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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.184 2006年12月12日

公務公共サービス
労働組合協議会


行革推進本部交渉実施し、公務員制度改革の政府方針質す

政府側の「政府内調整を始める」との回答に対し、大臣交渉を要求

 公務労協公務員制度改革対策本部は、12月12日11時30分から、行政改革推進本部事務局との交渉を実施し、公務員制度改革に関わる政府としての取組方針を質した。
 この日の交渉は、@12月7日に開催された経済財政諮問会議で「公務員制度改革」が議題とされ、佐田行革担当大臣から「公務員制度改革の方向性について」という考え方が示され、行革推進本部で当面公務員制度改革案のとりまとめを行うこととなったことA8日には自民党の公務員制度改革委員会(片山委員長)に対して行革推進本部事務局がさらに詳細な公務員制度改革の考え方を示し、自民党側から政府として次期通常国会に公務員制度改革法案を提出するよう作業を進めるよう要請されたこと、など公務員制度改革の議論が突如浮上してきたことを受けて、政府としての考え方を質すため行ったもの。
 現在の公務員制度改革は、2004年12月24日の「今後の行政改革の方針」により、「関係者間の調整をさらに進め」、当面、@適切な退職管理A評価の試行、などを進めるとの方針に基づき、評価の試行等が進められている。また、能力・実績主義人事管理を進めるには労働基本権確立や労使関係の改革が不可欠であることから、3大臣と連合の政労会談の確認に基づき、「専門調査会」が設置され審議が進められているところである。
 対策本部側は山本事務局長ほか構成組織書記長が参加し、行政改革推進本部側は公務員制度改革等担当の株丹事務局次長らが対応した。
 冒頭、山本事務局長が、「12月7日の経済財政諮問会議で公務員制度改革についても議論が行われ、来年早々にも政府としての改革案をまとめるなどの話になっているようだがどういうことなのか説明していただきたい。2004年12月の閣議決定に基づく約束にも反することとなるのではないか」として、政府側に説明を求めたのに対し、株丹次長は別紙資料を配付した上で、次の通り説明した。

(1) 7日の経済財政諮問会議で公務員制度改革が議論された。会議では行政改革の重要な課題の一つとして議論されたものと受け止めている。そのとき、佐田大臣が別紙資料の1ページ目を提出し、考え方を説明した。諮問会議では、公務員制度改革について、他に菅総務大臣、民間議員からも資料が出された。議論を踏まえ、来年のできるだけ早い段階で佐田大臣がとりまとめをして報告することになっている。
(2) その後、自民党から公務員制度改革の検討状況の説明を求められ、「政府として」ということではなく、「行革事務局として」考えていることを、別紙資料の2ページから6ページで説明した。
(3) 佐田大臣自らが諮問会議で説明した部分もあるが、行革事務局としても早期にできるものから具体化して参りたいと考えているので、今後、意見交換をさせていただききたい。

 これに対し、対策本部側は、次の通り、さらなる説明を求めた。
(1) 2004年12月の閣議決定「今後の行政改革の方針」では「公務員制度改革については、(中略)制度設計の具体化と関係者間の調整を更に進め、改めて改革関連法案の提出を検討する。一方、現行制度の枠内でも実施可能なものについては早期に実行に移し、改革の着実な推進を図る」とされ、後者について評価の試行を今進めている。
 今の説明では、前者について新たな一歩を踏み出すものである。説明ではいつまでに何をするのかがわからない。かつて検討されたような「能力等級法」を国会に提出するのか。スケジュールはどうなっているのか。
(2) われわれは、公務員制度改革は必要であると考えているし、急がなければならないと思う。しかし、整合性がないと機能しないことから、能力・実績主義を強化するのであれば、労働基本権の付与など労使関係の改革と一体でなければならないと主張し、意見交換してきた。しかしながら、合意が得られず、法律改正が先送りとなった経過がある。そうした経過について、棚卸しをして再度進めたいというのであれば、事前の説明が当然なされなければならない。能力・実績主義等の法案改正は進める一方、基本権の問題については専門調査会で検討していることを理由に先送りするというような話も聞こえてきている。われわれはあくまで一体で検討すべきと考えており、政府としてはどう考えているのか。

 この追及に対し株丹次長は、次の通り、追加の説明を行った。
(1) 公務員制度改革については、これから政府部内で調整していかなければならないが、自民党からは「再就職管理の適正化」と「能力・実績主義に基づく人事管理」は、次期通常国会に関係法案を提出するよう、要請があった。行革事務局としては、今後、積極的に関係するところと調整し、通常国会に関係法案を提出することを視野に入れて作業を進めることにしている。
(2) 公務員制度改革を積極的に進めるべきという考えは当方も同じであり、直近では行政改革推進法に取り組むべきことがうたわれており、現内閣の重要課題として速度を上げて調整していかなければならない。今の社会情勢の中で、一刻も早く取り組む必要があり、できるものから具体化していくということで、皆さんのご意見も聞きながら進めていきたい。2004年の閣議決定に至る過程でうまくいかなかった経緯については承知しているが、今の時点ではできるものから改革を進めていくことが国民の信頼確保につながると考えている。

 説明の中で「自民党の要請」に言及されたことから、対策本部側が「政府の機関が自民党の指示に基づいて作業するのは問題だ」と追及したところ、株丹次長は「公務員制度改革は不偏不党で行わなければならない考えており、党の方針で動いているわけではない。佐田行革担当大臣が法案を提出したいということで作業しており、政府の内部で調整を進めるということだ」との見解を示した。また、「改革の方向性」は政府としての案か、行革推進本部事務局としての案かと質したのに対して、次長は「政府としてまとまっているわけでなく、行革推進本部事務局としての考え方を示したものであり、今後政府案の取りまとめに向けて調整していくこととなる」との考え方を示した。
 以上の議論で、今後、政府部内で調整をし改革案をまとめていくという方針が明らかになったことから、対策本部側は「過去の経緯を無視した方針転換であり、その理由をわれわれに十分説明すべきである。それがなければ信義に反する。今後、政府としての案を検討していくということであれば、これまでの経緯と異なるわけだから、手続き的、内容的にもわれわれに対して手順を踏んできちっと納得いく説明をすべきだ」と強く要求した上で、次の通り、さらに見解を質した。
(1) 政府部内で調整をしていく場合、専門調査会での議論はどういう関係になるのか。
(2) 能力・実績主義の人事管理を行うためには新しい評価制度が必要という合意に基づき、今、評価の試行を進めており、まだ時間がかかる一方で、突然、次の通常国会で能力・実績主義に関わる任用制度等について法改正を行うというのは理解できない。評価制度の検討は反故にするということか。整合性がないのではないか。
(3) 政府部内における調整ということであるのなら、そのスケジュールはどうか。

 これらに対し次長は「評価の試行については承知している。法改正は、これからの話であり、皆さんと十分話し合って参りたい」とするのみで、われわれの追及に対する明確な見解を示さなかった。今後のスケジュールについても「予算関連法案ではないので、3月には提出するというのが一つの目安であり、それをめざして政府部内できちんとしたものを固めたいと考えている」と答えるに止まり、具体的なものは示さなかった。
 このため、山本事務局長から「政府として部内で調整して法案提出をめざす方針ということであれば、2004年の閣議決定の枠を超えるものであることから、われわれとの交渉・協議という手順、手続きを踏んでいただきたい。以上を踏まえ、佐田行革担当大臣との交渉を申し入れる。そこで納得いく経緯の説明があって初めてわれわれとの交渉協議の入口となる。そのうえで、書記長レベル、実務レベルの交渉を行うことが不可欠だ」と要求したのに対し、株丹次長が「公務員制度改革は重大な課題であると認識しつつ、焦眉の課題でもあることを踏まえつつ対応したい。要請については然るべき時期に回答したい」と答えたことから、これを確認し、交渉を打ち切った。

 別紙資料PDF

以上