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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.191 2007年4月25日

公務公共サービス
労働組合協議会


政府が“公務員制度改革関連法案”などを閣議決定−4/24

−対策本部は担当大臣交渉実施、閣議決定に対する見解を公表−

 政府は、4月24日19時30分から開催した閣議で“公務員制度改革関連法案”(国家公務員法等の一部を改正する法律案)及び全体パッケージに関する「公務員制度改革について」を閣議決定し、翌日、法案を国会に提出した。
 法案の内容は、13日の「公務員制度改革に関する政府・与党合意」(対策本部ニュースNo.190参照)のうち、能力・実績主義に基づく人事管理及び再就職規制の強化について、国家公務員法等関連法案の改正として具体化したものである。また、「公務員制度改革について」は「政府・与党合意」の内容を政府の方針として閣議決定したものであり、今回法案としてとりまとめられた事項以外については、いわゆる「全体パッケージ」として総理の下に置かれる有識者による検討の場で議論し、次期通常国会に国家公務員制度改革基本法として提出することとしている。

 公務労協・公務員制度改革対策本部は、この閣議決定に先立って、24日12時過ぎから、渡辺行政改革担当大臣と交渉を持ち、13日に提出した「公務員制度改革関連法案の取りまとめに当たっての申入れ」(ニュースNo.190参照)に対する回答を求めた。
 交渉は内閣府内で行われ、対策本部側は福田本部長(国公連合委員長)、岡部(自治労委員長)、森越(日教組委員長)副本部長、河田本部員(林野労組委員長)、山本事務局長が参加し、政府側は渡辺喜美行政改革担当大臣以下、株丹行政改革推進本部事務局次長らが対応した。
 冒頭、福田本部長が渡辺大臣に「公務員制度改革法案について本日閣議決定されると聞いている。対策本部として4月13日に申入れを行っているが、閣議決定にあたって、所管大臣としての見解を聞かせてもらいたい」と質した。
 これに対して渡辺大臣は、「閣議決定は本日になる。今回の改正法案は能力・実績主義の人事管理と再就職規制の強化である。その他の労働基本権、定年延長、公募制、官民交流などの課題は、来年の通常国会にプログラム法として提出する予定だ。そのことを6月の骨太方針に書かせてもらいたいと考えている。能力・実績主義人事管理の導入にあたって組合から要請のあった事項である、@人事評価の設計、活用のあり方については組合と協議を行う、A労働基本権の保障については本日の専門調査会でつっこんだ議論を期待している」と見解を表明した。
 大臣はまた、「私としては、労働基本権を制限している状態は正常ではないと思う。今回の能力・実績主義は非現業一般職に対して導入するもので、非現業一般職に基本権を付与すべきだと考える。基本権については専門調査会で検討頂いているので、団結権、団体交渉権に加えて協約締結権、争議権を付与する方向で議論されることを期待している。パッケージの改革課題は、総理の下に有識者会議を設置して検討してもらうことになる。公務員制度改革については、引き続き組合と十分話し合っていきたい」と述べた。

 対策本部は、大臣交渉や法案等の閣議決定を受けて、25日、別紙「公務員制度改革関連法案の閣議決定・国会提出についての見解」を発表し、引き続きILO基準を満たした労働基本権の確立と民主的公務員制度改革実現に向けて奮闘する、としている。


〔別紙〕

公務員制度改革関連法案の閣議決定・国会提出についての見解


1.政府は、4月24日夜、天下り・再就職規制と能力実績主義人事管理を中心とする国家公務員法等改正法案(地方公務員法も準じて改正する)を閣議決定し、本日国会へ提出した。併せて、(1)専門スタッフ職の実現、(2)公募制の導入、(3)官民交流の抜本的拡大、(4)定年延長を柱とし、「採用から退職までの公務員の人事制度全般について検討し公務員制度の総合的な改革」を推進するための基本方針を盛り込んだ「国家公務員制度改革基本法」(仮称)を次期通常国会に提出すること、そのために、総理の下に有識者からなる「公務員制度に関する検討の場」を設置するという全体パッケージによる改革断行方針(「公務員制度改革について」)を閣議決定した。

2.今般、政府が抜本改革の必要性とその具体的スケジュールを明記したこと、所管大臣が能力実績主義の人事管理への改革には「労働基本権の付与が必要」との認識を再三表明している点については当然とはいえ「評価」しうる。
 しかし、法案は@天下り・再就職問題については勧奨退職を継続するのか否かや各省割拠主義など政府として一貫した人事管理を行う権限と責任、体制が不明確で機能不全となりかねないこと、A評価制度が未整備のまま能力実績主義の人事管理が見切り発車されたこと、さらに、採用試験制度、現行キャリアシステムをどうするのか、労使関係制度の改革などの基本的方針が明示されていないことから、法案及び全体パッケージには反対せざるを得ない。

3.労働基本権を軸とした労使関係の扱いについては、能力実績主義人事管理のための法改正と切り離されているという意味で到底容認できない。ただ、全体パッケージ改革方針に「調査会審議を踏まえ検討する」と記述され、24日に取りまとめられた専門調査会座長による「議論の整理」で「労働基本権を含む労使関係の問題についても改革の方向で見直すべき」とされたことは、これまでの労働基本権を「付与する、しないについてはニュートラル」との立場から一歩踏み出したという意味で、今後の取り組みへの足がかりとすることができると判断し、これまでの取り組みの到達点と受け止める。

4.安倍内閣は、公務員制度改革問題を戦後レジームからの脱却の中核と規定し、最重要政治課題の一つとした。公務員制度改革は、参議院選挙対策を強く意識した政治的思惑が刻印されており政局動向に大きく影響されるとはいえ、政府・与党合意と閣議決定の政治的・社会的意味は重く、今や、部分改革から構造的抜本的改革へ重心が移行し、その内容が本格的かつ現実的に争われる政治課題となりつつある。社会経済の変化に応えた民主的公務員制度実現のために整合性ある抜本的改革が急がれねばならない。

5.労働基本権問題の帰趨はいよいよ正念場となる。専門調査会を舞台とした最終報告へ向けての審議、法案の国会での扱いと審議対応、07骨太方針での取り扱い、今後総理の下に設置される有識者による「公務員制度に関する検討の場」の委員選定など、次期通常国会を視野に納めた取り組みが必要である。
 公務労協は連合と共に全力を挙げて、ILO勧告を満たした労働基本権の確立と民主的公務員制度改革実現に向けて引き続き奮闘するものである。

 2007年4月25日

公務公共サービス労働組合協議会
労働基本権確立・公務員制度改革対策本部