2021年度公務労協情報 14 2021年3月3日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

2021年春季要求事項で幹事クラスが人事院・内閣人事局と交渉−3/3


 公務員連絡会は3月3日、人事院職員団体審議官、内閣人事局内閣審議官との交渉を実施した。一都三県に対する緊急事態宣言が発令中であり、引き続き、省庁においてもテレワーク等の対応が取られているため、2月17日の要求提出と同じくオンラインでの交渉を行い、中間的な回答を引き出した。公務員連絡会は、今後行う書記長クラスの交渉において、より具体的かつ前向きな回答を要求し、回答指定日に向けて交渉を積み上げていくこととした。

<人事院職員団体審議官交渉の経過>
人事院の好岡職員団体審議官との交渉は、13時30分から行われた。
冒頭、森永副事務局長が中間的な回答を求めたのに対し、好岡審議官は「現在最終回答に向け、検討を行っているところである。最終回答は、3月25日以降を予定しているが、本日、私の方からは、現段階における状況について、回答させていただく」と述べ、次の通り答えた。
1.賃金要求について
今年の春闘では、連合は、賃上げ要求について「定期昇給相当(賃金カーブ維持相当)分(2%)の確保を大前提に、産業の『底支え』『格差是正』に寄与する『賃金水準追求』の取り組みを強化しつつ、それぞれの産業における最大限の『底上げ』に取り組むことで、2%程度の賃上げを実現し、感染症対策と経済の自律的成長の両立をめざす。」との目標を掲げ、その実現に向けて取組を進めることとしている、と承知している。
一方、日本経団連は、最優先すべきは「事業の継続」と「雇用の維持」であるとし、コロナ禍の影響で業績が大きく落ち込んでいる企業がある一方、業績が堅調な企業もある中、「業種横並びや各種一律の賃上げを検討することは現実的ではない」としており、その上で、基本給については、収益が安定的に高い水準で推移・収益が増大している企業においては定期昇給を含む制度昇給を実施した上で、自社の実情に適した形でのベースアップも選択肢になり得るとし、他方、収益状況が悪化している企業においては制度昇給などを含めて労使で検討せざるを得ないとしている、と承知している。
こうした状況の中、3月中旬以降、経営側からの回答・妥結が行われるので、人事院としてもその動向を注視しているところである。
○ 国家公務員の給与について
国家公務員の給与について、本年も情勢適応の原則に基づき、民間給与の実態を精緻に調査した上で、民間給与との精確な比較を行い、必要な勧告を行うという基本的スタンスに変わりはない。
本年の職種別民間給与実態調査については、新型コロナウイルス感染症の状況が今後どのように推移するかはわからないが、例年のスケジュール感で実施できるよう準備を進めていきたいと考えている。
なお、官民給与の比較方法については、これまでも必要な見直しを行ってきており、比較対象企業規模を含め、現行の取扱いが適当と考えている。
諸手当については、民間の状況、公務の実態等を踏まえ、職員団体の皆さんの意見も聞きながら、必要となる検討を行っていくこととしたい。
再任用職員の給与については、公務における人事運用の実態や民間企業の再雇用者の手当の支給状況を踏まえ、これまでも見直しを行ってきているところである。
人事院としては、民間企業における定年制や高齢層従業員の給与の状況、各府省における再任用制度の運用状況等を踏まえつつ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、引き続き再任用職員の給与の在り方について必要な検討を行ってまいりたい。
2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
非常勤職員の任用、勤務条件等については、その適切な処遇等を確保するため、法律や人事院規則等で規定しており、これまでも職員団体の皆さんの意見も聞きながら見直しを行ってきているところである。
非常勤職員の給与については、平成29年7月に、勤勉手当に相当する給与の支給に努めることを追加するなどの指針の改正を行い、現在、これに基づく各府省の取組が進んでいるところであり、引き続き、職員団体の皆さんの意見も聞きながら常勤職員の給与との権衡をより確保し得るよう取り組んでまいりたい。
非常勤職員の休暇制度等については、業務の必要に応じてその都度任期や勤務時間が設定されて任用されるという非常勤職員の性格を考慮しつつ、民間の状況等を考慮し、必要な措置を行っているところであり、今後も、引き続き民間の状況等について注視し、必要に応じて検討を行ってまいりたい。
3.新型コロナウイルス感染症対策について
新型コロナウイルス感染症への対応については、これまで、感染拡大防止に資するよう、柔軟な時差出勤のための勤務時間割振りの特例措置、出勤困難な場合の特別休暇の取扱いに関する通知の発出、職場における感染拡大防止対策の周知などの対策を講じてきたところである。今後とも、感染状況等を注視しつつ、必要な対応を行ってまいりたい。
4.労働時間の短縮等について
○ 超過勤務の縮減等について
国家公務員の超過勤務については、平成31年4月から、超過勤務命令を行うことができる上限を人事院規則で設定したところである。勤務時間管理については、上限設定の規則を制定した際に発出した職員福祉局長通知において、超過勤務の運用の適正を図るため、課室長等による超過勤務予定の事前確認や、所要見込み時間と異なる場合の課室長等への事後報告を徹底させるとともに、超過勤務時間の確認を行う場合は課室長等や周囲の職員による現認等を通じて行うものとし、客観的な記録を基礎として在庁の状況を把握している場合は、これを参照することもできる旨を規定したところである。
なお、本年1月29日に改正された「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」(女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会決定)において、各府省等は「勤務時間管理システム」の導入等により勤務時間管理をシステム化し、職員の勤務時間を「見える化」することとされており、人事院としても、超過勤務の運用の適正を図る観点から、必要な協力をしてまいりたい。
各府省において、人事院規則に定める上限を超えて超過勤務を命じた者がいた場合には、その要因の整理、分析及び検証を行わなければならないとしており、人事院としても、各府省から提出された整理、分析及び検証の状況に関する報告を分析するとともに、その報告に基づいて、他律的部署の指定状況、上限を超えるに至った業務の内容、上限超えを回避するための取組等を聴取し、超過勤務の状況の改善方策について指導、意見交換を行ったところである。
引き続き、制度の適切な運用が図られるよう、必要な指導等を行ってまいりたい。
なお、要因の整理、分析及び検証については、取りまとまり次第、職員団体の皆さんに適切に情報提供することとしたい。
○ 休暇・休業制度について
両立支援制度を含む職員の休暇、休業制度については、従来より情勢適応の原則の下、民間における普及状況に合わせることを基本に、適宜見直しを行ってきたところであり、引き続き民間の動向等を注視してまいりたい。
また、両立支援制度の活用については、平成30年3月に発出した「仕事と育児・介護の両立支援制度の活用に関する指針」の内容が各府省において徹底されるように更なる周知に取り組んでまいりたい。
5.障害者雇用について
障害を有する職員が自らの希望や障害等の特性に応じて、無理なく、かつ、安定的に働くことができるよう、平成30年12月にフレックスタイム制の柔軟化等を実現するための人事院規則等の改正(平成31年1月施行)を行うとともに、公務の職場における障害者雇用に関する理解を促進し、障害を有する職員が必要な配慮を受けられるよう、「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針」を平成30年12月に発出し、各府省に対して、当該指針に沿って適切に対応することを求めている。
このほか、厚生労働省と連携して、各府省における合理的配慮事例の情報共有などの支援を行っており、今後とも、必要に応じて各府省への支援を行ってまいりたい。
6.女性公務員の労働権確立について
人事院としては、公務における女性の活躍推進を人事行政における重要な課題の一つと認識しており、第5次男女共同参画基本計画が決定されたことを踏まえ、令和3年2月1日、「女性国家公務員の採用・登用の拡大等に向けて」(平成27年12月25日人事院事務総長通知)の一部改正を行い、国家公務員法に定める平等取扱の原則、成績主義の原則の枠組みを前提とした女性の参画のための採用・登用の拡大、両立支援、ハラスメント防止対策など様々な施策を行ってきているところである。引き続き、各府省の具体的な取組が進むよう支援してまいりたい。
7.福利厚生施策の充実について
○ 心の健康づくり対策について
心の健康づくり対策については、平成16年3月に発出した「職員の心の健康づくりのための指針」を基本として対処しており、これまでも「こころの健康相談室」の運営など様々な取組を進めてきている。引き続き、各府省と連携しつつ、適切に対応してまいりたい。
○ ハラスメント防止対策について
人事院は、昨年4月、パワー・ハラスメントの防止等の措置を講じるための人事院規則を制定し、あわせて、セクシュアル・ハラスメント及び妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに係る人事院規則についても、所要の規定の整備を行い、同年6月に施行した。これらの人事院規則においては、ハラスメントの防止等のための各省各庁の長の責務や、研修等の実施、苦情相談への対応等が定められているところ、人事院はこれまで、各府省における取組状況を把握しつつ、研修教材の作成・提供や、各府省のハラスメント相談員を対象としたセミナーの開催など、各府省に対する支援を行ってきており、今後も、各府省においてハラスメント防止対策が適切に実施されるよう、必要な支援・指導を行ってまいりたい。また、苦情相談を含めた公平審査制度において、パワー・ハラスメントに関する事案についても人事院の役割を果たしてまいりたい。

 回答に対し、森永副事務局長は次のとおり人事院の見解を質した。
(1) 賃金要求について
連合の春季生活闘争は、先月中旬以降、先行組合の要求提出がスタートし、今月中旬のヤマ場に向けて労使交渉が続いている。取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の拡大が、今後の経済や企業経営に与える影響など極めて不透明であり、大変厳しいものとなるのではないかと受け止めている。
春の段階においては、民間の昨年冬の一時金の厳しい状況も踏まえた上で、賃金の維持・改善を改めて求めておく。
なお、人事院においては、夏の給与勧告に向けて、民間の動向を精確に把握するなど民調への準備を含めて、万全の対応を取ることを求めておく。
昨年末の基本要求回答交渉でも確認しているが、改めて、官民の給与の比較方法については、現行の枠組みと変わらないことを確認したい。
再任用職員の給与については、先ほどの回答でも「民間企業における状況を踏まえつつ、引き続き必要な検討を行っていく」とのことだったが、この間、交渉の中でわれわれが要求している生活関連手当等の支給について、具体的な改善に向けて検討すること。
(2) 非常勤職員について
民間において、「同一労働同一賃金ガイドライン」が本年4月1日から中小企業にも適用され、また、昨年10月には、非正規労働者の待遇格差をめぐる最高裁の判断もなされている。公務部内においても、「民間準拠」にこだわることなく、「公務内における常勤職員との均等待遇」という視点をもって、公務における非常勤職員のいっそうの待遇改善を進める必要があると考えるが、人事院の見解如何。
なお、非常勤職員の休暇制度については、病気休暇をはじめとする無給休暇の有給化を求め、人事院との間で検証等の議論を進めていく。
(3) 新型コロナウイルス感染症対策について
感染防止対策など勤務環境等の整備については、公務員連絡会としても職場実態を把握した上で必要な改善等を求めていくので、人事院の役割を適切に果たし、その時々に応じた万全の措置を講じていただきたいと考えるが、現在、人事院において検討している事項の有無如何。
(4) 労働時間の短縮等について
超過勤務時間の縮減に向けては、関係する人事院規則等が施行されて2年が経過する。人事院としても各府省の状況等を把握し、意見交換を行ったとのことだが、一方で、昨年政府における在庁時間調査が行われ、超過勤務実態の「見える化」もはかられてきた。超過勤務を縮減していくという目標は、人事院、政府、公務員連絡会で共有しているものと認識しており、われわれとしても引き続き、職場段階での点検をはじめ、取組を強化していきたい。
今後は、各省各庁の取組状況等の共有を通じて、改めて課題の明確化をはかり、われわれとの交渉・協議を踏まえ、課題解決に向けた具体的な措置を講じるよう求めておく。
(5) 福利厚生施策の充実について
パワハラ防止対策については、昨年6月に人事院規則が施行された。公務労協が昨年10月に実施した調査結果では、約4割の組合員が職場でパワハラを見聞きしている実態が明らかになり、また、霞ヶ関におけるパワハラ事案の報道もあった。人事院には、ハラスメント防止に向けた各府省への指導等に引き続き力を入れていただくとともに、とくに、事案が生じてしまった後の苦情相談、紛争解決に向けて万全の体制で臨むよう、改めて強く求めておく。

また、各交渉委員からは、「昨年は、新型コロナの影響により勧告・報告が大幅に遅れたことで、地方の給与改定にも混乱が見られた。審議官の回答では、民調については例年のスケジュール感で準備を進めるとのことだったが、昨年の実施状況も踏まえ、課題等スケジュール感も含めて各人事委員会ともしっかりと連携を取って進めていただきたい」、「再任用職員の生活関連手当について、定員事情から短時間での再任用を余儀なくされている職員からも切実な声があがっている。民間の状況も理解はするが、公務の特殊な事情もあることを理解した対応を重ねて求める」、「コロナ禍の状況もあり、職場でのコミュニケーションが希薄化し、仕事の悩みやハラスメント等の相談相手が限られてしまっている。しばらくこの状況が続くと想定すれば、人事院のハラスメント対策が重要になる」と人事院の見解を質した。

 これに対し、好岡審議官は次の通り答えた。
(1) 官民給与の比較方法については、現行の取り扱いが適当と考えており、本年もその枠組みを維持することとしている。
(2) 昨年は異例のスケジュールとなり、各人事委員会にはさまざまなご苦労があったかと思うが、今年も意見を伺いつつ、進めて参まいりたい。
(3) 再任用職員の給与については、民間企業における定年制や高齢層従業員の給与の状況、各府省における再任用制度の運用状況等を踏まえつつ、そのあり方について必要な検討を行ってまいりたい。いただいたご意見は担当と共有する。
(4) 非常勤職員の待遇改善について、「同一労働同一賃金ガイドライン」は国に適用されるわけではないが、非常勤職員の給与については、民間における同一労働同一賃金に関する具体的な動向等も注視しつつ、引き続き常勤職員との権衡をより確保しうるよう取り組んでまいりたい。
(5) 非常勤職員の休暇の検証については、人事院から現状の説明をし、質疑を受けるという形で、具体的な対応を行ってまいりたい。
(6) 新型コロナウイルス感染症への対応について、現時点で検討している事項はない。
(7) 超過勤務の縮減は重要な課題と認識しており、制度の適切な運用がはかられるよう、必要な取り組みを行ってまいりたい。
(8) パワハラ防止対策については、苦情相談も含めて、人事院の役割を適切に果たしてまいりたい。

 最後に、森永副事務局長が「本日の回答は、現時点における人事院の検討状況と受け止める。議論した課題の多くは、この間、継続的な課題となっているものばかりだ。引き続き、お互いに課題の解決に向けて認識を共有し、協議をしていきたい。17日の職員福祉、給与の両局長との交渉では、要求事項に関して前向きな回答を求めておく」と要請し、交渉を締めくくった。

<内閣人事局内閣審議官交渉の経過>
 松本内閣審議官との交渉は、14時45分から行われた。
 冒頭、森永副事務局長が中間的な回答を求めたのに対し、松本審議官は「主な事項について、現時点における回答をさせていただく」と述べ、次の通り答えた。

1.2021年度賃金について
国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢と考えている。
給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。
2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
非常勤職員の給与等の処遇改善については、重要な課題であり、これまでも、各府省に対し必要な予算が確保されるよう働きかけを実施してきたところ。
今後とも、非常勤職員の給与等に係る具体的な運用を定める人事院と連携し、各府省における非常勤職員の給与等の処遇改善に向けた必要な予算確保がしっかりと行われるよう、適切に働きかけを実施してまいりたい。
3.新型コロナウイルス感染症への対応について
「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年3月28日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)等を踏まえ、人事院とも連携しながら、各府省に対し感染拡大防止に向けた取組を依頼してきたところ。引き続き、関係機関と連携しながら、適切に対応してまいりたい。
4.労働時間、休暇及び休業等について
長時間労働の是正については、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」等に基づき、これまでも、
・長時間労働を前提とした働き方を改める意識改革
・業務の見直し・効率化、部下職員の超過勤務時間見込みの事前把握、管理職のマネジメント改革による超過勤務の縮減
・テレワークやフレックスタイム制等による働く時間と場所の柔軟化
等に取り組んできたところ。
また、長時間労働の是正には、職員の勤務時間を「見える化」した上で、適切な勤務時間管理を行うことが必須であり、各府省等は、
・業務端末の使用時間の記録等の客観的な方法による職員の勤務時間の把握
・管理職は部下の勤務時間並びに超過勤務の状況及び理由をリアルタイムで把握
を実施するとともに、これらを含む機能を備える勤務時間管理のシステム化を早期に実現し、職員の勤務時間を「見える化」した上で、必要な改善方策に取り組むこととなっている。
引き続き、地方の現場の実情を含め、皆様方のご意見も伺いつつ、関係府省等と連携し、適切に対応してまいりたい。
5.障害者雇用について
障害者雇用については、「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」に基づき、障害者の多様な任用形態を確保するとともに、障害者雇用マニュアルを作成するなど、障害のある職員が意欲と能力を発揮し、活躍できる環境の整備に取り組んできたところ。
また、職場実習の実施や講習会の開催など、各府省における障害者雇用の推進に係る支援等に努めているところ。
今後とも、関係機関と連携しながら、各府省において障害者雇用が適切に進むよう、取り組んでまいりたい。
6.女性公務員の労働権確立について
男女双方のワークライフバランス及び女性職員の活躍については、昨年12月に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」等を踏まえ、本年1月に改正した「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」や、平成28年4月に施行された女性活躍推進法等に沿って、取組を進めているところ。
内閣人事局としては、これら取組指針等に基づき、各府省の取組を引き続きフォローアップし、その取組を促進させるようなサポートを行うことにより、職員のワークライフバランスを実現し、女性活躍の動きを更に加速してまいりたい。
7.高齢者雇用施策について
国家公務員法改正案については、法案の提出について、検討を行っているところである。
8.福利厚生施策の充実について
「国家公務員健康増進等基本計画」等に基づき、職員の能率増進のため、ハラスメントに関する研修・啓発の確実な実施や相談体制の整備等の取組を進めているところ。引き続き、各府省における基本計画の実施状況を把握し、必要な措置が講じられるよう取り組んでまいりたい。
なお、「国家公務員健康増進等基本計画」については、皆様方のご意見も踏まえ、今年度末までに改正し、心の健康づくりに関する研修やハラスメント防止研修の強化等を図ることとしている。
9.公務員制度改革について
これまで、勤務条件に関わる様々な課題について、ご意見を伺いつつ対応してきたところ、皆様とは、引き続き意見交換をさせていただきたいと考えているが、自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があり、慎重に検討する必要があると考えている。

 これに対して、森永副事務局長は、次のとおり、改めて春季要求内容に対する認識を説明し、内閣人事局の見解を質した。

(1) 働き方改革の推進及び賃金・労働条件の確保等、賃金要求、労働時間等について
長時間労働の是正に向けた取組について、「河野大臣のリーダーシップにより着実に進んでいることを大変心強く感じている」と、要求提出の際に、直接大臣にもお伝えしたところ。
超過勤務を縮減していくという目標は、われわれも政府も共有しているという認識のもと、引き続き職場段階で縮減に向けて取組を強化していきたい。
本年1月29日に改正された「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進の取組指針」において、「勤務時間管理のシステム化と勤務時間管理の徹底」が盛り込まれている。この間、われわれが強く求めてきた「ICTを活用した客観的な勤務時間管理」の本格的な導入が進められることになるが、導入に向けては前広な情報共有を求めておく。
「令和3年度における人事管理運営方針」の策定に向けては、この間の「超過勤務」に関わる経過の事実関係について人事管理運営方針に記載することを要望しておく。
(2) 非常勤職員について
民間において、「同一労働同一賃金ガイドライン」が本年4月1日から中小企業にも適用される。また、昨年10月には、非正規労働者の待遇格差をめぐる最高裁の判断もなされているところ。官民共通して推進している「同一労働同一賃金」の観点からも、公務における非常勤職員の待遇改善を進めていく必要がある。
(3) 新型コロナウイルス感染症への対応について
現在、一都三県に対して緊急事態宣言が発令されている状況のもと、感染拡大防止に向けて、われわれも公務・公共サービスに従事する労働組合の立場で、積極的に協力をしていくので、これまでと同様に十分かつ前広な情報共有をはかっていただきたい。
(4) 高齢雇用施策について
段階的な定年引上げの実現に向けた国家公務員法改正法案の再提出に向けて最大限の努力を改めて求めておく。
(5) 福利厚生施策の充実について
「国家公務員健康増進等基本計画」の改正に向けては、昨年5月と11月の2度にわたって政府に対して意見・要望等を提出してきた。引き続き、福利厚生施策の充実に向けて、職場実態等も踏まえて、節目節目での前広な協議を求めておきたい。
(6) 転居を伴う人事異動に関する職員の負担軽減について
この間、喫緊の課題として要求し、昨年、赴任旅費の移転料について定額支給から実費支給に改められたものの、手続面をはじめ、多くの課題があると認識している。引き続き、政府として、「転居を伴う人事異動」に関するフォローアップを行うよう求めておく。

また、交渉委員からは、「地方出先機関における超過勤務手当の全額支給に関しては、まだ課題があると認識しているが、その背景には予算が少なく抑えられている実態がある。必要な予算確保にむけて当局とも交渉していくが、ぜひ内閣人事局にもリーダーシップを発揮していただきたい」と発言した。

 これらに対して、松本内閣審議官は、「基本的には、いただいたご意見等については要望として承った」とした上で、次のとおり回答した。
(1) 超過勤務手当について、この間の事実経過を次年度の人事管理運営方針に記載をという要望だが、令和3年度以降も引き続き取り組むべき課題であり、何らか記載することになると考えている。地方についての実例を伺ったが、大臣からの指示も踏まえて、柔軟に対応したいと考えている。
(2) 勤務時間管理システムについては、内閣人事局で導入したものを広めていくことを検討しているが、まずは3月中にも各府省と話し合う場を設ける予定である。

 最後に、森永副事務局長は、「本日の回答は、現時点における内閣人事局の検討状況と受け止める。霞ヶ関の働き方改革を中心に一歩前進した課題もあるが、引き続き、ウィズ/アフター・コロナにおける勤務環境の整備等に向け、職場実態も踏まえ、政府とは建設的な議論を行っていきたい。是非、次回の統括官との交渉では、要求事項に関して前向きな回答を求めておく」と要請し、交渉を終えた。

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