公務労協公務員制度改革対策本部は、1月12日13時30分から、行政改革推進本部事務局交渉を持ち、公務員制度改革についての政府の方針を質すとともに、これまでの経緯を踏まえ、引き続き交渉・協議を行い、合意に基づいて作業を進めるよう要求し、事務局から「十分交渉・協議して理解を得られられるよう最大限の努力をする」との見解を引き出した。
この交渉は、公務員制度改革について、昨年末に当時の佐田行革担当大臣と交渉し、「誠心誠意議論していく」ことを確認してきたが(対策本部ニュースNo185参照)、その後、行革担当大臣が渡辺大臣に代わり、引き続き通常国会に公務員制度改革関連法案を提出するための作業が進められていることを踏まえ、今後、対策本部との交渉・協議を進めるための基本姿勢を確認するために実施したもの。対策本部からは、山本事務局長ほか各構成組織書記長が参加し、行革推進本部事務局側は株丹次長、須藤・堀江両参事官らが対応した。
山本事務局長が、「来週にも渡辺新大臣を表敬訪問し見解を伺うことにしているが、今日は事務局の考えを聞いておきたい」として、次の通り、考えを質した。
(1) 昨年の佐田大臣との交渉で天下りと能力・実績主義の人事管理に関わる法案を次期通常国会に提出したいとの考えを伺ったが、政府としての方針なのか、それとも自民党あるいは与党の要請を受けた担当大臣の意向として事務局に指示があったのか。
(2) 渡辺新大臣が専門調査会の検討を急ぎ、5月にも中間報告を行うよう指示したとの報道がなされているが、報道の通りなのか。
(3) 公務員制度改革については、2004年12月の閣議決定で、当面、現行制度の枠内で検討を進めることとされ、具体的には新たな評価制度の試行を行うことが決められ、今、第2次試行を実施している。また、法改正については「関係者間の調整を進める」こととされ、現在、政労協議の合意に基づいて専門調査会が設置され、労使関係、労働基本権の問題が議論されている。この間、政府と連合の間での政労協議、及び公務労協と使用者としての政府(内閣官房行革事務局)との間での交渉・協議という二つの枠組で議論を行ってきたが、今後とも変わりはないか。また、今後、公務員制度改革に関わる具体的交渉・協議を進めるに当たっては、誠意をもって交渉・協議し、合意に基づいて進めるとの基本姿勢を確認し、見切り発車はしないことを約束すべきだ。
これに対し株丹次長は次の通り答えた。
(1) 安倍内閣に代わり、所信表明演説や総理の国会答弁は「公務員制度改革について、国民の意見を聞いて全体として見直していく」というものであり、再就職の適正化と能力・実績主義に基づく人事管理は緊急の課題であるということで、佐田大臣の考えが示され、事務局として通常国会へ法案を提出すべく作業を進めており、渡辺新大臣の考えも変わりがない。政府としてということではなく、担当大臣の意向を踏まえて事務局として検討しているものである。また、経済財政諮問会議には具体案を報告することになっている。
(2) 新大臣には専門調査会の設置の経緯や開催状況を説明したが、大臣は審議を加速することをお願いしたいとの意向であった。ただ、「5月」というような具体的時期が示されたということではなくて、何らかの形で、こういう方向でどうかというようなことをできるだけ早い時期に示してほしいということであった。
(3) 交渉・協議の従来の枠組に変わりはない。改革案の検討に当たり、関係者間の認識を深めていくことはその通りであり、具体的検討に当たっては意見交換を進めて参りたいし、皆さんの理解を得られるよう最大限の努力をしたい。
回答に対し、山本事務局長が「最大限の努力では不十分であり、見切り発車なしないことを強く求めておく。法案の具体化作業を進めているということなので、その内容やスケジュールを早急に示してもらって、実務的な交渉・協議を行うこととしたい。われわれの基本スタンスは、公務員制度改革は必要であり、労働基本権の問題を一体的に行うべきというものであり、再就職や能力・実績主義の人事管理だけつまみ食いすることは承伏できない」として、あくまで合意に基づき、労働基本権と一体の改革として進めることを強く求めた。
また、この日の交渉で、今後は@委員長レベルと行革担当大臣A書記長レベルと行革本部事務局長または次長を節々で行い、あわせて実務レベルでの交渉・協議を行うことで合意した。
以上