4月25日に国会提出された国公法等改正法案は、15日13時から開かれた衆議院本会議で趣旨説明が行われ、民主党提出の対案とともに質疑が行われた。同法は、衆議院内閣委員会に付託され、いよいよ審議入りすることとなる。
政府・自民党は、参議院選対策として公務員問題をクローズアップし、バッシングによって政権浮上を狙っている。そのために、社保庁改革法案や公務員制度改革関連法案を後半国会の重要法案として位置づけ、優先審議しようとしている。6月23日までの今通常国会の会期から見て日程はタイトであり、今後の審議の見通しは不透明だが、政府・与党の国会ルールを無視した強行姿勢からして予断を許さない緊迫した情勢に入ったと言える。
公務労協は、15日に開いた運営委員会で、政府提案の公務員制度改革関連法案の今国会での成立阻止・廃案に向けて闘う方針を確認。同日には、連合と連名で民主党、社民党に慎重審議と廃案を申し入れる(別紙参照)とともに、当面、国会傍聴行動等、取組みを強化することとした。
民主党申入れは、同日午後、公務労協岡部議長、福田対策本部委員長らが菅代表代行と高木国会対策委員長・同平野国会対策副委員長らに申し入れた。
公務労協側が、「公務員制度改革を政治利用するのは問題だ。労使関係の改革抜きの能力実績主義人事管理強化や事前規制撤廃の天下り法案も到底容認できない。徹底的に政府提案の問題点を追及し、今国会での成立阻止・廃案に追い込んでほしい」と要請したのに対し、民主党側は「政府提出法案については徹底審議を要求していく」と、これに応えた。
また、公務労協は、同日、社民党の重野国会対策委員長にも同様の申入れを行い、国公法等改正法案の廃案に向けて取り組むよう強く求めた。
資料−野党への要請書
2007年5月15日
民 主 党
代表 小沢一郎 殿
社 民 党
党首 福島みずほ 殿
日本労働組合総連合会
会長 高木 剛
連合官公部門連絡会(公務労協)
議長 岡部謙治
国家公務員法等一部改正法案の取扱いに関する要請
政府は、4月24日、今後の公務員制度改革の取組み方針と合わせ、いわゆる天下り規制と能力実績主義人事管理の強化を主たる内容とした国家公務員法等の一部改正法案(以下、一部改正法案)を閣議決定し、翌25日には同法案を国会に提出しました。
しかし、今回の一部改正法案は、@キャリア制度の廃止など公務員制度全体の抜本改革の方向性が示されていないことA天下り規制の実効性について大きな疑義があることB人事管理に関わる使用者権限が強まる一方で労働基本権のあり方を含む労使関係制度の改革方向や人事評価制度の考え方がまったく示されていないこと、など本質的で重要な問題点が数多くあり、到底容認できません。また、労働基本権付与のあり方を検討する専門調査会の最終報告が今秋に予定され、政府が来年の通常国会に基本法案を提出するとしていることからも、公務員制度全体の改革との整合性が問われる拙速な国会提出と批判せざるを得ません。
公務員制度は「基盤的行政」といわれるように、「政治」との関わりや行政のあり方、しいては国民生活にも影響する極めて重要な仕組みといえます。したがって、その改革は、今後の日本社会のあり方を見据えたうえで総合的・抜本的に行われるべきであり、決して政権与党が参議院選挙対策として政治的パフォーマンスに利用すべきものではありません。
政府・与党は、15日、一部改正法案の本会議趣旨説明を行い、審議入りと今国会での成立を狙っていますが、今秋の専門調査会の最終報告や総理の下に設置される有識者の「検討の場」の検討結果を踏まえ、改めて全体的で整合性ある公務員制度改革案を取りまとめるべきであると考えます。
以上のことから、政府提出の一部改正法案については、徹底審議を通じて問題点を追究し廃案にして頂きたく、下記の通りご要請申し上げます。
記
1.国家公務員法等一部改正法案については、徹底審議を通じて問題点を追究し、廃案とすること。
2.貴党としての公務員制度の抜本改革案を早急に取りまとめること。その検討に当たっては、連合等と十分協議すること。