9月15日、「国民から信頼される新たな公務員像と民主的な労使関係の確立」をテーマに、連合は都内で「公務員制度改革実現!9.15シンポジウム」を開催した。民間構成組織や地方連合会を含め約250名が参加した。
冒頭、挨拶に立った草野連合事務局長は、「連合は、政府・与党が臨時国会に提案を目論んでいる公務員制度改革関連法案を撤回させ、連合案に基づく制度改革を求めていく。他方、官と民の間には制度改革に対する認識に隙間が存在することも事実である。連合全体での率直な議論を通じて、より良い改革に向けて、まっしぐらに進んでいきたい」と述べた。
続いて、中嶋連合総合国際局長から「ILO結社の自由委員会への提訴と勧告」について、山本公務労協事務局長から「公務員制度改革に対する取り組みと直近の政府・与党の動向」について、情勢報告があった。
このなかで、中嶋連合総合国際局長は、「2度にわたるILOの勧告は、日本の公務員制度が国際基準から大きく逸脱しており、法改正が必要であること、その際、政労間の実質的、全面的で意義のある協議を通じて解決すべきとしている。しかし、日本政府は2度にわたる勧告を全く受け入れていない」と指摘したうえで、「ILOと国内双方の取り組みを連動させ、具体的な成果をあげていく必要がある」と訴えた。
山本公務労協事務局長は、「公務員制度改革は、50年振りの抜本的な改革という触れ込みで始まったが、政府・与党は、キャリア制度やタテ割行政の弊害の見直しを脇におき、能力等級制度の導入と天下り問題に限定するなどして、改革を大幅に縮小・収束させようとしている」と述べ、今後の取り組みとして、政府・与党に対し、「公務員制度研究会」の提言で示された@労働基本権の付与を含む改革の具体的な道筋の明示、国会での確認、A能力・実績を重視した新たな人事・給与制度の導入に当たっての評価制度に関する労使協議制度の確立を求めていく考えを示した。そして、「連合全体での取り組みを引き続きお願いしたい」と要請した。
後半のパネルディスカッションは、「何を、どのように改革すべきか〜連合が求める公務員制度改革の姿〜」をテーマに持たれ、加藤自動車総連会長、清水敏早稲田大学教授、丸山公務労協副議長(対策本部長)の各パネリストが、現行制度や政府案の問題点、改革の必要性などについて討論を行った。
このなかで、加藤自動車総連会長は、「公務員の労働基本権は付与されて当然と考えるが、その際には、雇用保険、年金などのイコールフッティングが必要である」と述べた。丸山公務労協副議長は、「能力、実績による人事管理には評価が必要だが、労使協議に基づく評価システムの制度設計が不可欠」と訴え、さらに、「公務員の労働基本権を全面一律に否定することは許されない」と強調した。清水早稲田大学教授は、「最近は、公的サービスの提供に関して官民の垣根が低くなってきており、担い手がどういう仕事をしているかという観点から、労働基本権問題を考えていく必要がある。その際、ILOの基準が出発点として検討に値するのではないか」と述べた。
最後に、コーディネーターの中嶋連合総合国際局長が、「韓国が公務員の労働基本権付与に関する法律案を閣議決定したことに触れ、これにより日本がOECD加盟国で唯一、公務員の労働基本権を付与していない国になる」と述べて、パネルディスカッションを締めくくった。
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