公務労協公務員制度改革対策本部は、4月4日11時から、行政改革推進本部事務局交渉を持ち、公務員制度改革関連法案のスケジュールを質すとともに、3月8日の申入れ(対策本部ニュースNo187参照)に対する回答を求めた。
交渉には対策本部の山本事務局長ほか各構成組織書記長が参加し、行革推進本部事務局側は株丹次長、堀江参事官らが対応した。
冒頭、山本事務局長が、昨日開催された政府・与党協議会の議論の状況を含めた今後のスケジュール及び申入れに対する回答を求めたのに対し、株丹次長から次の通り、検討状況と回答が示された。
(1) 昨日、公務員制度改革に関する政府・与党協議会が開催され、3月25日付の資料(3月27日の経済財政諮問会議に提出されたもの)について説明し、今後の対応方針について与党側から意見が出された。塩崎官房長官から「総理の訪米前に法案の閣議決定・国会提出をしたい」との発言があり、その前提として「6日までに政府・与党の合意をまとめさせていただきたい」との話があった。総理訪米前までの法案決定・国会提出については概ね合意されたが、6日までにまとめることについては難しいとの意見が出され、その日程とそうずれないタイミングで政府方針の閣議決定となるのではないか。なお、その際のポイントは、@規制をする対象法人の範囲A新人材バンクの概要Bパッケージとしての公務員制度改革への対応などが中心であると聞いている。
(2) 大臣への申入れに対する回答については、渡辺大臣から、全体として「能力・実績主義については、同じ方向であると理解しており、具体的制度のあり方については多少の違いがあるかもしれないがよく話し合っていきたい」という考えであることが示されており、個別の項目については以下の通りである。
@申入れ「1」の法案作業の十分な交渉・協議については、法案の決定は政府の判断で行われることであるが、今後も、きちんと話し合って参りたい。
A「2」の労働基本権の保障等については、今回の制度改革はできるものから実現していくということであり、現行制度も能力・実績主義であり、それに基づいて成績主義をきちんとやっていくための改正であって、労働基本権の問題とは直接関係がないと考えている。
B「3」の標準職務遂行能力等については、今回の制度改革では職員が発揮した能力、業績をきちんと把握して評価し、その人事評価に基づいて任用等を行うものであり、職制上の段階や標準職務遂行能力について、課長などといった職制上の段階に応じてどういう能力が必要かを明確にするものであり、今回の改革の基盤となるものである。
C「4」のキャリア制度については、今回、昇任等は人事評価に基づいて行うことにしている。採用後において、T、U、V種という採用試験の種類にとらわれた人事管理を行うことはあってはならないと考えている。
D「5」の個々の官職について任用基準を設けることについては、官職には様々なものがあって現実的には難しい。今回の改正で採用年次や試験の種類にとらわれない能力本位の任用ができるようになる。
E「6」については、協議制度を含め労使関係の問題については、専門調査会で検討をいただいている。政令等を定めるに当たっては、誠意を持って話し合いを行っていく。
F「7」の評価の活用等については、能力・実績主義の人事管理をやっていくということなので、評価を任用、給与等に活用していくことは当然のことと考えている。新たな評価制度の詳細な設計については、評価の試行を踏まえ検討していきたい。
回答に対し、対策本部側が「今示された回答では、人事評価に基づく能力・実績主義の人事管理と労働基本権は関係がないとのことであったが、大臣は労働基本権の見直しは不可欠との考えを表明されているし、われわれも直接聞いている。大臣はどう考えているのか」と能力・実績主義と労働基本権の関係を重ねて質したところ、株丹次長は「能力・実績主義を突き詰めていけば労働基本権と関連する事項も出てくるので付与する方向では検討すべきというのが大臣の考えではないか。ただ、今回の改革案は決定制度の話ではないので直接の関係はないと考えている」との見解を繰り返した。
続いて対策本部側は、人事評価の勤務条件性や今回の改革案で評価結果を活用することが明記されることと現在行われている試行との関係などを質したが、「勤務条件ではない」、「試行を踏まえ制度設計する」との考えが示されるにとどまった。
最後に対策本部側は、「本日の回答はゼロ回答であり、到底受け入れられない。強く再考を促す。内容的にも、大臣の考えと今日示された回答、見解は違っているのではないか。能力・実績主義を行うのであれば、今までの労働基本権のあり方を変えないといけない。昨日の専門調査会における大臣発言(基本権は避けて通れない。現状を変えるべきかどうか、自分は変えるべきと常々申し上げている)を踏まえ、誠心誠意対応していただきたい。今後の法案作業については引き続き実務協議を行い、法案の閣議決定前に大臣交渉を行っていただきたい」と強く申入れ、本日の交渉を締めくくった。
以上