対策本部は8月19日、行革推進事務局長と交渉し、第1回政労協議の確認に基づく誠意ある交渉・協議を行うよう強く求めた。行革推進事務局は、与党申入れを受け、能力等級制と再就職管理を柱とした「国家公務員制度改革関連法案の骨子(案)」や、「新しい評価制度(案)」を提示し、これをもとに議論をすすめ、秋の臨時国会に法案を提出する動きを強めている。交渉で対策本部側は、改革課題全般について議論し、そこでの合意のもとに制度改革を進めるよう迫った。また、13日の交渉で提示を求めていた「質問書への回答」「法案骨子案の前提となる制度検討の原案」「新評価制度案の再提案」について質した。交渉には、対策本部から山本事務局長及び各構成組織書記長らが参加、行革推進事務局側は、松田事務局長、磯部公務員制度等改革室長、笹島参事官らが対応した。
冒頭、対策本部側は、「5月13日の政労協議において、公務員制度万般について議論することで合意した。そこでは、@公務員制度改革大綱にとらわれず、必要な見直しは行う、A労働基本権問題については、制約するとも付与するとの前提もつけず、白紙から議論する、BILO勧告がなされているという事実をふまえて議論する、との確認がなされ、実務者協議も始まった。ところが、秋の臨時国会での法案提出に向け、9月中の法案閣議決定、8月中の法案要綱とりまとめ、というスジュールを決め、作業を進めていると聞こえてきている。このことが事実としたら、政労協議の確認を踏みにじるものである」として、見解を質した。さらに、@対策本部から提出していた質問書に対し、きちんとした文書回答を求める、A改革関連法案の骨格案は内容が不明確であり、骨格案の前提となる制度検討の原案を提示して貰わないと議論のしようがない、B新評価制度(案)の機能の切り分け(能力評価は任用に、業績評価は給与に活用し、前者は推進事務局、後者は人事院で検討作業を行うというもの)は納得できないので、再提示願いたい、として見解を求めた。
これに対し、松田事務局長は、「政労協議では、公務員制度改革に当たって、当事者である組合の皆さんとよく意見交換していくことが話し合われ、いまもその姿勢に変わりはない。内容的にも、労働基本権については重大な問題と考え、実務者レベルで議論する。はじめに作業スケジュールを決め遮二無二進めることは考えていない」との見解を示した。そのうえで、3点の課題について、次のように回答した。
@現在、質問に対する回答を整理、とりまとめ中であり、まとまり次第、提示する。
A骨格案は、検討作業中のものであり、制度的な質問があれば意見交換のなかで説明したい。
B実績評価については、制度官庁において検討しているが、とりまとめの責任は推進事務局にある。
こうした見解を受け、対策本部側は、「抜本的改革の基本目標、改革の指針などを明確にすべきで、期限を明示した制度の全体的な工程を基本法の制定や国会決議等で示すべきだ」としたうえで、@労働基本権を付与する道筋を示すこと、A新たな評価制度について労働組合の参加・関与を保障すること、B天下りは幅広く規制すること、を要求した。
行革推進事務局側は、「与党の申入れを受け、能力等級制度と再就職の課題を中心に検討しているが、この課題に限らず、キャリア制度の見直しなどについてもなおざりにしていない。労働基本権問題については、公務の安定性確保や国民生活に与える影響など慎重な検討が必要と考えるが、議論していく」との考えを示した。
交渉では、さらに対策本部側から、@労働基本権のあり方については、政治の場での議論としてかたづけず、事務方としての立場からも積極的に発言すべきである、A制度改革では、評価制度が重要な課題となる。能力・業績評価に基づいて任用・処遇を決めるとするなら、評価の仕組み、結果の活用など労使で協議する仕組みを作らない限り機能しない。能力等級制度については、勤務条件性があると理解しており、このことをふまえて議論願いたい、B早期に2回目の政労協議に入れるよう、条件整備に努力願いたい、と求めた。
交渉の結果、次の点が確認された。
@政労協議で確認された「交渉・協議に基づいて制度改革を進める」とした考えに基づいて制度設計を進める。一方的に法案を作成することはしない。
A交渉・協議においては、労働基本権問題も課題とする。能力等級制度の具体的制度設計の検討に当たっては、組合との協議を踏まえて行う。
B質問書については、文書で回答する。制度的な内容については、なお、組合側の意見を聞いて、どのように対応するか検討する。
対策本部では、質問書への回答などを踏まえて、今後の交渉・協議の課題、進め方について行革推進事務局と話し合うことにしている。
以上