11時から、総評会館で、200人規模の拡大対策本部会議を開催する。
(2) 政府・行革推進事務局との交渉で、関連法案の「手続き・手法、内容」について、追及する。
(3) 連合と連携し、引き続き与野党対策を進める。3野党に結束した取組みを要請するとともに、個別議員への働きかけを行う。さらに、各級地方議員対策について検討する。
(4) 連合の指導のもと、民間組合及び地方連合会に対する報告を行う。
(5) マスコミ・世論対策を進める。
(6) ILO対策を引き続き行い、関係者の来日を要請する。
以上